又しても3歳馬優位

8月も愈々最後の週末を迎え、競馬の世界も夏物一斉棚攫えの様相を呈してきました。8月29日の英国はグッドウッドとウインザーで恒例のG戦が行われています。

先ずグローリアス開催から一月前を経過したグッドウッド競馬場。G戦は2鞍で、馬場も soft 、所により goot to soft と早くも秋の気配を感じさせていました。
プレスティージ・ステークス Prestige S (GⅢ、2歳牝、7ハロン)は9頭が参戦し、サンダウンのリステッド戦に勝ち、前走ニューマーケットのスイート・ソレラ・ステークス(GⅢ)でも2着しているファイアグロウ Fireglow が11対4の1番人気。

そのファイアグロウがスタートから先頭を奪いギリギリ逃げ切ったかに見えましたが、スタートで出遅れ、その後も前が詰まるなど道中スムースな競馬が出来なかった3番人気(5対1)のホークスムーア Hawksmoor が後方から一気の末脚を爆発させ、ゴール寸前でハナ差本命馬を捉えての逆転勝ち。1馬身半差で先行して粘った7番人気(11対1)のライト・アップ・アワ・ワールド Light Up Our World が3着に入っています。
今年クラシック調教師の仲間入りを果たしたヒューゴー・パーマー厩舎、ハリー・ベントリー騎乗のホークスムーアは、ケンプトンでデビュー勝ちし、前走スイート・ソレラ・ステークスでは6着だった馬で、これが3戦目でのG戦初勝利。残り2ハロンでは届きそうもない位置からの逆襲で、重馬場でこそ末脚が活きるタイプなのでしょう。

次はセレブレーション・マイル Celebration Mile (GⅡ、3歳上、1マイル)。こちらは6頭が出走してきましたが、比較的3歳馬が好成績を残している一戦。今年は3歳馬の参加は唯1頭だけでしたが、そのコーディ・ベアー Kodi Bear が4対5の断然1番人気。レヴェルの高い3歳馬に期待が集中した形です。
最低人気(16対1)のファイア・シップ Fire Ship が押して押して先頭に立ちましたが、これを3番手で見ていたコーディ・ベアー、残り2ハロンで早くも先頭に立つと、ムチを使うことなく、5番手から追い縋る4番人気(9対1)の6歳馬ガブリアル Gabrial に3馬身4分の1差を付ける圧勝でした。更に4分の3馬身差で4番手を進んだ2番人気(5対1)の5歳馬ブレトン・ロック Breton Rock が3着。

クライヴ・コックス厩舎、ジェラール・モッセ騎乗のコーディ・ベアーは、8月13日ソールズベリー競馬場のソヴリン・ステークス(GⅢ)に続くG戦2連勝で、また一つステップ・アップしました。前走でも紹介しましたが、秋のマイル戦大一番クィーン・エリザベスⅡ世ステークスでは不気味な1頭になることは確実で、そのオッズは7対1へと更に上昇しています。
この馬にとっては馬場が重過ぎた感がありますが、それを問題にしなかった強さには未だ成長の余地がありそう。

そしてウインザー競馬場では、ここで行われる唯一のG戦ウインター・ヒル・ステークス Winter Hill S (GⅢ、3歳上、1マイル2ハロン7ヤード)が行われました。馬場は good to soft と、こちらも重く、2頭が取り消して8頭立て。近年このレースは3歳馬が苦戦を強いられている一戦で、6対5の1番人気に支持されたのは4歳馬のファシネイティング・ロック Fascinating Rock 。去年はGⅠ馬のアル・カジーム Al Kazeem が復活の狼煙を上げたレースで、ファシネイティング・ロックは前走トトソルズ・ゴールド・カップ(GⅠ)で、そのアル・カジームに2着した強豪です。
レースはジョイント最低人気(25対1)のノット・ソー・スリーピー Not So Sleepy が逃げましたが、先行していた同じくジョイント最低人気のバタリオン Battalion が抜けて一旦は先頭。ここに襲い掛かったのがジョイント2番人気(9対2)のレーシング・ヒストリー Racing History で、残り1ハロンで先頭に立つと、同じくジョイント2番人気のキャノック・チェイズ Cannock Chase に1馬身差で優勝。首差でバタリオンが3着でした。

終わって見れば、勝ったレーシング・ヒストリーはゴドルフィンの所有で、サイード・ビン・スロール厩舎、ウイリアム・ビュイックの3歳馬。又しても3歳馬優位を証明する1頭になりました。2歳時はニューマーケットで1戦(11着)のみでしたが、今期はヘイドックの未勝利戦、チェスターのハンデ戦と連勝し、3連勝でG戦初勝利と一気に飛躍。血統的にもロッキンジ・ステークスとチャンピオン・ステークスとGⅠに2勝したファー Farhh の全弟という筋金入り。
今期はロンシャンのドラー賞でGⅡを狙いますが、本格化するのは来期でしょう。フランケル Frankel と好勝負した兄を超える存在にまで成長できるか・・・。

 

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