不良馬場のドーヴィルGⅠ戦

続いてフランスからのレポート、ドーヴィル競馬場からのG戦3鞍を紹介しましょう。内GⅠ戦が2鞍で、ドーヴィル夏開催のクライマックスでもありました。

最初は、2歳の夏の王者を決めるモルニー賞 Prix Morny (GⅠ、2歳牡牝、1200メートル)。馬場が very soft ということもありましたが、チャンピオン決定戦にしては寂しい5頭立て。英国からアル・シャカブ所有の3連勝馬2頭が出走してきましたが、GⅡに2連勝中のシャラー Shalaa が7対10の1番人気。
そのシャラーと、2番人気(41対10)で同じオーナー・別厩舎のグタイファン Gutaifan が終始ハナを争いましたが、結局本命馬のスピードが勝り、ライヴァルに1馬身4分の3差で優勝。5馬身離された3着には3番人気(43対10)で前走カブール賞(GⅢ)勝ちのトゥーニー Tourny が入り、順当な結果に収まりました。

グタイファンはハノン厩舎ですが、シャラーはジョン・ゴスデン厩舎でフランキー・デットーリ騎乗。デットーリは2頭共に騎乗してきましたが、最終的に選んだシャラーを“私がこれまで騎乗した最強の2歳馬”と激賞しています。ジュライ・ステークス、リッチモンド・ステークスと勝ち続け、これでG戦3連勝。
ゴスデン師はリッチモンドの後、来年の目標はコモンウェルス・カップとコメントしていましたが、2000ギニーのオッズは10対1と更に上昇しています。このあとはミドル・パーク・ステークスでGⅠ2連勝を目指します。

次もGⅠ戦のジャン・ロマネ賞 Prix Jean Romanet (GⅠ、4歳上牝、2000メートル)。11頭が出走し、去年の勝馬で前走プリティー・ポリー・ステークス(GⅠ)でも3着したリボンズ Ribbons が27対10の1番人気。
レースはブービー人気(35対10)のオデリッズ Odelitz が逃げ、リボンズは4番手追走。しかし馬場が極端に重かったこと、ペースがフランス特有のスローだったこともあり、結局はオデリッズが逃げ切るという波乱でした。首差2着の3番人気(57対10)バウィーナ Bawina 、4分の3馬身差3着の2番人気(4対1)アヴニール・セルタン Avenir Certain も共に後方から追い込んだものの、一歩届かなかった馬たちです。リボンズは6着敗退。

勝ったオデリッズはカール・バーク厩舎、エイドリー・ド・ヴリーズ騎乗の5歳馬で、バーク師は逃げる積りは無く、全て騎手任せだった由。ジョッキーの好判断が産んだGⅠ勝利と言えそうです。同馬の前走はロッシルド賞(GⅠ)の4着で、その前はドイツのGⅢに勝っていました。
しかし注目は更にその前、エプサムのプリンセス・エリザベス・ステークス(GⅢ)では1番人気に支持されながら3着だったこと。この時勝ったのがアラビアン・クィーン Arabian Queen で、先のジャドモント・インターナショナルでダービー馬ゴールデン・ホーン Golden Horn 50対1でを破った馬と言えば思い当る方も多いでしょう。このGⅢ戦、レースが行われた時点では普通のGⅢと思われましたが、2か月半後の現在はGⅠ馬2頭を出したレースとして、その格も上がるのじゃないでしょうか。

日曜日最後のレポートはケルゴレー賞 Prix Kergorlay (GⅡ、3歳上、3000メートル)、秋の長距離戦を目指す6頭が出走してきました。前走バルヴェヴィユ賞(GⅢ)を制したドイツ調教馬のアレックス・マイ・ボーイ Alex My Boy がイーヴンの1番人気。
最低人気(94対10)のヴィクトリー・ソング Victory Song が逃げ、アレックス・マイ・ボーイは最後方から。この長距離戦は重馬場にも拘わらず差し馬の競馬となり、人気のアレックス・マイ・ボーイが後方2番手から伸びた4番人気(69対10)のオリエンタル・フォックス Oriental Fox に2馬身半差を付けて期待に応えました。更に2馬身半差で2番手を追走していた2番人気(41対10)のヴァルツァータクト Walzertakt が3着。

これで長距離G戦2連勝となったアレックス・マイ・ボーイは、アンドレアス・ヴォーラー厩舎、前走と同じオリヴィエ・ペリエ騎乗。この馬のプロフィールに付いては、前走のレポートで詳しく紹介しました。

 

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください