100年前の今日

このところコンサートもないし、外は寒い。寒さも底でしょうか。ということで、暇潰しの無駄話であります。
以前にも引用させてもらいましたが、久し振りに千蔵氏の「クラシック音楽歳時記」からの孫引き。
今日1月25日はフルトヴェングラーの誕生日ですが、そのことじゃありません。
最近の話題として、大野和士がリヨン歌劇場の首席指揮者に就任する、というのがありました。私は大野くんは苦手なタイプなのであまり興味がありませんが、リヨンに引っ掛けた話題が、上記本の1月25日の項に出ていたので紹介しましょう。
話は唐突に飛びますが、作家・永井荷風はご存知でしょう? 花柳界という今や廃れた感のある世界を得意にした人。その荷風、銀行員時代の1905年にニューヨークに転勤、1907年にはリヨンにも赴任したんだそうです。
で、オペラ好きだった荷風は、丁度100年前の今日、1908年1月25日にリヨン歌劇場でワーグナーの「タンホイザー」を観ているんですね。5日後の30日にも再度「タンホイザー」観劇。当時の指揮者やキャストはどんな顔ぶれだったんでしょうねぇ。
荷風はニューヨーク時代にもメトロポリタン歌劇場に入り浸り、明治39年(1906年)1月3日には「ファウスト」を聴くべく出掛けた由。ところがこの日はカルーソーが初めてフランス・オペラに出演するということで、チケットはソールド・アウト。仕方なく荷風はリブレットだけを買い、近くの酒場で音楽を聴きながらそれを読んだ、ということが書いてあります。
このあとの荷風の行状は、
1月5日   「トリスタンとイゾルデ」
1月6日   「ドン・パスクワーレ」
1月8日   「トスカ」
1月22日  「タンホイザー」
2月3日   「アイーダ」
2月16日  「ローエングリン」
2月22日  「パルジファル」
だそうな。聴きに行く荷風も荷風なら、上演するメトロポリタンもメトロポリタン。100年前も現在も、ことオペラに関しては東京はとてもニューヨークには太刀打ちできない、という話でした。新国立劇場の来シーズン・プログラムを見ていて書く気になったこと。

 

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