英国音楽は尾高

数日間サボって周回遅れになっていたプロムス観戦、何とか追い付いてきたようです。今日は8月5日、我が尾高忠明が古巣BBCウェールズ管を振ったオール・イギリス作品のプログラム。

8月5日 ≪Prom 26≫
ウォルトン/「スピットファイア」前奏曲とフーガ
ヴォーン=ウィリアムス/コンチェルト・アカデミコ
グレース・ウイリアムズ Grace Williams/Fairest of Stars
     ~休憩~
エルガー/序曲「フロワサール」
ウォルトン/交響曲第2番
 BBCウェールズ・ナショナル・オーケストラ
 指揮/尾高忠明
 ヴァイオリン/クロエ・ハンスリップ Chloe Hanslip
 ソプラノ/アイリシュ・タイナン Ailish Tynan

プロムスには20年来出演し続けている尾高、「オダカ」と濁るのが正しい表記ですが、英国では専ら「オタカ」と発音されています。これに付いてはかつてマエストロサロンで、濁るよりも「OTAKA」と澄んで発音した方が英国では親しみ易いとアドヴァイスされ、これで通していると訊いた聴いた覚えがあります。
もちろんマエストロの英国初登場の頃の逸話で、未だ中ストロ、なんて駄洒落を言っていた頃の話。そもそも忠さん、初めてイギリスに行った頃はエルガーが好きになれず、ファックスの遣り取りでも「Elger」と書いて注意されたという昔話も披露してくれましたっけ。それが今や英国音楽なら尾高、それがロンドンでも当たり前の評価になっているのですから、大したものです。

今回は前半が比較的珍しい作品、後半は堂々たる英国の管弦楽名作を並べてプロムスっ子を沸かせました。

その前半、残念ながら私は全てスコアを所持しておらず、純粋に音だけで楽しみました。ウォルトンは第2次大戦中の映画に付けた音楽で、当時イギリスと日本は敵対関係。戦後70年で日英合作の演奏が実現するとは、ウォルトンも想像できなかったでしょう。
2曲目はヴァイオリンと弦合奏によるヴァイオリン協奏曲。伝統的な3楽章から成る作品で、今回は若手も若手、クロエ嬢の素晴らしいソロが聴けます。

何とアンコールも弦楽合奏が参加し、日本でも定番の「愛の挨拶」。かつてロッホランが、これをアンコールする習慣はイギリスには無い、良いアイディアだと語っていたのを思い出しました。これも日本の知恵がイギリスに受け入れられたということでしょう。

前半の最後は、1906年ウェールズ生まれのグレース・ウイリアムズの作品。ミルトンの失楽園第5巻にテキストを取った作品で、ソプラノ独唱と管弦楽のための歌曲集。そもそもBBCウェールズ管の委嘱によって生まれた作品です。
来年は生誕110年となるウイリアムズ、プロムスでも纏めて作品を取り上げる計画なのだそうです。日本では先ず絶対に聴けない作曲家でしょう。交響曲は2曲、ヴァイオリン協奏曲、トランペット協奏曲などが残されています。

後半は、如何にも尾高らしい加熱し過ぎない秀演。

 

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