メット、ホイットニーとGⅠ戦2連勝

昨日のアメリカ競馬は3場で合計6鞍のG戦、新しくG戦に格上げされたレース、改名されたレースなどを含めて報告して行きましょう。

先ずはニューヨーク州のサラトガ競馬場から、土曜日は二つのGⅠを含め3鞍のG戦が行われました。最初は3歳牝馬の短距離GⅠのテスト・ステークス Test S (GⅠ、3歳牝、7ハロン)。fast の馬場に10頭が出走、去年の2歳牝馬チャンピオンのテイク・チャージ・ブランディ Take Charge Brandi が右膝骨折の休養明けで注目されましたが、やはり故障明けの不安から8対1の6番人気。替って5対2の1番人気に支持されたのは、前走ベルモントで一般ステークス(ジャージー・ガール・ステークス)を快勝したカヴォーティング Cavorting
レースは好ダッシュからテイク・チャージ・ブランディが飛び出して逃げましたが、直線に入って直ぐに息が持たず急速にバテて後退、これを2番手で追走していた8番人気(15対1)の伏兵バー・オブ・ゴールド Bar of Gold が交わして逃げ込みを図りましたが、前半は後方2番手に控えていたカヴォーティングが外から一気に追い込むと、バー・オブ・ゴールドを2馬身半差し切って人気に応えました。更に1馬身4分の3差で2番人気(7対2)のバイ・ザ・ムーン By the Moon が後方から追い込んで3着。
キアラン・マクローリン厩舎、イラッド・オルティス騎乗のカヴォーティングは、2歳時にここサラトガでアディロンダック・ステークス(GⅡ)を制していた馬で、これがGⅠ戦は初勝利。いずれはGⅠを勝てる馬と目されていた逸材ですが、相性の良いサラトガ夏競馬で念願を叶えています。天皇賞馬スピルバーグと同じファミリーということでも親しみが沸く血統。

続いてもGⅠ戦のホイットニー・ステークス Whitney S (GⅠ、3歳上、9ハロン)。勝馬にはBCクラシックへの優先出走権が与えられます。1頭が取り消して9頭立てとなりましたが、GⅠ級の馬がズラリ登場、BCへのステップに相応しいメンバーが揃いました。7対2で2頭が並びましたが、僅かの差で去年のベルモント・ステークスとジョッキー・クラブ・ゴールド・カップを制したトーナリスト Tonalist が1番人気、同じオッズで前走メトロポリタン・ハンデに勝ってGⅠ馬の仲間入りを果たしたオーナー・コード Honor Code が続きます。
レースは4番人気(5対1)のリーアムズ・マップ Liam’s Map が大逃げを打ち、後続を5馬身引き離したまま直線。そのまま逃げ切るかと思われましたが、前半は前のグループから10馬身以上も置かれていた3頭の中から人気の2頭が直線で一気に差を詰め、ゴール寸前でオナー・コードがリーアムズ・マップを首差捉えて優勝。1馬身半差の3着に本命トーナリストがこれまた追い込んでの3着に入りました。8番人気(19対1)と人気を落としていた去年の勝馬モレノ Moreno は、2番手追走も人気と同じ8着に敗れています。
クロード・マゴーヒー厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のオナー・コードは、上記メトロポリタン・ハンデに続くGⅠ2連勝。今年3月にはガルフストリーム・パーク・ハンデ(GⅡ)にも勝っており、これが通算8戦6勝2着2回と連帯率100%の4歳馬。今年のBCでアメリカン・フェイロー American Pharoah に一矢を報いる古馬となれるかが注目されます。大種牡馬エー・ピー・インディー A.P.Indy 最後の産駒として、父にビッグなプレゼントを捧げることができるでしょうか。

サラトガの最後はウェイア・ステークス Waya S (芝GⅢ、3歳上牝、12ハロン)。何やら聞き慣れないレース名かと思われますが、今年からGⅢに格上げされた芝の牝馬長距離戦。レース名のウェイアはフランスとアメリカで芝の長距離戦で活躍した名牝で、フランスではオペラ賞、アメリカでもマンノ・ウォー・ステークスなど多くのGⅠ戦を制しており、このレース名に相応しいと言えるでしょう。1992年に創設されましたが、間歇的に施行されて今年が17回目、距離ももっと短い距離で行われた年もあります。今年は firm の馬場に1頭が取り消して11頭立て、前走ゲイムリー・ステークス(芝GⅠ)で5着のダンザ・カヴァロ Danza Cavallo が5対2の1番人気に支持されていました。
レースは出走馬中唯1頭の逃げ馬でもある3番人気(9対2)のゴールディー・エスポニー Goldy Espony がスローペースに落としての逃げ。結局逃げ馬の作戦に嵌った各馬も追い上げましたが、最後は大混戦の2着争いを尻目に3馬身4分の1差の逃げ切り勝ち。写真判定の結果、2番人気(7対2)のイースタン・ベル Eastern belle が2着に飛び込み、首差で7番人気(11対1)のホワイト・ローズ White Rose が3着。ダンザ・カヴァロは2番手追走も10着大敗に終わりました。
チャド・ブラウン厩舎、ケンディック・カームーシュ騎乗のゴールディー・エスポニーは、これがアメリカでのG戦初勝利。去年はフランスのアレックス・パンタル厩舎に所属してペネーロープ賞(GⅢ)に勝っていましたが、去年秋にアメリカに転じ、前走一般ステークス(リヴァー・メモリーズ・ステークス)を含めて3連勝となる4歳馬。フランス産馬でフランスからアメリカに転戦したあたり、ウェイアほどではないにせよ、レース名に相応しい勝馬と言えるでしょう。

次はケンタッキー州エリス・パーク競馬場からグルーピー・ドール・ステークス Groupie Doll S (GⅢ、3歳上牝、8ハロン)。これまた聞き慣れないレース名ですが、去年まではガーデニア・ステークスとして知られていたもの。今年から改名された一戦で、4頭が取り消し又は除外となって12頭立て。G戦は未勝利ながら前走一般ステークス(マリ・ハルマン・ジョージ・ステークス)2着のコール・パット Call Pat が7対2の1番人気。
レースは10番人気(22対1)の伏兵フィオレッティー Fioretti が後続を6馬身引き離しての大逃げ。4馬身差を保ったまま直線に入り、そのまま大穴かと思われましたが、前半は最後方で待機していた本命コール・パットが徐々に順位を上げ、内から一気に抜け出すと、逃げ馬を半馬身捉えて鮮やかな差し切り勝ち。1馬身4分の3差で4番手を追走した11番人気(25対1)のピストルパックインペニー Pistolpackinpenny が3着に入り、入着馬は波乱となりました。
ブラッド・コックス厩舎、ジョセフ・ロッコ騎乗のコール・パットは、これで25戦5勝となる5歳馬で、これがステークスそのものも初勝利。これまでもオーナーが度々替わり、ロッコ師の管理下に入ったのは去年の秋からでした。

8月8日の最後はカリフォルニアのデル・マー競馬場から2鞍。先ずベスト・パル・ステークス Best Pal S (GⅡ、2歳、6.5ハロン)。今年カリフォルニアで行われる最初の2歳G戦で、6頭の若駒が出走、前走サンタ・アニタでデビュー勝ちしたナイクィストNyquist がイーヴンの1番人気でしたが、未だ勢力比較は始まったばかり、チャンスは他の馬にもありそう。
本命馬と同じ厩舎、同じオーナーの3番人気(6対1)ファウンド・マネー Found Money が逃げ、ナイキストは2番手を追走。直線内から伸びる馬を横目に見て2頭を外から捉えたナイキスト、4番手追走の2番人気(5対2)スワイプ Swipe に5馬身4分の1差を付けて最初の2歳タイトルを獲得しました。半馬身差で同じく3番人気(6対1)のアニーズ・キャンディー Annie’s Candy が3着。
ダグ・オネイル厩舎、マリオ・グティエレス騎乗のナイキストは、これで2戦2勝。上記デビュー戦では今回3着のアニーズ・キャンディーが2着で着差は頭差でしたが、今回は6馬身差。デビュー戦より成長していることは明らかでしょう。

最後は、2009まではGⅠだったジョン・C・メイビー・ステークス John C. Mabee S (芝GⅡ、3歳上牝、9ハロン)。firm の馬場に1頭が取り消して8頭立て。前走ロイヤル・ヒロイン・ステークス(芝GⅡ)に勝ったファンティコラ Fanticola が8対5の1番人気。
そのファンティコラが逃げ切りを図りましたが、第3コーナーの手前で最後方で待機していた5番人気(8対1)のクィーン・オブ・ザ・サンド Queen of The Sand が一気に仕掛けてレースが動き、最後は4~5頭が横一線でゴールする激しいレース。結局写真判定の結果、4番手から伸びた2番人気(3対1)のイレクトラム Elektrum が頭差でクィーン・オブ・ザ・サンドを抑えて優勝。首差で5番手を進んだ3番人気(5対1)のエモーショナル・キッテン Emotional Kitten が3着に入り、ファンティコラも首差4着で惜敗。
ジョン・サドラー厩舎、ヴィクター・エスピノザ騎乗のイレクトラムは、アイルランド産でフランスで走っていた4歳馬。2勝したフランス時代はジュセッペ・ボッティ厩舎に所属し、2400メートルのリステッド戦で3着、イタリア・オークスに遠征して5着などの実績があり、アメリカに転じてからは前走ゲイムリー・ステークス(芝GⅠ)で4着に来ていました。

 

 

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