バレンボイムの長い夜

昨日のプロムスは、すっかり常連として定着した感のあるウエスト=イースタン・ディヴァン管。ゲーテの西東詩編から名前を取ったオケで、アラブとイスラエルの音楽家が共に同じ音符を弾くというコンセプトで、ロンドン五輪の年に行ったベートーヴェン全集が有名です。
指揮者のバレンボイムは、今やクラシック音楽界のドン。ロンドンでの人気も大したものですネ。

8月18日 ≪Prom 44≫
シェーンベルク/室内交響曲第1番
ベートーヴェン/三重協奏曲
     ~休憩~
チャイコフスキー/交響曲第4番
 ウエスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団
 ピアノと指揮/ダニエル・バレンボイム Daniel Barenboim
 ヴァイオリン/ガイ・ブラウンシュタイン Guy Braunstein
 チェロ/キァン・ソルターニ Kian Soltani

演奏された作品は、特に珍しいものではありません。冒頭のシェーンベルクには大編成オケの版もありますが、今回は15人で演奏するオリジナル。最後のチャイコフスキーとは対極にあるもので、それがこのコンーサトのコンセプトでしょうか。
バレンボイムは気合十分、所々で唸り声が聞こえる大熱演。

ベートーヴェンのトリプル・コンチェルトは、バレンボイムの弾き振り。ピアニストと指揮者の両面を楽しめる、一粒で二度おいしい作品。

最後のチャイコフスキー、私がバレンボイムの指揮を初めて聴いたのはこの曲でした。NHK交響楽団に初登場したときです。ピアニストとして聴いたのはもっと前で、渡辺暁雄指揮日フィルの定期でブラームスの2番でした。

バレンボイムの演奏会は次々にアンコールが飛び出すのがプロムス名物で、最初は前日までロイヤル・アルバート・ホールに鳴り響いていたシベリウスの「悲しきワルツ」。
もちろんこれで客席が満足する訳もはなく、二つ目はグリンカの歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲。更に興奮した客席の前にマイクを持って登場したマエストロ。“音楽の話です。政治の話はしません”と、長いスピーチを始めます。
時々音声の途切れる所があって聴き難かったのは残念ですが、何でも明日(8月19日)が最初のコンサートを開いて丁度65年になる由。“明日は、えーと、未だ日付変わってないよネ”、と自ら長い夜を自認しての告白。ということは1950年の8月19日デビューで、これからもバレンボイム帝王時代は暫く続くでしょう。

ということで最後? のアンコールは、出身地アルゼンチンの「アルゼンチン・タンゴ」の1曲。作曲者と曲名は聴き取れませんでしたが、バレンボイムのルーツが紹介されました。

 

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