少頭数が続くアイルランドのG戦

日曜日もヨーロッパ競馬はG戦がズラリ、原則として日曜日にはG戦がない英国を除くアイルランドとフランスからのレポートです。
最初はカラー競馬場の3鞍。この日の馬場発表は good to firm でしたが、実際にはかなり渋った馬場だったようで、どのG戦も重馬場が適さない馬の取り消しが相次ぎました。

先ずロイヤル・ホイップ・ステークス Royal Whip S (GⅢ、3歳上、1マイル2ハロン)は、当初から4頭しか登録がありませんでしたが、2頭をノミネートしていたオブライエン厩舎が重不得手な1頭を取り消して3頭立て。日本なら競馬そのものが成立しないような小頭数です。
それでもオッズは存在していて、8対13の1番人気はオブライエン厩舎のファウンド Found 。今期は3戦して全て2着ですが、内2レースは何れもGⅠ戦です。

2番人気(6対4)のアンサード Answered が逃げ、ファウンドは2番手。2頭の古馬牡馬が相手でしたが全く問題にせず、ファウンドがアンサードを4馬身捉えて今期初勝利を挙げ、12馬身差で25対1のハイリー・トクシック Highly Toxic が3着というシンプルな内容でした。
エイダン・オブライエン厩舎のファウンドは、3歳牝馬ということで負担重量が8ストーン12ポンド。この重量ではジョセフは騎乗できず、シーミー・ヘファーナンがコンビを組みました。2歳時にはマルセル・ブーサック賞(GⅠ)に勝った馬、今期はアサシ・ステークス(GⅢ)での意外な2着もありましたが、その後は愛1000ギニーとコロネーション・ステークスでの2着。
そもそもオブライエン師は結果がどうであろうと、ロイヤル・アスコットまでは1マイル。そのあと夏場を休養し、秋はより長い距離を使うというプランで臨んでいます。今回は1マイルを越える距離に初挑戦でしたが、このあとはヴェルメイユ賞か愛チャンピオン・ステークスを使い、凱旋門賞を目指す公算が大きいとのこと。そのオッズは14対1が出されました。

二つ目はフューチュリティー・ステークス Futurity S (GⅡ、2歳、7ハロン)。ここもオブライエン厩舎が重馬場に向かない1頭を取り消して4頭立て。残るオブライエン厩舎のショーグン Shogun が11対8の1番人気に支持されましたが、師はこの馬も重は決して良くないとファンに警告を発していたほど。
唯1頭の牝馬で3番人気(3対1)のナウ・オア・ネヴァー Now Or Never が逃げ、ショーグンは2番手。しかしここからは師の予感が当たり、本命馬は馬場を嫌って伸びず、3番手を追走していた2番人気(6対4)のヘラルド・ザ・ドーン Herald The Dawn が追い上げると、ナウ・オア・ネヴァーに1馬身4分の1差で優勝。4馬身半差でショーグンは3着でした。

勝ったヘラルド・ザ・ドーンはジム・ボルジャー厩舎、ケヴィン・マニング騎乗。ナース競馬場で2戦し、前走が初勝利。2013年の2000ギニー馬ドーン・アプローチ Dawn Approach の全弟という良血馬で、父ニュー・アプローチ New Approach もフューチュリティー勝馬です。
ボルジャー師は同馬のクラシックに関し、ダービーよりはギニー・タイプであることを言明。この馬をダービー馬にするには、自分より優れた調教師が必要、とも答えていました。それでも2000ギニーには20対1、ダービーには25対1のオッズが出されました。
一方ショーグンのオブライエン師も、重馬場が適さなかったことを敗因に挙げ、馬自体が未だ子供で、こうした経験を積ませることで馬も成長して行くと説明。決してこの結果に悲観している訳ではありません。また2着のナウ・オア・ネヴァーには、1000ギニーのオッズ25対1が出されています。

最後はアイリッシュ・セントレジャー・トライアル・ステークス Irish St Leger Trial S (GⅢ、3歳上、1マイル6ハロン)。こちらも1頭が取り消して5頭立て。オブライエン厩舎は2頭を参戦させてきましたが、唯1頭の3歳馬オーダー・オブ・セント・ジョージ Order Of St George が4対6の1番人気。負担重量が軽いため、主戦のジョセフ・オブライエンは古馬のキングフィッシャー Kingfisher (5対2、2番人気)に騎乗し、本命馬にはシーミー・ヘファーナンが跨ります。
レースは最低人気(25対1)のイニシュマン Inis Meain が逃げ、オーダー・オブ・セント・ジョージは3番手。2番手に付けた4番人気(12対1)で豪州から転厩(オックス厩舎)してきたシー・ムーン Sea Moon が一旦は先頭に立ちましたが、本命がスパートすると一方的な内容となり、シー・ムーンに7馬身半差を付ける圧勝。更に8馬身半差でキングフィッシャーが後方から追い込んで3着。この着差を見ても、如何に馬場が重かったかが想像できるでしょう。

エイダン・オブライエン師、シーミー・ヘファーナン騎手共にGⅢダブル達成。勝ったオーダー・オブ・セント・ジョージは今期3戦目で、シーズン・デビューのカラー・カップ(GⅢ)で3着、前走はダウン・ロイヤルの一般戦を5馬身半差で制したステイヤーです。恐らくセントレジャーに向かうと思われますが、オッズは5対1から7対1の間。
オブライエン厩舎はボンディ・ビーチ Bondi Beach をセントレジャーの第一候補としていますが、この馬は重が苦手。一方この日の勝馬は重の鬼ということで、2頭とも最後のクラシックに向かうことになるでしょう。またオブライエン師はキングフィッシャーにも満足したようで、こちらは古馬にも資格がある愛セントレジャーが有力候補。

 

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