ジャンとチェン
今日もプロムス試聴記ですが、明日からチョッと暑さを避けてきますので、次のレポートは何日か後になる予定です。プロムス自体も丁度4分の1ほど過ぎた地点ですから、クォーターの限りの良い所で、ということにしておきましょう。
先の水曜日に行われたプロムスはBBCウェールズ・ナショナル管の出演で、指揮者は中国の女性指揮者ジャンさん。演奏作品にも中国出身のチェン氏の大作があって、チャイニーズなコンサートでした。
7月29日 ≪Prom 15≫
プロコフィエフ/交響曲第1番
チーガン・チェン Quigan Chen/Iris devoilee
~休憩~
ラフマニノフ/交響曲第2番
BBCウェールズ・ナショナル・オーケストラ
指揮/ジャン・ジャン Xian Zhang
ソプラノ/Meng Meng 、Anu Komsi 、Piia Komsi
琵琶 Pipa/Jia Li
Zheng/Jing Chang
Erhu/Nan Wang
指揮者の Xian Zhang さんは日本で何と表記されているのか判りませんが、どうも「ジャン・ジャン」が一般的に使われているようですね。漢字では「張弦」と表記するようで、女性の歳を明かすのは大変に失礼ですが、1973年生まれだそうです。
今はミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団の音楽監督を務めているということですから、相当な才女なんでしょう。故マゼールに認められてニューヨーク・フィルで研鑽を積んだ由。
今回はロシアの交響曲2曲の間に同郷のチーガン・チェンの作品をロンドン初演しています。
チェンは漢字では「陳其鋼」と表記し、1951年に上海で生まれた作曲家。政治的なスタンスは不明ですが、文化大革命の被害者という世代で、フランスでメシアンに師事し、1992年にフランス国籍取得を所得しています。ホームページで更に詳しい経歴を・・・。
今回取り上げられた作品は「ヴェールを取られたイリス」と訳されているようで、NMLでもムハイ・タン(初演者)指揮フランス国立管弦楽団のエラート盤が聴けます。9部から成る40分の大作で、詳しく内容を知りたい方はナクソスのホームページを検索すれば、会員登録が無くても内容だけは確認できます。この際入会して全曲タップリ聴かれることをお勧めします、ってこれはナクソスの宣伝ですけど。
作品は女声3声と3つの中国古典楽器と管弦楽のために2001年に作曲され、スコアはフランスのビロドー社から貸譜ということです。女声独唱の一人は所謂京劇の歌手で、音だけ聴いていると猫の鳴き声(失礼!)みたい。
また中国古典楽器とは琵琶、琴、二胡に相当するみたいで、プロムスの写真によると演奏しているのは何れも女性奏者です。また英国人(?)歌手二人は姉妹かも。中国の作品らしく、音を極めて節約して使っているようで、全体的には静的な印象。
最後のラフマニノフは第4楽章に2か所、かなり大きなカットあります。更にシンバル・クラッシュの加筆も聴こえますが、ジャン女史によると作品をコンパクトにする処置で、ロシア人指揮者も良くやっているという見解。私は余り賛成できませんが。
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