パーフェクト・ダービー!

早起きしてダービーをチェックしたところです。前日のオークスは結果にスタンドが静まり返りましたが、昨日はその正反対。結果に観客も大満足、人気通りの結果にエプサムの丘は歓呼に包まれたようですね。

昨日のエプサム競馬場は good to firm 、オークスより固い馬場でGⅠ2鞍が行われましたが、先ずはクラシックのダービー Derby (GⅠ、3歳牡牝、1マイル4ハロン10ヤード)から行きましょう。こちらも最終登録の12頭が出走し、無敗馬対決となったダンテ・ステークス(GⅡ)を制したゴールデン・ホーン Golden Horn が13対8の1番人気。ダンテで2着に敗れたとは言え、それまで無敗で来た同厩のジャック・ホッブス Jack Hobbs が4対1の2番人気で続きます。
ダービー3連覇を達成したアイルランドのエイダン・オブライエン厩舎は冬場の候補が次々と脱落し、結局本命になるほどの実績馬が登場しないまま本番を迎えた感があり、3頭出しの中からライアン・ムーアが選んだジョヴァンニ・カナレット Giovanni Canaletto が6対1の3番人気に推されていました。

レースはスタートから4番人気(9対1)でダンテ3着のエルム・パーク Elm Park が逃げ、これをオブライエン軍団の7番人気(14対1)ハンス・ホルバイン Hans Holbein が追走して速いペース。スタミナに疑問のある馬には誤魔化し様のない流れとなりました。レース前にスタミナを疑問視されることもあったゴールデン・ホーンは後方4番手に控えます。
タテナム・コーナーを回って直線、先ず2番手追走のハンス・ホルバインが先頭に立ちましたが、残り2ハロンでゴドルフィンの勝負服、2番人気のジャック・ホッブスが替って先頭。このタイミングを計っていたように、残り1ハロンで加速したゴールデン・ホーンが大歓声の中先頭に躍り出ると、ジャック・ホッブスに3馬身半差を付ける人気2頭のワン・ツー・フィニッシュとなりました。やはり本命馬、しかも英国勢が上位独占の結果にスタンドは大興奮。
4馬身半の差が付いて、3着には8番人気(16対1)でハッガス厩舎のストーム・ザ・スターズ Storm the Stars が食い込み、アイルランドのジョヴァンニ・カナレットが4着、人気を落とし(20対1、9番人気)ながらもフランスの期待エピキュリス Epicuris が5着でした。

ワン・ツー・フィニッシュ、人気2頭としても1・2着を達成したジョン・ゴスデン調教師は、1997年のベニー・ザ・ディップ Benny The Dip 以来となる二度目のダービー制覇。また騎乗したランフランコ・デットーリにとっても、2007年オーソライズド Authorized 以来となる2度目のダービーとなります。ダンテ/ダービーのダブルもオーソライズド以来の久々の快挙。
同じ調教師による1・2着は、2002年にハイ・シャパラル High Chaparral とホーク・キング Hawk King で記録したエイダン・オブライエン師以来の快事となりました。
オーナーはアンソニー・オッペンハイマー氏。ダンテ・レポートでも紹介したように、当初ゴールデン・ホーンはダービー登録が無く、ダンテ勝利で真剣に検討。追加登録料は7万5千ポンド(現レートで1000万円ほど)と高額でしたが、ゴスデン師が説得の電話を入れた時には、既にオッペンハイマー氏は腹を決めていたのだそうです。ダービー制覇で陣営が手にしたのは80万ポンド以上ですから、投資は十二分以上にペイしたことになりますね。こういう幸運と勇気にはあやかりたいもの。

当初のスタミナ不安は父ケープ・クロス Cape Cross が短距離系、牝系にも短距離の活躍馬が出ていることにありましたが、ケープ・クロス産駒は2009年のシー・ザ・スターズ Sea The Stars に続く2頭目のダービーですし、2004年のオークスを制したウイジャ・ボード Ouija Board もケープ・クロスの仔。父はリラックスして後方に我慢できるタイプだっただけに、ゴールデン・ホーンも後方から末脚を活かすことが出来たものと思われます。
とは言ってもゴールデン・ホーンは2000メートルのエクリプス・ステークスに登録があり、次走はエクリプスになる模様。そのオッズは6対4に上がり、更にその先の凱旋門賞にはドゥラメンテ等と同じ8対1が出されました。また2着のジャック・ホッブスは愛ダービーに向かい、3着ストーム・ザ・スターズはセントレジャーを目標にするとのことで、こちらには8対1のオッズが出されました。

ダービーは以上、続いてはもう一つのGⅠ戦コロネーション・カップ Coronation Cup (GⅠ、4歳上、1マイル4ハロン10ヤード)に移ります。当初6頭立ての予定でしたが、馬場が固いこともあって2頭が取り消し4頭立て。GⅠにしては寂しい顔ぶれになってしまいました。去年はフランスのワン・ツー(シリュス・デ・ゼーグル Cirrus des Aigles 、フリントシャー Flintshire)だったこともあり、今年もフランスから遠征してきたアガ・カーンのドルニーヤ Dolniya が8対11の1番人気。7対4の2番人気も前年に続く再挑戦となるフリントシャーでした。本命馬は去年の凱旋門賞5着で、前走ドバイのシーマ・クラシックを制した牝馬であることはご存知の通り。

そのドルニーヤは、小頭数ということもあってスミオン騎手の逃げ作戦。これをフリントシャーが2番手で追走し、そのまま行けば順当に1・2着でしたが、差の無い最後方に付けていた3番人気(11対1)のピサーズ・ムーン Pether’s Moon が2頭の間を割って追い込み、ゴール直前でドルニーヤを首差交わして優勝。1馬身半差でフリントシャーは3着に終わりました。最低人気(12対1)のシェイクザイードロード Sheikhzayedroad が人気通り4馬身離されての4着。
リチャード・ハノン厩舎、これがGⅠ初勝利となるパット・ダブス騎乗のピサーズ・ムーンも、GⅠは初制覇となる5歳馬。G戦は去年グローリアス・ステークス(GⅢ)、カンバーランド・ロッジ・ステークス(GⅢ)に続く3勝目ですが、トルコのGⅡ戦に勝ったこともあります。去年のチャンピオン・ステークスは7着、今期はジョン・ポーター(GⅢ)2着、ジョッキー・クラブ・ステークス(GⅡ)3着と来て3戦目での勝利ですが、如何にも相手に恵まれてのGⅠ勝ちという印象は免れないでしょう。
破れたドルニーヤは、次走サン=クルー大賞典でトレーヴ Treve と対決する予定だそうです。

 

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