ナッセン指揮、BBC響の詩的作品集

引き続きプロムス、先週木曜日のコンサートです。何処に焦点があるのか簡単には判らないプログラムですが、どうも詩や絵画などに触発された作品を並べたということのようでした。
指揮のナッセンは確かN響にも登場した筈ですが、個人的にはグラインドボーン音楽祭の中継で見た「怪獣達のいる所」の印象が強い作曲家であり指揮者です。

8月6日 ≪Proms 28≫
デュカス/魔法使いの弟子
マーク=アンソニー・ターネジ Mark-Anthony Turnage/On Opnened Ground
     ~休憩~
ガンサー・シュラー Gunther Schuller/ポール・クレーの絵画による7つの練習曲
スクリャービン/法悦の詩
 BBC交響楽団
 指揮/オリヴァー・ナッセン Oliver Knussen
 ヴィオラ/ローレンス・パワー Lawrence Power

冒頭のデュカスは、シベリウスなどと同じく今年が生誕150年という祝祭の意味もあるでしょう。
続くターネジの作品はヴィオラ協奏曲で、シェイマス・ヒーニーの詩に敬意を表して作曲された25分ほどの作品。全2楽章構成。楽譜の情報はショット社のホームページにあり、↓

http://www.schott-music.com/shop/9/show,174657.html

サンプル・ページを見ることも出来ます。

後半のシュラーは1925年11月生まれ、今年6月に90歳目前で亡くなったアメリカの作曲家。ニューヨーク・フィルでホルンとヴァイオリンを演奏していたと言いますから、かなり器用な人ですね。ナッセンやターネジの先生にも当たる方。
この作品はアンタル・ドラティのために書かれたもので、ドラティーのマーキュリー盤が出ています。私もその盤で興味を持ってスコアまで取り寄せましたが、クレーも音楽的題材の絵画が多い人。タイトルの様に7楽章から成りますが、多くはウェーベルン風の短い楽章が続きます。
一般的に面白いのは第3曲で、ほとんどジャズ。コントラバスのソロがピチカートでリズムを刻み、トランペットはフェルト帽子を乗せて演奏する辺りはガーシュウィンそっくり。なお第5曲のMからOは、楽譜にも指示がある通りカットして演奏していました。

最後はスクリャービンのややセクシャルな法悦の詩。文字通り「ポエム」ですが、BBC響は実に巧いし、BBCのハイ・デフィニション・サウンドも、ネット中継とは思えないほど良い音がします。

 

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