6月27日のアメリカ競馬(2) サンタ・アニタ春開催、最後のGⅠ戦2鞍。
アメリカ競馬レポート第2部は、G戦が4鞍組まれているサンタ・アニタ競馬場から。最初はセニョリータ・ステークス Senorita S (芝GⅢ、3歳牝、8ハロン)。firm の芝コースに9頭が出走し、ダート・コースのサンタ・アニタ・オークス(GⅠ)で4着しているカーリンズ・フォックス Curlin’s Fox が4対5の1番人気。この芝コースは2戦2勝で、得意の馬場で期待されていました。
3番人気(7対1)のロング・ホット・サマー Long Hot Summer が逃げ、カーリンズ・フォックスは5番手の中団から。しかし直線に入っても本命馬は動きが悪く、替って前半最後方で待機した4番人気(9対1)のプライズ・イクジビット Prize Exhibit が馬4頭分の外から追い込み、逃げたロング・ホット・サマーに2馬身4分の1差を付けて鮮やかなどん尻急襲の差し切り勝ち。1馬身差でこれも後方2番手から追い上げた5番人気(13対1)のルシーン・ベル Lutine Belle が3着に入り、カーリンズ・フォックスは9着と最下位に惨敗。
ジェームス・キャシディー厩舎、出遅れたこともあって調教師の指示を無視し待機策を採ったサンチャゴ・ゴンザレス騎乗のプライズ・イクジビットは、去年まで英国で走り、オー・ソー・シャープ・ステークス(GⅢ)で3着した馬。その年の秋にBCジュヴェナイル・フィーリズ・ターフに遠征して4着となってそのままアメリカに転厩。1月にサンタ・アニタのクレーミング戦に勝ったのに続き、アメリカ2勝目でG戦初勝利となりました。
サンタ・アニタの2鞍目は、GⅠのトリプル・ベンド・ステークス Triple Bend S (GⅠ、3歳上、7ハロン)。fast の馬場に7頭が出走し、前走4月11日のコナ・ゴールド・カップ(GⅡ)を制したマソキスティック Masochistic がイーヴンの1番人気。
好スタートから先頭に立ったマソキスティック、前走と同様にハナを主張する3番人気(9対2)のサン・オノフレ San Onofre を一旦前に出して外から並ぶように追走。直線で前を捉えると、4番手から追い込む5番人気(12対1)のアピーリング・テイル Appealing Tale に3馬身半差を付けて人気に応えました。更に2馬身4分の3差で4番人気(9対1)のワイルド・デュード Wild Dude が3着。
ロナルド・エリス厩舎、タイラー・ベイズ騎乗のマソキスティックは、前走のレポートでも紹介したように、エリス厩舎に移ってからは2戦2勝。前回はピンチヒッターで騎乗したベイズも、引き続き同馬で2戦連続のG戦勝でGⅠタイトルを手にしました。
続いては古馬牝馬の芝GⅡ戦のロイヤル・ヒロイン・ステークス Royal Heroine S (芝GⅡ、3歳上牝、8ハロン)。1頭が取り消して9頭が出走し、前走4月のサンタ・バーバラ・ハンデ(芝GⅢ)を制したクイーン・オブ・ザ・サンド Queen of The Sand が2対1の1番人気。
レースは2番人気(3対1)の英国産馬バードラヴァー Birdlover の逃げで始まり、クイーン・オブ・ザ・サンドは後方3番手から。逃げ馬を2番手で追走していた3番人気(4対1)のファンティコラ Fanticola が第4コーナーで外から逃げ馬に並び掛けると、直線でこれを競り落とし、更に後方から追い込む本命馬を首差凌いでの優勝。1馬身差でこれまた後方2番手から伸びた6番人気(10対1)のストーミー・ルーシー Stormy Lucy が3着に食い込みました。
フィリップ・ダマト厩舎、ジョセフ・タラモ騎乗のファンティコラは、ここ2戦続けてG戦に惜敗していた馬で、これがG戦初勝利。前走5月のゲイムリー・ステークス(GⅠ)では首差の2着、前々走サンタ・バーバラ・ハンデでもこの日の本命馬にハナ差で惜敗していました。父は日本産馬サイレントネームということもあり、日本の生産界にとっても喜ばしいニュースです。
長かった冬/春のサンタ・アニタ開催、最後のGⅠ戦は一昨年までハリウッド競馬場のメインとして行われたきたハリウッド・ゴールド・カップが移管されてのゴールド・カップ・アット・サンタ・アニタ Gold Cup at Santa Anita (GⅠ、3歳上、10ハロン)。勝馬にはBCクラシックの優先出走権が与えられます。11頭が出走し、アルゼンチン産馬のキャッチ・ア・フライト Catch a Flight が8対5の1番人気。3月のサンタ・アニタ・ハンデ(GⅠ)は3着でしたが、その後プレシジョニスト・ステークス(GⅢ)、カリフォルニアン・ステークス(GⅡ)と2連勝、メンバーに連勝中の馬が不在のことから、その安定感が買われていました。
レースはスタートから3頭のハナ争い、向正面に入った所で8番人気(47対1)のビッグ・カザノヴァ Big Cazanova が先頭に立ち、キャッチ・ア・フライトは5番手で落ち着きます。しかし直線、前半は逃げ馬から15馬身も遅れた最後方に待機していた4番人気(7対1)のハード・エイシス Hard Aces が直線では最内を衝き、後方4番手から外を回って追い込む2番人気(5対2)ホッパチュニティー Hoppertunity の猛追をゴール寸前、ハナ差で凌いでの鮮やかな差し切り勝ち。1馬身4分の1差でキャッチ・ア・フライトが3着に追い上げていました。
ジョン・サドラー厩舎、ヴィクター・エスピノザ騎乗のハード・エイシスは、これがG戦初勝利の5歳馬で、GⅠは5度目の挑戦での金星です。今期サンタ・アニタ・ハンデは4着、カリフォルニアン・ステークスは3着で、フェア・グラウンズの一般ステークス(ルイジアナ・ハンデ)に続くステークスは2勝目。これでBC挑戦の権利だけは獲得したことになります。
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