10月3日のアメリカ競馬(1)ニューヨーク編

日曜日のヨーロッパ競馬レポートをやっとのことで終えたので、時計を戻して土曜日のアメリカ競馬に取り掛かりましょう。昨日は丸一日外出していたので、こちらには手が回りませんでした。従って臭味期限切れの報告となります。

10月3日のベルモント競馬場はG戦6鞍の固め打ち、何時ものようにレース順に取り上げていきます。最初は第5レースのケルソ・ハンデキャップ Kelso H (GⅡ、3歳上、8ハロン)。キーンランドの開幕日も酷い馬場でしたが、こちらも負けず劣らずの悪天候で馬場は水が浮く sloppy 、7頭が出走し、メトロポリタン・ハンデ(GⅠ)を制したオナー・コード Honor Code が3対5の断然1番人気。
レースはカリフォルニアから遠征してきた4番人気(6対1)のアピーリング・テイル Appealing Tale が逃げ、オナー・コードは遅れて後方2番手を追走。直線そのままリードを保ったアピーリング・テイルが、4番手から伸びた2番人気(9対2)のレッド・ヴァイン Red Vine に1馬身4分の3差を付けて逃げ切ってしまいました。オナー・コードも大外に持ち出して追い込みましたが、2馬身届かず3着まで。
ピーター・ミラー厩舎、ジョセフ・タラモ騎乗のアピーリング・テイルは、前走パット・オブライエン・ステークス(GⅡ)に続くG戦2連勝。このレースはBCの対象ではありませんが、恐らくダート・マイルに向かう予定だそうです。

第6レースはフラワー・ボウル・ステークス Flower Bowl S (芝GⅠ、3歳上牝、10ハロン)。こちらは勝馬にBCフィリー・アンド・メア・ターフへの優先出走権が与えられるレース。通常ならこれ程馬場が悪化すると芝コースのレースはダートに変更されるものですが、流石に芝コースでこそトライアルの意味があるもの、soft の馬場に2頭が取り消して8頭が出走してきました。アイルランドから遠征してきた出走馬中唯一の3歳馬で愛オークス3着のカーヴィー Curvy が3対2の1番人気。
大外発走の4番人気(6対1)ダンザ・カヴァロ Danza Cavallo が内に切れ込みながらハナに立ち、スローに落しての逃げ。これを4番手で追走していた2番人気(2対1)のステファニーズ・キッテン Stephanie’s Kitten が第4コーナーで逃げ馬に外から並び掛けると、ゴールではダンザ・カヴァロに1馬身半差を付けて快勝。3馬身4分の1差で3番手を進んだ6番人気(14対1)のミュターティス・ミュンタディス Mutatis Muntadis が3着。カーヴィーも4番手追走から前に迫るシーンもありましたが、直線は後退して5着敗退。
チャド・ブラウン厩舎、イラッド・オルティス騎乗のステファニーズ・キッテンは、去年に続いてフラワー・ボウル2連覇。重馬場を苦にしない6歳馬で、今期はヒルスボロー・ステークス(芝GⅢ)に勝っていましたが、GⅠは去年のこのレース以来。秋に徐々に調子を上げていくタイプで、去年はBC2着と健闘、今年こそ優勝を狙います。

続く第7レースがフリゼット・ステークス Frizette S (GⅠ、2歳牝、8ハロン)。これもBC対象で、もちろんジュヴェナイル・フィリーズの前哨戦となります。7頭が出走し、一般ステークス(シーキング・ザ・アンテ・ステークス)を含めサラトガで2連勝のシーズ・オール・レディー She’s All Ready が9対5の1番人気。
そのシーズ・オール・レディーがスタートして直ぐに先頭に立っての逃げ。これを2番手で追走した3番人気(5対1)のニックネーム Nickname が第4コーナーで外から並び掛けると、後方2番手から追い込む4番人気(6対1)のネモラリス Nemoralis に3馬身半差を付ける快勝。1馬身4分の1差でシーズ・オール・レディーは3着に粘りました。
スティーヴン・アスムッセン厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のニックネームは、デビュー戦こそ2着だったものの、前走サラトガの未勝利戦を断然1番人気で3馬身半差で優勝していた馬。BC挑戦の可能性を問われたアスムッセン師、100%ジュヴェナイル・フィリーズに参戦することを明言していました。

この日4つ目のG戦、第8レースのシャンペン・ステークス Champagne S (GⅠ、2歳、8ハロン)も2歳戦で、もちろんBCジュヴェナイルの対象レースです。1頭が取り消して8頭立て。前走サラトガのホープフル・ステークス(GⅠ)を制したラリス Ralis が8対5の1番人気。
未勝利を脱出したばかりで2番人気(4対1)のテイル・オブ・サヴァル Tale of S’avall が逃げ、これを2番手で追走した最低人気(23対1)のサニー・リッジ Sunny Ridge が交わして先頭で第4コーナーを回りましたが、前半6番手を進んだ4番人気(6対1)のグリーンポイントクルセイダー Greenpointcrusader が大外を回って外から先頭に立つと、最後は抑える余裕を見せながらもサニー・リッジに4馬身半差を付ける波乱でした。更に2馬身差で5番手から7番人気(12対1)のポートフォリオ・マネージャー Portfolio Manager が3着に食い込み、馬場故かラリスは第4コーナー手前で2番手に上がるも、直線では6着に沈んでいました。
ドミニック・シェッティーノ厩舎、ジョー・ブラーヴォ騎乗のグリーンポイントクルセイダーは、未勝利戦を勝ったばかりの馬で、無名だった存在。もちろんBCジュヴェナイルが試金石となるでしょう。

第9レースはGⅠ戦を一休みして、ヒル・プリンス・ステークス Hill Prince S (芝GⅢ、3歳、9ハロン)。これも予定通り soft の芝コースで行われ、2頭が取り消して11頭立て。サラトガでアメリカ・デビュー戦に勝った父にディープインパクトを持つ日本産馬テイル・オブ・ライフ Tale of Life が光栄にも5対2の1番人気。
レースはブービー人気(23対1)の伏兵ヴィジョン・パーフェクト Vision Perfect が逃げて直線も良く粘りあわや逃げ切りかと思われましたが、前半6番手に付けていた3番人気(5対1)のテイクオーヴァ―・ターゲット Takeover Target が内で我慢し直線でスパートすると、逃げ馬を外から1馬身4分の3馬身捉えて優勝。後方2番手から8番人気(18対1)のグレート・ダンサー Great Dancer が3着に追い込み、最後方に待機したテイル・オブ・ライフは追い上げるも8着までで日本産馬のG戦勝利は成らず。
フラワー・ボウルに続きダブル達成となるチャド・ブラウン厩舎、ホセ・オルティス騎乗のテイクオーヴァ―・ターゲットは、8月のナショナル・ミュージアム・オブ・レーシング・ホール・オブ・フェイム・ステークス(芝GⅡ)に続き今期二つ目のG戦勝ち。前走サラナック・ステークス(芝GⅢ)では1番人気に支持されながら6着に終わっていましたが、得意の重馬場で復活しています。

ニューヨークの最後は、第10レースのジョッキー・クラブ・ゴールド・カップ Jockey Club Gold Cup (GⅠ、3歳上、10ハロン)。もちろん勝馬にはBCクラシックへの優先出走権が与えられるレースで、アメリカでは三冠レースを除けば最も権威と伝統あるGⅠ戦と言えるでしょう。6頭が出走し、去年の覇者でベルモントでは連帯を外していないトーナリスト Tonalist がイーヴンの断然1番人気。
3番人気(5対1)の一角コンスティテューション Constitution が逃げましたが、第4コーナー手前で早くも一杯。替って2番手を追走した5番人気(7対1)のウイッケド・ストロング Wicked strong が外から先頭に立ちましたが、前半は後方2番手で待機していたトーナリストが内を衝いて進出し、ウイッケド・ストロングを内から交わすと馬なりのまま4馬身4分の3差を付けて見事2連覇を達成しました。6馬身4分の3差が付いて3番人気の一角エフィネックス Effinex が3番手を粘り切っての3着。
クリストフ・クレメント厩舎、ジョン・ヴェラスケス騎乗のトーナリストは、去年のベルモント・ステークス(GⅠ)とピーター・パン・ステークス(GⅡ)にも勝ち、今年もウェストチェスター・ステークス(GⅢ)に勝っていてベルモントでは7戦5勝。残る2戦もメトロポリタン・ハンデ(GⅠ)とサバーバン・ハンデ(GⅡ)の2着でほぼパーフェクトの相性の良さ。古馬牡馬の代表としてBCクラシック挑戦の準備が整いました。

 

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