2015グローリアス・グッドウッド4日目
7月の最終日、31日のグッドウッド競馬場はグローリアス開催の4日目。馬場は更に乾いて good 、所により good to firm にまで回復してきました。この日のG戦は4鞍、GⅢクラスが主体のプログラムです。例によってレース順に。
最初のグローリアス・ステークス Glorious S (GⅢ、4歳上、1マイル4ハロン)は7頭立て。前走ロイヤル・アスコットのプリンス・オブ・ウェールズ・ステークス(GⅠ)4着の実績が目立つザ・コルシカン The Corsican が15対8の1番人気。2000メートルを得意とする馬ですが、400メートル伸びる距離を克服できるかが鍵になりそうです。
5番人気(10対1)のウォータースミート Watersmeet が逃げ、ザ・コルシカンは5番手追走で脚を貯める構え。直線、最後方に付けた4番人気(11対2)のダブデイ Dubday が先に抜けた所にザ・コルシカンも仕掛けましたが、巧く前が開かずに外に出しての追い上げ。しかし時既に遅く、安全圏に逃げ込んだダブデイが本命馬を4分の3馬身抑えての優勝。ザ・コルシカンは明らかにアンラッキーな流れでした。更に2馬身半差で6番人気(18対1)のウインドシーア Windshear が3着。
ダブデイはアル・シャカブの所有馬ですが、カタールを本拠にするヤシム・アル・ガザリという方が調教する5歳馬で、カタールの調教師が英国で勝ったこと自体が史上初となります。騎乗したのはグッドウッド絶好調のフランキー・デットーリ。
同馬はドーハで重賞レースに勝っている強豪で、イギリスに遠征して3戦目での勝利。ニューバリーとニューマーケットで何れもリステッド戦からスタートし、確実に英国競馬に馴致させてきた印象。こうしたノウハウを蓄積し、ガザリ師は来シーズンは30頭ほどの馬を持ってくる計画だそうです。いずれにしても歴史的G戦。
続いてのサラブレッド・ステークス Thoroughbred S (GⅢ、3歳、1マイル)は10頭立て。ここもG戦には一息届かなかった3歳馬が集結し、セント・ジェームス・パレス(GⅠ)でグレンイーグルス Gleneagles の2着に大健闘したラザーナック Latharnach が6対4の1番人気。
2歳時はロベール・パパン賞(GⅡ)、今期もクレイヴァン・ステークス(GⅢ)に勝って4ポンドのハンデを背負った6番人気(11対1)のクール・カンパニー Kool Kompany が逃げ、ラザーナックは先行馬群で差し足に掛けます。しかし抜け出したのはジョイント3番人気(6対1)で3番手を追走していたマラバー Malabar 、逃げるクール・カンパニーに3馬身差を付ける圧勝でした。ラザーナックも追い上げましたが、4分の3馬身差届かず3着と期待を裏切っています。前走にような切れ味は影を潜めていました。
マラバーは出走馬中唯1頭の牝馬で、2歳時にプレスティージ・ステークス(GⅢ)に勝って以来の勝鞍。今期は1000ギニー4着、愛1000ギニー8着、仏オークスも9着と成績は伸び悩んでいましたが、陣営はその能力には自信を持っていた由。今回は初締めて遮眼帯を装着したことが好結果を生みました。ミック・シャノン厩舎、シルヴェストル・デ・スーザ騎乗。シャノン師によれば、この後は牝馬限定のG戦が多く、相手も比較的楽なアメリカに遠征する計画とのこと。姉妹篇のアメリカ競馬レポートに登場する日も近いと思われます。
三つ目は、この日唯一のGⅡ戦となるキング・ジョージ・ステークス King George S (GⅡ、3歳上、5ハロン)。15頭が揃い、既にGⅡ戦(グロ・シェーヌ賞)を制して4ポンドのペナルティーを背負っていながらも5歳馬のムスミール Muthmir が3対1の1番人気。やはり前々走キングズ・スタンド・ステークス(GⅠ)での3着が評価されたのでしょう。
馬場が回復したこともあって、スタートから何頭もの馬が先を争う激しい流れ。何が逃げたかを特定することは出来ないほど。結果も先行した馬たちで決着し、本命のムスミールが、頭差で去年の勝馬で9番人気(20対1)のテイク・オーヴァー Take Over を抑えて人気に応えました。半馬身差で3番人気(7対1)のムーヴ・イン・タイム Move In Time が3着。
ウイリアム・ハッガス厩舎、ポール・ハナガン騎乗のムスミールは、前走ジュライ・カップ(GⅠ)では9着と期待を裏切りましたが、やはり6ハロンと距離が1ハロン伸びたことが敗因だったようで、5ハロンの距離で本来の快速を発揮したと言えましょう。この後はヨーク競馬場のナンソープ・ステークスに向かう予定。
4日目の最後はクィーンズ・プレート・ステークス(旧オーク・トゥリー・ステークス) Queens Plate S (Oak Tree S) (GⅢ、3歳上牝、7ハロン)。旧名の方が馴染がありますが、10頭立てを制したのは馴染の無い馬でした。人気は割れ、1000ギニー7着で前走アスコットのリステッド戦に勝ったオサイラ Osaila と、1000ギニー5着で前走ジャージー・ステークス(GⅡ)2着のファダイール Fadhayyil が5対2で並びジョイント1番人気。
女王陛下の所有馬でジョイント6番人気(20対1)のタッチライン Touchline が逃げましたが、3番手の外から伸びた最低人気(33対1)の2頭の内の1頭エイミー・イライア Amy Eria が、中団から伸びたオサイラに半馬身差を付ける番狂わせ。更に1馬身4分の1差でジョイント6番人気のモンタルシーノ Montalcino が3着。人気の一角ファダイールは7着に終わっています。
ほとんど予想の中にも入っていなかったエイミー・イライアは、フランスのローカル競馬からフランソワ・ロホー厩舎が送り込んできた4歳馬で、グレゴリー・ブノア騎乗。去年の7月にメゾン=ラフィットのリステッド戦に勝って以来の勝鞍で、今期はボルドーの条件戦で2着、前走はドイツのGⅢ戦でも2着で、これがシーズン3戦目と言う盲点でした。
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