9月26日のアメリカ競馬(1)ニューヨーク編

今週と来週のアメリカ競馬は、11月初めのBCシリーズから数えてほぼ1ヶ月。勝馬にはBCへの優先出走権が与えられるレース、GⅠ戦も目白押しでG戦の総数も盛り沢山であることから、後の検索の利便性も考えていくつかに分けて記事をアップすることにしましょう。
先ず第一弾として、昨日の土曜日にベルモント・パーク競馬場で行われたG戦5鞍を纏めます。

最初は第5レースのベルデイム・ステークス Beldame S (GⅠ、3歳上牝、9ハロン)で、fast の馬場に6頭が出走してきました。見所は前走エイコーン・ステークス(GⅠ)に勝った3歳馬カーラライナ Curalina の古馬との初対決ですが、3対5の1番人気に支持されたのは前走オグデン・フィップス・ステークスでGⅠ戦を制した5歳馬のウエディング・トースト Wedding Toast の方。カーラライナは5対2の2番人気で続きます。
人気のウエディング・トーストはゆったり目のスタートから先頭に立ち、楽な手応えで直線に向くと、3番手を追走したカーラライナに2馬身4分の3差を付ける貫録勝ち。3着には後方2番手から3番人気(7対1)のキャッチ・マイ・ドリフト Catch My Drift が追い込みましたが、カーラライナとは5馬身差がありました。
キアラン・マクローリン厩舎、ホセ・レズカノ騎乗のウエディング・トーストは、ムチを使うことなく圧勝。このレースはBCの対象ではありませんが、1・2着馬共にBCディスタッフへの準備を整えたと言えそうです。ゴドルフィンの所有馬で、5月のラフィアン・ステークス(GⅡ)、オグデン・フィップスとG戦3連勝でGⅠも連勝。BCでGⅠ戦3連勝に挑みます。

続いて第7レースはギャラント・ブルーム・ハンデキャップ Gallant Bloom H (GⅡ、3歳上牝、6.5ハロン)。これもBC対象ではありませんが、7頭が出走して今期ステークスばかり4戦して負け無しのラ・ヴェルダット La Verdad が1対2の断然1番人気。
前走を4馬身差で逃げ切った大本命、今回は然程スタートから飛ばしはしなかったものの、それでも後方2番手から追い込んだジョイント5番人気(11対1)のウェイヴェル・アヴェニュー Wavell Avenue を半馬身差抑えて堂々の逃げ切り勝ち。今期の記録を5連勝に伸ばしました。更に1馬身半差で3番手を追走した2番人気(5対1)のデーム・ドロシー Dame Dorothy が3着。
リンダ・ライス厩舎、ホセ・オルティス騎乗のラ・ヴェルダッドは、去年のこのレースは頭差の2着でした。今年は4月にディスタッフ・ハンデ(GⅡ、連覇)、5月にヴァグランシー・ハンデ(GⅢ)、6月にも一般ステークス(ダンシン・ルネー・ステークス)に勝って、前走のオノラブル・ミス・ハンデ(GⅡ)逃げ切りと快進撃。残るはGⅠのタイトルだけでしょう。

この日三つ目のG戦は、第8レースのピルグリム・ステークス Pilgrim S (芝GⅢ、2歳、8.5ハロン)。10頭と頭数も揃い、ウィズ・アンティシペイション・ステークス(芝GⅡ)の1・2着馬を抑えて5対2の1番人気に支持されたのは、チャド・ブラウン厩舎で未勝利戦に勝ったばかりのエイドミラード Eidmilaad 。ウィズ・アンティシペイション勝馬のアザール Azar は2着だったネックスト・シェアーズ Next Shares と並んでジョイント3番人気(5対1)でした。
そのネックスト・シェアーズが逃げてペースを作りましたが、直線では2頭を除く全馬がコース一杯に広がる大接戦。4番手を進んだアザールが馬場の中央を通って先頭に立ちましたが、後方3番手から大外を回った6番人気(9対1)のアイソサーム Isotherm 、後方2番手待機し、前が開かず思い切り内ラチ一杯を衝いた2番人気(3対1)のレイズ・ザ・バー Ray’s The Bar のスリリングな叩き合いとなり、写真判定の結果外のアイソサームが中央のアザールを首差抑えて優勝。最内でアンラッキーだったレイズ・ザ・バーも首差3着惜敗です。人気のエイドミラードは5番手を進みましたが9着と惨敗に終わりました。
ジョージ・ウィーヴァー厩舎、第5レースに続いてホセ・レズカノ騎乗のアイソサームは、サラトガのダート6ハロンでデビューし4着、続くサラトガの芝8.5ハロンで初勝利を挙げ、これで3戦2勝となりステークス初勝利。ダートも好きなタイプということですが、次はBCジュヴェナイル・ターフを目指す予定です。

第9レースのヴォスバー・ステークス Vosburgh S (GⅠ、3歳上、6ハロン)は、勝馬にBCスプリントへの優先出走権が与えられる一戦。豪華な顔ぶれ7頭が揃いましたが、2対5の断然1番人気に支持されたのは、前走アルフレッド・ヴァンダービルト・ステークスでGⅠ初制覇を果たしたロック・フォール Rock Fall でした。
4番人気(10対1)のワイルドキャット・レッド Wildcat Red 、続いて6番人気(28対1)ウィークエンド・ハイドアウェイ Weekend Hideaway の逃げを3番手で追走したロック・フォール、第4コーナーで前2頭を外から捉えると、更に外から並び掛ける5番人気(12対1)のストールウォーキン・デュード Stallwalkin’ Dude を競り落とし、スタートの不利で最後方から追い込む3番人気(7対1)のサリュートス・アミーゴス Salutos Amigos の猛追も首差凌いで人気に応えました。頭差でストールウォーキン・デュードが3着。
トッド・プレッチャー厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のロック・フォールは、去年から通算して7連勝。今期も5連勝でG戦は6月のトゥルー・ノース・ハンデ(GⅢ)、前走ヴァンダービルトと3連勝。GⅠ戦も2連勝で、間違いなくBCスプリントでは人気を集める1頭になるでしょう。パーフェクトな成績で頂点に立つかが今年のBCの見所。もちろん去年に続いて2年連続で挑戦するサリュートス・アミーゴスにも逆転の可能性あり。

ニューヨークの最後は第10レースのジョー・ヒルシュ・ターフ・クラシック Joe Hirsch Turf Classic (芝GⅠ、3歳上、12ハロン)。勝馬にはBCターフの優先出走権が与えられる芝の長距離戦。7頭が出走し、前走サラトガのボウリング・グリーン・ハンデ(芝GⅡ)を制したレッド・ライフル Red Rifle が8対5の1番人気。
レースは3頭を出走させるチャド・ブラウン厩舎のペースメーカーを務める5番人気(8対1)のシャイニング・クーパー Shining Cooper が後続を11馬身離しての逃げ、アメリカでは珍しいペースメーカーが引っ張る展開となりました。これを後方2番手でジックリ待機した2番人気(5対2)の寮馬ビッグ・ブルー・キッテン Big Blue Kitten が第4コーナーで一気にスパートし、後方3番手から伸びる3番人気(7対2)スランバー Slumber と、3番手追走の4番人気(5対1)トゥワイライト・エクリプス Twilight Eclipse の熾烈な2着争いを尻目に4分の3馬身差で快勝。写真判定の2着争いは、外のスランバーが内ラチ沿いに伸びたトゥワイライト・エクリプスをハナ差抑えており、ブラウン厩舎は作戦通りのワン・ツー・フィニッシュとなりました。勝時計の2分23秒39はコース・レコードであるばかりか、ベルモント競馬場ではダート・コース(有名なセクレタリアート Secretariat のレコード)も含めてのコース・レコードとなります。
3頭全てがチャド・ブラウン厩舎、ラムゼー夫妻の所有馬で、勝馬にはジョー・ブラーヴォ騎乗。ビッグ・ブルー・キッテンは7歳牡馬ですが、5歳時のユナイテッド・ネイションズ・ハンデとソード・ダンサー・ステークス、それに今年2度目となったユナイテッド・ネイションズ・ハンデを加えてGⅠ戦は4勝目。獲得したBCターフへの優先出走権が無くともターフでは有力視される1頭で、良馬スランバーと共にBC奪取に弾みを付けました。

 

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