パリ生まれの作品たち

8月11日のプロムスはジャズ系の音楽でしたから当方は1回パスし、翌日のコンサートを聴きました。と言うことは正に昨日の夜行われたばかりの会で、これで完全に現地に追い付いたことになります。日本時間では今朝早朝まで放送されていました。

8月12日 ≪Prom 36≫
ブーレーズ/フィグール―ドゥーブル―プリズム
     ~休憩~
ラヴェル(ブーレーズ編)/口絵 Frontispice
ラヴェル/左手のためのピアノ協奏曲
ストラヴィンスキー/バレエ音楽「火の鳥」
 BBC交響楽団
 指揮/フランソワ=クサヴィエ・ロト Francois-Xavier Roth
 ピアノ/マルク=アンドレ・アムラン Marc-Andre Hamelin

今回BBC響を振ったロトは、7月に読響定期を振ったばかり。残念ながら私は都合でパスしてしまいましたが、ブーレーズとハイドンという意表を突くプログラムを楽しまれた方も多いと思います。
ロトがプロムスで並べたのは、全てパリで初演された作品と言うのがコンセプト。ロト自身もパリ生まれで、敢えて犬猿の仲のロンドンっ子の度肝を抜こうという魂胆でしょう。
英国人とフランス人が仲が悪いのは有名で、私も4年ほど前に英国内バス・ツアーでドーヴァーに行ったら、英国人ガイドが“対岸の人たちの考えは理解できない”なんて言ってました。でもそれは建前のようで、ドビュッシーなんかは英国大好き人間でしたし、プロムスでもロトの人気は相当なもの。この日はピンクのタイで登場すると、客席からブラヴォ~がかかっていました。

前半のブーレーズはプロムス初演。シュトックハウゼンの三群のオーケストラのための「グルッペン」に呼応する作品で、ブーレーズの最初のオーケストラ作品です。ブーレーズはシュトックハウゼンとは気が合ったそうですが、前衛三羽烏のもう一人、ノーノとは仲が悪かった由。

後半はブーレーズがラヴェルの作品をオーケストレーションした小品からスタート。口絵は2台ピアノ用の作品ですが5手のための作品で、3人のピアニストが必要。非現実的な組み合わせなので、その存在すら余り知られていません。2分も掛からない短いもので、5つの音から成るモチーフが後半はコラール風に扱われてあっという間に終了。
ブーレーズがオーケストレーションしたのは10年前だそうで、今回がプロムス初演。ダフニスとクロエを連想させる編曲で、ラヴェルを良く知るブーレーズならでは。

続いて演奏された左手協奏曲は、もちろん今年のプロムスの柱でもあるピアノ協奏曲選の一環で、ラヴェルはこれで2曲とも取り上げられたことになります。アムランはフランス系ですが、生まれはモントリオール。
アムランのアンコールは、ドビュッシーの「水の反映」。

最後はストラヴィンスキーの3大バレエの一つ。今年のプロムスでは3大バレエが全曲演奏されることになっており、ストルゴートのペトルーシュカ、そして今回の火の鳥、リットンの春の祭典で完結。ロトは既にプロムスで春の祭典を演奏していました。

BBC響はプロムスに12回登場する予定ですが、これは6回目。丁度折り返し点に当たります。

 

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