2015グローリアス・グッドウッド初日

今年もパナマ帽が似合う季節がやってきました。英国夏競馬の祭典、グッドウッド競馬場の「グローリアス」開催ですが、英国競馬はこれが長いシーズンの折り返し点とも言えるでしょう。
今年はジェイク・ジョハーン氏が総裁を務めるアル・シャカブ・レーシングがスポンサーとなり、競馬場の入口には氏の勝負服のカラー(帽子の色)を用いた奇抜なゲートが設けられており、美女軍団が来場者を迎えるという趣向もあったようです。

開催は火曜日から土曜日までの5日間、ロイヤル・アスコットと日数は同じですが、パターン・レースの数はやや少なめ。5日間の合計で13鞍のG戦が組まれているのは例年同様です。
その初日、7月28日は good to soft 、所により good の馬場で2鞍のG戦が行われました。ロンドンに近いサセックス州は雨に恵まれたため、馬場はパンパンの硬い馬場にはなっていません。

グッドウッド競馬場の最初はヴィンテージ・ステークス Vintage S (GⅡ、2歳、7ハロン)。去年は2日目のプログラムでしたが、今年はモールコム・ステークスと入れ替わって開催最初のG戦に選ばれました。1頭取り消しがあり8頭立て。前走ニューマーケットのジュライ開催でサパラティヴ・ステークス(GⅡ)に勝ったバーチウッド Birchwood が10対3の1番人気。既にGⅡ勝ちのペナルティー3ポンドを背負いますが、許容範囲と言う選択でしょう。
レースはブービー人気(12対1)のウェルフォード Welford が逃げましたが、この日は風が強いこともあって、後方に近いグループの中で風を避けながら待機していた3番人気(9対2)のガリレオ・ゴールド Galileo Gold が鋭い伸び脚を発揮し、中団から伸びた4番人気(5対1)のイブン・マリク Ibn Malik に4分の3馬身差を付けて開幕G戦を制しました。ハナ差で後方から追い込んだ最低人気(16対1)のパラワン Palawan が3着に入り、バーチウッドは勝負所で前が詰まり、外に出した時に他馬とぶつかる不利もあって5着敗退。3ポンドの負担重量が敗因ではないでしょう。

勝ったガリレオ・ゴールドは、今年の開幕G戦に相応しく、スポンサーでもあるアル・シャカブ・レーシングの持ち馬。総裁のジョハーン氏もセレモニーを兼ねて来場されていましたから、愛馬の勝利を目前で堪能。最高のグッドウッド初日になりました。調教師は先日の愛オークスをカヴァート・ラヴ Covert Love で制したヒューゴー・パーマー師ですが、本人は只今新婚旅行中でトルコの海岸で中継を見ているとか。ジョハーン氏には若い調教師を積極的に応援するというポリシーもありますから、正に最高の結婚祝いになったでしょう。騎乗したフランキー・デットーリの腕も冴えに冴え、騎乗停止前の一仕事ではありましたね。
馬本人はガリレオと言う名前が付いているものの、ガリレオ Galileo は母の父で、父はマイラー系のパコ・ボーイ Paco Boy 。スピード豊かな父系とスタミナ充分の母系という血統です。ヨークのデビュー戦は2着でしたが、その後ソールズベリーの6ハロン、ヘイドックの7ハロンと連勝し、これで3連勝。今期は、多くてもあと2戦で来年のクラシックに準備するという計画です。

初日のもう一鞍はレノックス・ステークス Lennox S (GⅡ、3歳上、7ハロン)。こちらは3頭が取り消しての7頭立て。人気は2頭が分け合い、9対4で並んだのは4歳馬のトールモア Toormore と、3歳馬のダッチ・コネクション Dutch Connection 。前者は去年のレノックス2着で、今期は未だ未勝利ながらGⅠで好走してきた馬。後者は今期初戦の2000ギニーで7着し、アスコットでジャージー・ステークス(GⅡ)に勝ち、前走ジャン・プラ賞(GⅠ)でも2着と健闘した3歳馬の代表格です。
その人気の一角トールモアがスタートから積極的に飛ばしての逃げ作戦、ダッチ・コネクションも相手をトールモアに絞って3番手追走。直線に入っても流石トールモア、次々と襲い掛かる相手を抜かせず、最後は意地を見せるダッチ・コネクションを4分の3馬身抑えて堂々の逃げ切り勝ちです。後方を追走した5番人気(11対1)のセイフティー・チェック Safety Check が、外に出して追い込み、頭差の3着。

リチャード・ハノン厩舎、ジェームス・ドイル騎乗のトールモアは、前走の後でゴドルフィンの所有に帰した4歳馬で、これまでは主にリチャード・ヒューズが騎乗してきました。今回からゴドルフィン主戦のジェームス・ドイルとの初コンビで臨みましたが、厩舎はハノン師のまま。ドイルもヒューズのアドヴァイスを受けての好判断でした。
トールモアは2歳時に同じグッドウッドでヴィンテージ・ステークスに勝ってクラシック路線に乗った馬で、勝鞍は3歳時のクレイヴァン・ステークス(GⅢ)以来。2000ギニーは7着でしたが、その後もトップ・クラスで好走し、去年はクィーン・エリザベスⅡ世ステークス3着で終戦。今期もデビューのロッキンジ・ステークスが2着、クィーン・アン・ステークスも4着と何れもGⅠを使われ、一ランク落ちたここでは順当勝ちです。恐らく次走はドーヴィルのジャック・ル・マロワ賞になるでしょう。

 

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