ベルリオーズには理想の空間

8月11日に行われたプロムスは、特に巨大な作品が取り上げられました。4つのブラスバンド、3つの合唱団、ティンパニ16、シンバル10、タムタム4。そう、ベルリオーズのレクイエムです。

≪Prom 39≫
ベルリオーズ/レクイエム
 管弦楽/BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団
 指揮/ティエリー・フィッシャー
 テノール/トビー・スペンス
 合唱/BBCウェールズ・ナショナル合唱団、ハダースフィールド合唱協会、ロンドン・シンフォニー・コーラス

今年のプロムス、例年と比べても大掛かりな作品が多いように思われますが、中でもスペクタクルなのがこれ。600人の演奏家が並ぶベルリオーズのレクイエム。パリのアンヴァリッドを別にすれば、この大作を演奏するに最も相応しい空間がロイヤル・アルバート・ホールでしょう。
叶うことならナマで体験したかったコンサートです。

名古屋フィルの首席指揮者でもあったティエリー・フィッシャーは、BBCウェールズ首席指揮者としては最後のプロムス登場となる由。予定されていた前回(Prom 16)は体調不良でキャンセルしただけに、ここは渾身の1曲だったと思われます。

膨大な音量を伴う分、ネット中継やパソコン試聴では限界があります。例えば第2曲「ディエス・イレ」の最後、4組のブラスを加えた壮大なフォルティッシモの後を受けるヴィオラとチェロの弱音トレモロ(練習番号28の前)など、音が鳴っているかどうかさえ聴き取れません。
残念ながら雰囲気だけを味わうプロムスになってしまいました。

サンクトゥスだけに登場するテノールはいつも苦しい思いがするのですが、今回もそうでした。それでも日本初演の時よりは安定していましたが・・・。

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