10月3日のアメリカ競馬(2)ケンタッキー編

引き続き土曜日のアメリカ競馬をレポートして行きます。今年のBCの舞台となるキーンランド競馬場から。

先ず最初に芝コースで行われる予定だったセレクト・ステークス Select S (芝GⅢ、3歳上、5.5ハロン)は、芝コースの状態が悪く、このあとの芝戦を優先させるためかダートコースに変更。この結果G戦は剥奪されてしまいました。アメリアズ・ワイルド・ライド Amelia’s Wild Ride が勝ったことだけを記しておきましょう。

さて第6レースのサラブレッド・クラブ・オブ・アメリカ・ステークス Thoroughbred Club of America S (GⅡ、3歳上牝、6ハロン)は勝馬にBCフィリー・アンド・メア・ターフへの優先出走権が付与されるレースで、開幕から引き続き muddy の重いコースに8頭立て。去年のBCを制したジュディー・ザ・ビューティー Judy the Beauty が今年の足慣らしに使ってきたとあっては、イーヴンの1番人気も当然でしょう。
7番人気(31対1)のデザート・ヴァレー Desert Valley が飛ばし、ジュディー・ザ・ビューティーは5番手から。直線、外を回って伸びたのは意外にも6番人気(16対1)のフィオレッティ Fioretti で、やや外目を一気に抜けると、後方2番手から更に外を回った4番人気(9対1)のヘイキッティーキッティーキッティー Heykittykittykitty に4分の3馬身差を付けて優勝。ジュディー・ザ・ビューティーは内で伸びたものの半馬身差の3着に終わっています。
勝ったフィオレッティは、管理するアンソニー・ハミルトン、騎乗した女性騎手ソフィー・ドイル共々G戦は初勝利。8月8日にエリス・パーク競馬場でグルーピー・ドール・ステークス(GⅢ)で半馬身差の2着をステップにし、念願のG戦タイトルを手にしました。サザーランド、ナプラヴニクと続いた女性騎手の活躍をドイル嬢が引き継いでいけるでしょうか。

第7レースはファースト・レディー・ステークス First Lady S (芝GⅠ、3歳上牝、8ハロン)。これはBC対象ではありませんが、アイルランドからオブライエン厩舎が2頭を送り込んでおり、明らかにBCへのステップとなります。雨で緩んだ soft の馬場に11頭立て。既にGⅠを制しているテーピン Tepin が8対5の1番人気。
レースはブービー人気(44対1)のカーラ・マリー Cara Marie が引っ張りましたが、楽に2番手を追走していたテーピン、直線で前を捉えると後続を一気に突き放し、何と最後は抑えながらも3番手を追走していた3番人気(5対1)のクロウリーズ・ロウ Crowley7s Law に7馬身の大差を付ける圧勝でした。半馬身差で8番手から伸びた2番人気(9対2)のマイ・ミス・ソフィア My Miss Sophia が3着。
マーク・カッセ厩舎、ジュリアン・ルパルー騎乗のテーピンは、今期5月にチャーチル・ダウンズでディスタッフ・ターフ・マイル(芝GⅡ)、6月にはベルモントでジャスト・ア・ゲイム・ステークス(芝GⅠ)に勝っており、GⅠ2勝となる4歳馬。陣営はBCでは芝のマイルで牡馬に挑戦すると宣言しています。更には来年も現役に留まることも。

続いて第8レースのディクシアナ・ブリーダーズ・フューチュリティー Breeders’ Futurity (GⅠ、2歳、8.5ハロン)。これはBCジュヴェナイルの対象レースで、1頭が取り消して11頭立て。サラトガ・スペシャル(GⅡ)の勝馬エクサジェレイター Exaggerator が2対1の1番人気。
5番人気(6対1)のシェイク・オブ・シェイクス Sheikh of Sheikhs が逃げ、これを6番手から追ったエクサジェレイターが直線で捉え、勝負ありと思われた時、後方2番手で前から9馬身も離されていた7番人気(11対1)のブロディーズ・コース Brody’s Cause が目の覚めるような末脚を爆発させると、一気に本命馬に1馬身差を付けて圧巻の差し切り勝ち。1馬身4分の3差で2番人気(9対2)のレイテッド・アール・スーパースター Rated R Superstar が2番手を3着に粘りました。
デール・ロマンス厩舎、コーリー・ラヌリー騎乗のブロディーズ・コースは、エリス・パークの芝コースでデビューして8着と惨敗。2戦目のチャーチル・ダウンズのダートコースでは、今回の末脚と同じような追込みを決めて初勝利。これが3戦目でいきなりのGⅠ制覇となりました。BCジュヴェナイルでは不気味な追い込み馬として注目されるでしょう。

キーンランドの最後は第9レースのシャドウェル・ターフ・マイル Shadwell Turf Mile (芝GⅠ、3歳上、8ハロン)。もちろんBCマイルの対象レースで、1頭が取り消して12頭立て。フランスでジャン・プラ賞(GⅠ)2着した遠征馬のダッチ・コネクション Dutch Connection が7対2の1番人気。
9番人気(25対1)のケリンニ Kelinni が逃げ、4番手を進んだジョイント2番人気(4対1)のグランド・アーチ Grand Arch が抜け出した所に、後方2番手に待機したジョイント2番人気のザ・ピッツァ・マン The Pizza Man が外から、8番手に付けた6番人気(8対1)のトゥーリスト Tourist が内から追い上げて3頭のスリリングなフィニッシュ。結局はグランド・アーチがザ・ピッツァ・マンの急襲を頭差抑えて優勝し、トゥーリストは最後に首差差されて3着。ザ・ピッツァ・マンの末脚が目立ちましたが、些か後ろから行き過ぎた印象でした。
ブライアン・リンチ厩舎、ルイス・サエズ騎乗のグランド・アートは、前走フォースターデイヴ・ハンデ(芝GⅡ)に続くG戦連勝で、GⅠ戦は初勝利。BCマイルではヨーロッパ勢、更にアーリントン・ミリオンの覇者ザ・ピッツァ・マン相手に何処まで検討できるかが正念場でしょう。

 

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