プロムスの「後宮よりの逃走」
昨日のプロムスは、毎年グラインドボーン音楽祭がロイヤル・アルバート・ホールにセミ・ステージを設置して行われる引っ越し公演でした。今年の出し物は、
8月14日 ≪Prom 39≫
モーツァルト/歌劇「後宮よりの逃走」(セミ・ステージ、ドイツ語歌唱)
エイジ・オブ・エンライトンメント管弦楽団
指揮/ロビン・ティッチアーティ Robin Ticciati
プロダクション/グラインドボーン祝祭歌劇場
ベルモンテ/エドガラス・モンヴィダス Edgaras Montvidas
コンスタンツェ/サリー・マシューズ Sally Matthews
ブロンデ/マリ・エリクスモーン Mari Eriksmoen
ペドリルロ/プレンデン・パトリック・ガネル Brenden Patrick Gunnell
オスミン/トビアス・ケーラー Tobias Kehrer
パシャ・セリム/フランク・ソレール Franck Saurel
去年からグラインドボーンの音楽監督を務めるティッチアーティの指揮、デヴィッド・マクヴィカーによる新プロダクションです。
オーケストラはピリオド楽器による団体、エイジ・オブ・エンライトンメント管弦楽団で、序曲からピッコロのトリルを加えたり、打楽器のトルコ風即興を加えたりと、伝統的なヨーロッパ・スタイルの公演とは一味も二味も異なるものでした。
会場のノイズが結構大きく収録され、客席の反応も笑いあり、拍手あり。やはり音だけで聴いていると、どうしても映像が見たくなってしまうのは止むを得ないでしょう。グラインドボーンでの公演が何れオンエアされるか、DVDで発売されるのを待つしかありません。
演出などの感じが全く判りませんが、全3幕は各幕毎に休憩が入り、ドイツ語の台詞もほぼ原作通り。少なくとも音楽面ではオリジナルを忠実に再現していました。
カットなどは一切ありませんが、逆に加筆部分がかなりの箇所にあるのも特徴。例えばセリムの登場場面では合唱に先立ってオリジナルには無いマーチが演奏されますし、演出の都合か、モーツァルトのセレナードなどがバックグラウンドで流れたりもします。この辺りは想像で判断するしかありません。
更にアリアに付いても、特に第2幕は女性のアリアが連続して歌われますが、全て原曲に若干の小節が加わっています。オペラの最新事情には疎いのですが、新しい校訂稿が存在するのか、あるいは当プロダクションのために誰かが敢えて加筆したのか。スコアを見ながら聴いていると、ドキッとさせられる個所が続きました。
13回の公演をこなしてきたプロダクションですから、演者(ほとんど演劇に近い)たちの呼吸、せりふ回しなども淀みがなく完璧に練り上げられている印象。やっぱり映像付きで見たいですね。それとも恐らく来年も続演されるでしょうから、グラインドボーンに直接出掛けて観るか・・・。
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