2015ヨーク競馬場ダンテ開催2日目
昨日はヨーク競馬場のダンテ開催の中日、2鞍のG戦が行われました。馬場は good 、日本ならさしずめ稍重と言った状態で、馬にとっては最も走り易い状態でしょう。
最初はミドルトン・ステークス Middleton S (GⅡ、4歳上牝、1マイル2ハロン88ヤード)。1頭が取り消して8頭立て。前走ニューマーケットのダリア・ステークス(GⅡ)に勝ったスタウト厩舎、ムーア騎乗のブラッギング Bragging が15対8の1番人気に支持されていました。ところでダリア・ステークス、そのレポートで今年からGⅡに格上げされていたことを書き落としていました。ここで追加しておきます。
さてレースは2番人気(7対2)のシークレット・ジェスチャー Secret Gesture が逃げ、ブラッギングは3番手に待機。シークレット・ジェスチャーが後続との差を保ったまま直線に入り、そこから再びスパートすると、2番手を追走していた6番人気(12対1)のタルマーダ Talmada に1馬身半の差を付けたまま逃げ切ってしまいました。ブラッギングも良い手応えで追走していましたが、残り2ハロンで何故か一杯になり、6着に後退。替って5番手で待機していたGⅠ(ジャン・ロマネ賞)馬リボンズ Ribbons が追い込んで首差の3着。
もう1頭のGⅠ馬(ブリティッシュ・チャンピオン・フィリーズ・アンド・メアーズ)マダム・チャン Madame Chiang が5着に入っていますが、GⅠ馬2頭は3ポンドのペナルティーを背負っていましたから、特にリボンズは好走と言えるでしょう。
ラルフ・ベケット厩舎、アンドレア・アトゼニが騎乗したシークレット・ジェスチャーは、3歳時にはオークスとドイツ・オークスで2着しており、去年のミドルトンでも2着だった5歳馬。去年はジャン・ロマネ賞でリボンズの3着したあとBC(フィリー・アンド・メア・ターフ)に遠征して5着でした。
オーナーのシェイク・ファハド氏はそのあと検討を重ね、もう1シーズン現役を続ける決定を下したという経緯があります。来月28日にカラー競馬場で行われるプリティー・ポリー・ステークスでGⅠ獲りに挑む公算が大きそうですね。
そしてダービーの重要な、結果的には最後のトライアルとなるダンテ・ステークス Dante S (GⅡ、3歳、1マイル2ハロン88ヤード)。と言ってもダンテからダービーを制したのはオーソライズ Authorized 以来8年間出ていませんが、それだけダービー路線は多様化しているということでもありましょう。2冠馬すら最近は絶えて久しい状態です。
1頭が取り消して7頭立て。エイダン・オブライエン厩舎が冬場のダービー本命だったジョン・エフ・ケネディー John F Kennedy (ライアン・ムーア)ともう1頭のダービー候補オル・マン・リヴァー Ol’ Man River (ジョセフ・オブライエン)を出走させてきましたが、1番人気(2対1)は、これも2頭出しジョン・ゴスデン厩舎の第1ヴァイオリン役・ジャック・ホッブス Jack Hobbs でした。目下2連勝、特に前走サンダウンのハンデ戦は2着に12馬身差を付ける圧巻の内容。ジョン・エフ・ケネディーは前走の惨敗が嫌われてか4番人気(4対1)にまで落ちています。
最低人気(40対1)のロード・ベン・スタック Lord Ben Stack が逃げましたが、これは格下。2番手に付けていた2番人気(7対2)で今期初戦となるレーシング・ポスト・トロフィー勝馬エルム・パーク Elm Park 、3番手でマークした本命ジャック・ホッブス、そして後方2頭を形成していたゴスデン厩舎の第2ヴァイオリン役で3番人気(4対1)のゴールデン・ホーン Golden Horn の3頭が抜け出し、人気上位3頭の争いに絞られました。
この叩き合いを制したのはゴールデン・ホーンで、同厩のジャック・ホッブスに2馬身4分の3差、3着エルム・パークには更に3馬身4分の1差を付ける完勝です。4着以下は13馬身もの大差が付く完敗で、オブライエンの2頭はオル・マン・リヴァーがブービー、ジョン・エフ・ケネディーはそれからも12馬身離された最下位に惨敗してしまいました。
ワン・ツー・フィニッシュでダンテを制したゴスデン師、勝馬にはウイリアム・ビュイックが、2着にはフランキー・デットーリが騎乗していました。この2頭、そのままダービー挑戦と行きたいところですが、若干の不安もあります。
先ず勝ったゴールデン・ホーンにはダービーの登録がありません。更に父がケープ・クロス Cape Cross ということで、ダンテの距離1マイル4分の1がスタミナの限界と見ることも出来そう。前走ニューマーケットでリステッド戦(フィールデン・ステークス)に勝った時点でも狙うとすれば仏ダービーか、と考えていた陣営ですが、ダンテで繰り出した瞬発力を見れば、エプサムも検討しなければならないでしょう。それを見越してブックメーカーはダービーのオッズを事前の20対1から一気に5対2にまで上げてきました。いずれにしても最終決定はオーナー(アンソニー・オッペンハイマー氏)が下すことです。
一方2着のジャック・ホッブスは、血統がクラシック・タイプではなく、2歳のデビュー戦がウルヴァーハンプトンだったこと自体がクラシックらは無縁と見做されていたことの証明でもあります。それでもこの快走、こちらはダービーに進む可能性は高そうですが、やはり勝つにはそれに相応しい血統が必要、というのが英国競馬の常識でもありましょう。
惨めな結果に失望の色を隠せないオブライエン師、ジョン・エフ・ケネディーは前走の敗因を馬場に求めていましたが、この日は言い訳の出来ない敗退。敗因はそれ以外にあるようで、ダービー参戦は無くなりました。このあとは放牧に出すとのこと。
名門がダービーに何を参戦させるかは残り2週間の動きで決まりますが、間違ってもグレンイーグルス Gleneagles を出走させることはありません。師は同馬をマイラーと断定しています。
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