見せた! 女性パワー

9月第3週の英国、昨日はニューバリーとエアで地味なG戦が行われています。先ず good to soft 、所により soft のニューバリー競馬場から3鞍のG戦をレース順に。

最初はアーク・トライアル The Arc Trial (GⅢ、3歳上、1マイル3ハロン5ヤード)。ここから凱旋門賞というケースはほとんどありませんが、1頭が取り消して5頭立ての1番人気(8対11)に支持されたイーグル・トップ Eagle Top には可能性が残されているかもしれません。今年はレヴェルが低かったとは言え、前走キングジョージでポストポーンド Postponed の2着していた馬だからです。
そのイーグル・トップがスタートで出遅れ。先行タイプの馬だけにデットーリ騎手が押して押してハナに立つのに勢いを付けたのが響いたか、2番手を追走した2番人気(4対1)のザ・コルシカン The Corsican と3番手を進んだ3番人気(11対2)のスカイ・ハンター Sky Hunter とが共に本命馬を捉えての叩き合い。結局ザ・コルシカンがスカイ・ハンターを1馬身半抑えて優勝し、イーグル・トップは1馬身差の3着に敗れました。

デヴィッド・シムコック厩舎、ジェイミー・スペンサー騎乗のザ・コルシカンは、今期初戦にグッドウッドのリステッド戦に勝ち、ロイヤル・アスコットではプリンス・オブ・ウェールズ・ステークス(GⅠ)に挑戦して4着と健闘した4歳馬。前走グッドウッドのグローリアス・ステークス(GⅢ)はレース中の不利があっての2着惜敗でしたが、今回は本来の実力を出しての快勝。10ハロンを適距離としており、次走はチャンピオン・ステークスを目指すことになりそう。オッズも10対1に上がっています。

続いてミル・リーフ・ステークス Mill Reef S (GⅡ、2歳、6ハロン8ヤード)。6頭が出走し、未勝利馬ながら前走ジムクラック・ステークス(GⅡ)2着の内容が出走馬中随一と評価されたリブチェスター Ribchester が13対8の1番人気。
3番人気(9対1)で本命馬と同じ(厩舎は別)ゴドルフィンのログ・アウト・アイランド Log Out Island が逃げましたが、後方に待機したリブチェスターが左に進路を変えて追い上げ、残り1ハロンで同じ勝負服の馬を1馬身4分の1差交わして人気に応えました。4馬身半差で2番手を進んだ2番人気(11対4)のラウクース Raucous が3着。

勝ったリブチェスターはリチャード・ファヘイ師が管理し、ジェームス・ドイル騎乗。ドンカスターのデビュー戦は2着でしたが、才能を買われて前走ジムクラックでは2着。3戦目にして初勝利をGⅡ戦勝利で飾りました。ゴドルフィンの中ではギニー候補の1頭でしょう。

ニューバリーの最後は短距離のワールド・トロフィー World Trophy (GⅢ、3歳上、5ハロン34ヤード)。1頭が取り消して11頭立てとなり、7日前に前走ドンカスターで伝統あるハンデ戦のポートランド・カップを制した7歳馬のステップス Steps が7対2の1番人気。このレースは最近5年で1番人気の馬が4勝しており、本命馬の強い一戦と言えそうです。
4番人気(7対1)のカスピアン・プリンス Caspian prince が逃げ、最後は4頭が並ぶ大混戦。後方から追い込んだステップスが、ハナ差で3番手グループから抜けた5番人気(8対1)のリッジ・レンジャー Ridge Ranger を捉えており、今年も1番人気が勝つ結果となりました。首差で先行したジョイント2番人気(9対2)のジャスティス・グッド Justice Good が3着に入り、更に頭差でジョイント2番人気のもう1頭ウインド・ファイア Wind Fire が4着。

ロジャー・ヴァリアン厩舎、ジェイミー・スペンサー騎乗のステップスは前走こそハンデ戦でしたが、キングズ・スタンド・ステークス(GⅠ、9着)、ジュライ・カップ(GⅠ、14着)とトップクラスの馬たちと闘ってきた馬で、ここは格を落としての参戦。人気に応えて当然と言えるでしょうか。

土曜日の英国競馬、最後は good のエア競馬場からファース・オブ・クライド・ステークス Firth of Clyde S (GⅢ、2歳牝、6ハロン)。この競馬場で行われる唯一のG戦で、14頭が出走し、ヘイドックの新馬戦を7馬身差で快勝したばかりのプライスレス Priceless が2対1の1番人気。
しかし、ここは思い切って逃げ作戦に出たジョイント8番人気(16対1)の伏兵シェイデン Shaden が、2番手を追走した3番人気(15対2)のオンリー・マイン Only Mine を首差抑えてのまんまと逃げ切り勝ち。最後方から追い込んだプライスレスは2馬身4分の3差届かず3着に終わりました。

勝ったシェイデンを調教するレディー・セシルは、もちろん故ヘンリー・セシル師の厩舎を引き継いだ夫人で、今期限りで引退することが決まっています。去年は故セシル師の遺産でGⅠ戦にも勝ちましたが、流石に今年は管理馬には恵まれず、確かG戦は今期初勝利だと思います。シェイデンについては、現在調教助手を務めているジョージ・スコットが替って管理することになるそうです。
また勝馬に騎乗したのは、今夏日本でも大活躍した女流ジョッキーのヘイリー・ターナー。彼女もまた痛めている腰の治療のため今期で引退を発表しましたが、今回は現役時代ずっと背負ってきたプレッシャーからも解放され、馬に任せて思い切った騎乗を試みたのが奏功した由。何年か後に復帰、なんてことも有り得るんじゃないでしょうか。
引退が決まっている女性二人が、最後に花を咲かせたGⅢ戦でした。おっと、未だ終わりじゃなく、シーズンはこれからも続きますね。

 

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