千両役者バレンボイム

一昨年はベートーヴェン交響曲全曲シリーズ、去年はワーグナーの指輪全曲でプロムスを沸かせたダニエル・バレンボイム、今年のプロムスはこの演奏会だけですが・・・。
今回は2012年、ロンドン五輪の年にベートーヴェンを全曲取り上げたウエスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団との共演です。もちろん今年のテーマである「西洋と東洋の邂逅」の一環。

8月20日 ≪Prom 46≫
モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲
アヤル・アドラー Ayal Adler/Resonating Sounds (イギリス初演)
カリーム・ルーストム Kareem Roustom/Ramal (イギリス初演)
     ~休憩~
ラヴェル/スペイン狂詩曲
ラヴェル/道化師の朝の歌
ラヴェル/亡き王女のためのパヴァーヌ
ラヴェル/ボレロ
 ウエスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団 West-Eastern Divan Orchestra
 指揮/ダニエル・バレンボイム Daniel Barenboim

今回は同オケのヨーロッパ・ツアーの一環としての登場。ザルツブルクやルツェルン音楽祭の合間を縫っての楽都ロンドンです。幕開けはスペインのセヴィリアを舞台にしたモーツァルトの序曲。
前半に英国初演された2曲は、オーケストラの趣旨にも沿った中東の作曲家2人。共にNMLでは聴けない珍しい曲目でした。アドラーはイスラエルの作曲家で、プロフィールは自身のホームページを。

http://www.ayaladler.com/

今回演奏されたのは10分前後の短いもの。

続くルーストムはシリアの作曲家で、そのプロフィールはロンドン大学のホームページから。

http://www.brunel.ac.uk/bicmem/composers/kareem-roustom

13分ほどのリズミックな音楽。

後半は今年のプロムスで集中的に取り上げられているラヴェルの作品から、スペイン関係を4曲纏めて演奏。当然ながらボレロが終わると客席は総立ち、アンコールが要求されます。
先ずはビゼーの歌劇「カルメン」第4幕間奏曲、アラゴネーズでラヴェルから自然に繋がります。これで終わりじゃなく、続けてカルメンの第3幕間奏曲。
ここまで来るともう一丁、という感じで第2幕間奏曲「アルカラの竜騎兵」。楽員が最後の三つの音に“セ・フィ・二  c’est fini ”とやったのは爆笑しました。フランス語で「お仕舞」という意味ですが、これが最後ではなく第1幕前奏曲も。始まると同時に聴衆は一斉に手拍子を打ち、もうラデッキー状態。

前半で平和を世に問うたバレンボイム、後半では徹底したエンターテインメント。やっぱりバレンボイムは千両役者じゃ。

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