2015凱旋門賞ウイーク初日
10月の第1週は世界の目がロンシャン競馬場に注目する季節。もちろん日曜日の凱旋門賞が目的でしょうが、前日の土曜日もGⅡ戦4鞍とお祭りムードを盛り上げます。言わば前夜祭。
馬場は good とこの時期のロンシャンにしては乾いており、日曜日も引き続き雨は降らない予報。仮に日本の馬が遠征していれば、少なくとも馬場状態は日本に利していたと思われます。4レースをレース順にレポートしましょう。
最初のショドネー賞 Prix Chaudenay (GⅡ、3歳、3000メートル)は7頭立て。前走苦手の重馬場でもリュテース賞(GⅢ)を制したヴァジラバド Vazirabad が7対10の圧倒的1番人気。
5番人気(124対10)でリュテース賞では5着だったピランスバーグ Pilansberg が逃げましたが、3番手を追走したヴァジラバドが残り2ハロンで並び掛け、最後の1ハロンではムチを使うことなく先頭に躍り出ると、最低人気(199対10)のティベリアン Tiberian に3馬身差を付ける圧勝で格の違いを見せ付けました。1馬身半差でピランスバーグが3着逃げ残り。
勝ったヴァジラバドはアガ・カーンの所有で、もちろんアラン・ド・ロワイヤー=デュプレ厩舎、クリストフ・スミオン騎乗。ここは本来の能力を発揮できる乾いた馬場で楽勝し、2400メートルでも十分通用する瞬発力を発揮しました。
続くロワイヤリュー賞 Prix de Royallieu (GⅡ、3歳上牝、2500メートル)も8頭立てで、ショドネー賞と似た構図。即ちここでは能力的に抜けたカンダリーヤ Candarliya が7対10の1本被りの本命で、2着争いという競馬。
最低人気(45対1)で英国から挑戦したバリーバッカ・クイーン Ballybacka Queen の逃げを最後方で眺めていたカンダリーヤ、期待通りの末脚で前を纏めて捉えると、中団の内から伸びた6番人気(203対10)のレディー・オブ・キューシュー Lady of Kyushu に1馬身半差を付けて貫録の違いを見せ付けました。更に1馬身半差で2番手から流れ込んだ5番人気(134対10)のスカランブラ Scalambra が3着。
御存知のように、カンダリーヤもアガ・カーン/デュプレ/スミオンのコンビで、ショドネー賞に続くいきなりのダブル達成。前々走のミネルヴァ賞(GⅢ)にも勝っており、前走ヴェルメイユ賞では6馬身差を付けられたとは言いながらもトレーヴ Treve の2着でした。如何にトレーヴが強いかが証明できる内容です。
カンダリーヤにとっては、これが今期7戦目。これでシーズンを終え、来年は4歳馬としてGⅠ獲りに挑みます。
三つ目のGⅡはドラー賞 Prix Dollar (GⅡ、3歳上、1950メートル)。8頭が出走し、2012年・2013年と連覇し、去年も1着入線ながら進路妨害で5着降格となった9歳馬のシリュス・デ・ゼーグル Cirrus des Aigles が2対1の1番人気。
しかし流石に年齢か、本命馬はインコースを先行しながら伸びを欠き、5着と期待を裏切ってしまいました。勝ったのは、最低人気(172対10)アル・ワーブ Al Waab の逃げを中団のうちで追走していた4番人気(79対10)のフリー・ポート・ラックス Free Port Lux で、後方から追い込むブービー人気(126対10)のフラクショナル Fractional に4分の3馬身差の波乱です。ハナ差で3番手を進んだ6番人気(101対10)のエア・パイロット Air Pilot が3着に入り、2番人気(5対2)のフレンチ・ネイヴィー French Navy は6着、3番人気(31対5)のジップジップ Zipzip も最下位と惨憺たる結果。
勝ったフリー・ポート・ラックスは、フレディー・ヘッド厩舎、ティエリー・ジャルネ騎乗で、トレーヴ陣営(調教師は姉弟)にとっては幸先良い前祝。G戦は去年のオカール賞(GⅡ)、プランス・ドランジュ賞(GⅢ)に続く3勝目で、勝鞍4勝は全てロンシャン競馬場でのもの。
夏のシンガポール国際への遠征(5着)はアンラッキーだったし、前走フォア賞5着も距離が長かったと敗因はハッキリしていました。去年はプランス・ドランジュから凱旋門賞に挑んで20頭立ての19着でしたが、今年は前々走のゴントー・ビロン賞(GⅢ)では2着、フラクショナルと今回は4着のエリプティク Eliptique にしシッカリ先着していました。
土曜日のGⅡシリーズ、最後はダニエル・ウイルデンシュタイン賞 Prix Daniel Wildenstein (GⅡ、3歳上、1600メートル)。こちらも6頭立てと小頭数。去年ロッシルド賞、サン・チャリオット・ステークスとGⅠ戦で連続2着していたミス・フランス Miss France が6対5の1番人気。
そのミス・フランスがスタートから主導権を奪って逃げ切りを図りましたが、後方2番手に待機したジョイント3番人気(54対10)のアンパッサブル Impassable が外から急襲、残り1ハロンで先頭に立つと、ミス・フランスに半馬身差を付けて優勝。首差で3番手を進んだ2番人気(27対10)のアカテア Akatea が3着でした。
カルロス・ラッフォン=パリアス厩舎、オリヴィエ・ペリエ騎乗のアンパッサブルは、これで3連勝、G戦も前走5月のサンドリンガム賞(GⅡ)に続く連勝で、4か月の休養明けも問題にしませんでした。今期は終戦とするか、もう1戦使うかはオーナーと相談して決めるということですが、来年も4歳馬として現役に留まることは既に決定しています。
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