凱旋門賞へ、準備万端

一方、フランスのドーヴィル競馬場では3鞍のG戦が行われましたが、馬場は更に悪化して heavy 、最早夏競馬を通り越し、秋競馬を連想させるような馬場状態でした。もちろん大注目はGⅡのギョーム・ドルナーノですが、ここはレース順に。

先ずは3歳牝馬のマイル戦、リューレー賞 Prix de Lieurey (GⅢ、3歳牝、1600メートル)。馬場を嫌って2頭が取り消し10頭立て。シャンティーの未勝利戦、ボルドーの条件戦、ドーヴィルの条件戦と今期デビューから目下3戦無敗の新星ムーンライト・イン・パリ Moonlight In Paris が9対5の1番人気。
ブービー人気(269対10)のヴァラナ Varana が逃げ、本命ムーンライト・イン・パリは後方3頭の中。残り2ハロン、3番手に付けていた2番人気(12対5)のマイマーラ Maimara が抜けると、後方から追い込む6番人気(201対10)のアカテア Akatea に2馬身半差を付け優勝。ムーンライト・イン・パリも良く追い上げましたが、更に1馬身4分の1差の3着に終わっています。

ミケール・デルザングレ厩舎、グレゴリー・ブノア騎乗のマイマーラは、仏1000ギニーでは8着に終わったものの、次走クロエ賞(GⅢ)で2着、前走メゾン=ラフィットのリステッド戦(パガテル賞)に勝っての2連勝で、G戦初勝利となります。

続いては注目のギョーム・ドルナーノ賞 Prix Guillaume d’Ornano (GⅡ、3歳、2000メートル)。何故このGⅡ戦が注目されるかと言うと、仏ダービー馬ニュー・ベイ New Bay がダービー以来の出走となるから。エクリプス、キングジョージを何れも取り消し、結果的には2か月半振りの実戦となりますが、6頭立てのここはイーヴンの断然1番人気。凱旋門賞に目処を付けるためにも、ここは好走が条件となりましょう。

陣営は大本命のためにペースメーカーを準備し、カウンターメジャー Countermeasure (187対10、4番人気)がペースを作ります。これを2番手で待機したニュー・ベイ、楽々と先頭に立って直線に向かうと、右に寄れてラチ沿いに進路を取りながらも、4番手追走の3番人気(17対5)ダリーヤン Dariyan (ユージェーヌ・アダム賞に圧勝)にムチを入れることなく1馬身半差の完勝。更に最後方から2馬身半差で2番人気(9対5)のアンペール Ampere (パリ大賞典2着)が3着に入りました。
今年の仏ダービーを制したアンドレ・ファーブル師は、今年の凱旋門賞をこの馬に掛け、8度目の勝利を目指します。鞍上の若手ヴィンセント・シェミノーも凱旋門賞初制覇に向け虎視眈々。オーナーのハーリッド・アブダッラー氏も、不良馬場での2000メートル圧勝で、2400メートルへの確信を持った様子。
この結果ニュー・ベイの凱旋門賞オッズは8対1に上がり、現時点では3番人気タイとなります。もちろん1番人気は5対2のトレーヴ Treve で、英ダービー馬ゴールデン・ホーン Golden Horn が5対1の2番人気。そして愛ダービー馬ジャック・ホッブス Jack Hobbs が8対1でニュー・ベイと並ぶ状況。今年の凱旋門賞は、3連覇を掛けるトレーヴ対ダービー馬3頭と言う構図で、近年にない期待感が沸いてきました。日本からの参戦はなさそうですが、大一番をシッカリと目に焼き付けましょう。

さて最後はゴントー=ビロン賞 Prix Gontaut-Biron (GⅢ、4歳上、2000メートル)。8頭が出走し、前走ラ・フォース賞(GⅢ)でG戦初勝利を飾った4歳馬のべロ・マッテオ Bello Matteo が29対10の1番人気。
そのべロ・マッテオ、スタートから主導権を奪うと、そのまま中団から伸びる2番人気(31対10)のフリー・ポート・ラックス Free Port Lux に1馬身差を付ける堂々の逃げ切り勝ち。頭差で2番手を進んだブービー人気(168対10)のトラヴェルティーヌ Travertine が3着に入っています。

同馬を管理するローマン・ル・ガル調教師、前走に続いて逃げ切ったアレクシス・バデル騎手に付いては、ラ・クープのレポート(6月13日の競馬日記)で詳しく紹介しました。これで4連勝、通算成績も12戦5勝となっています。

 

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