パーマー師の週末ダブル

アイルランド・オークスが行われた翌日の日曜日、7月19日もカラー競馬場でG戦が2鞍行わりました。馬場はやはり goot to yielding 。

最初のミンストレル・ステークス Minstrel S (GⅢ、3歳上、7ハロン)は、2頭の取り消しがあり9頭立て。4歳から5歳にかけての絶頂期は過ぎたものの、GⅠに2勝していている7歳のゴードン・ロード・バイロン Gordon Lord Byron が7対4の1番人気。前走カラーのリステッド戦にも快勝し、未だ未だ若いモンには負けない、という意地でしょう。
しかしその若いモン、3番人気(7対2)のホーム・オブ・ザ・ブレイヴ Home Of the Brave がダッシュ良く飛び出すと、そのまま中団5番手から追い込む本命馬に3馬身半差を付ける圧巻の逃げ切り勝ち。更に半馬身差でやはり中団から伸びた2番人気(3対1)の6歳馬ソヴリン・デット Sovereign Debt が3着。

勝ったホーム・オブ・ザ・ブレイヴは、前日愛オークスをカヴァート・ラヴ Covert Love で制した英国のヒューゴー・パーマー師が管理する3歳馬で、こちらはジェームス・ドイルが騎乗していました。今期初戦にニューマーケットでフリー・ハンデキャップ(リステッド戦、7ハロン)に勝って2000ギニー挑戦が6着。この時点で短距離向きと判断した師はロイヤル・アスコットに新設されたコモンウェルス・カップ(GⅠ)にも挑み、再び6着だった馬。
パーマー師は充分ここでも勝負になると確信していたようですが、GⅠ馬に3馬身差をつける程とまでは思っていなかったようで、調教師も吃驚の快走です。次は8月ニューバリーのハンガーフォード・ステークスを予定しているそうですが、来年はもっと強くなると師も太鼓判。7ハロンに新たなスターが誕生しました。

日曜日のもう一鞍はキルボイ・エステート・ステークス Kilboy Estate S (GⅡ、3歳上牝、1マイル1ハロン)。こちらも3歳と古馬の混合戦ですが、9頭の出走馬の内5頭が3歳馬。しかし人気は古馬が上で、前走プリティー・ポリー・ステークス(GⅠ)こそ7着に敗れたものの、それまでは無傷の4連勝を飾っていた4歳馬のブローチ Brooch が11対4の1番人気。
レースは2番人気(4対1)で前走ニューキャッスルのリステッド戦でカヴァート・ラヴの2着だった4歳馬タルマーダ Talmada が逃げ、ブローチは2番手を追走。このままブローチが前を捉えれば人気通りの決着でしたが、中団7番手に待機してていた5番人気(6対1)のウエディング・ヴァウ Wedding Vow が外に出して一気に追い上げ、残り100メートルほどで突き抜けると、本命ブローチを2馬身切って捨てる逆転劇。短頭差で3番手を進んでいた3番人気(9対2)のボッカ・バチアータ Bocca Baciata が3着でした。

エイダン・オブライエン厩舎、ムーア不在で久し振りにG戦勝ちとなったジョセフ・オブライエン騎乗のウエディング・ヴァウは、これが生涯初勝利となる3歳馬。今期はリングフィールド・オークス・トライアル(リステッド戦)3着などもありましたが、前走はロイヤル・アスコットのリブルスデール・ステークス(GⅡ)に遠征。距離が長かったこと、初めてのブリンカー装着で馬が掛かってしまったことなどで7着に終わっていました。
距離が9ハロンと短縮された地元に戻り、今回はブリンカーも外して馬にも落ち着きが生まれ、ペースもしっかりした流れとなったことで本来の血統に見合った実力が発揮できたようです。この夏はアメリカ遠征も視野に入れているとのことで、GⅡ戦で未勝利を脱したウエディング・ヴァウの季節はこれからでしょう。

以上、地味なG戦2鞍でしたが、何れも3歳馬が人気の古馬を破るという構図で、ここでも今年の3歳馬のレヴェルの高さが立証されています。

 

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