ガルフストリームの6鞍は全て本命馬の完勝

今週のアメリカG戦は、土曜日2月27日にガルフストリーム・パーク競馬場で行われた6鞍のみ。記事の題名の通り、6鞍全てで本命馬が勝つと言う圧巻の一日になりました。レース順に見て行きましょう。

G戦6連発のトップ・バッターは、スプリント戦のガルフストリーム・パーク・スプリント Gulfstream Park Sprint (GⅢ、4歳上、6.5ハロン)。fast の馬場に1頭が取り消して7頭立て。去年12月のミスター・プロスペクター・ステークス(GⅢ)を含めて4連勝中のエックス・ワイ・ジェット X Y Jet が1対2の断然1番人気です。
そのエックス・ワイ・ジェット、この日はスタートでもたつき、エンジンが掛かるのが若干遅れましたが、それでもハナを奪うとそのまま後続を寄せ付けず逃げ切り勝ちで見事人気に応えました。2着には3番手追走から5番人気(18対1)のキャンディップ Candip が1馬身4分の1差で続き、5番手から伸びた2番人気(4対1)のレディー・フォー・ライ Ready for Rye が1馬身半差で3着。
勝ったエックス・ワイ・ジェットは前走の後で現オーナーが権利の大半を取得しましたが、ホルヘ・ナヴァロ厩舎、エミサエル・ジャラミロ騎乗のコンビはそのまま継続し、新オーナーの勝負服では初勝利となります。前走同じガルフストリームの一般ステークス(サンシャイン・ミリオンズ・スプリント)にも勝ち、これでガルフでは3連勝、通算でも5連勝と連勝記録を伸ばしました。新オーナーの目的は3月ドバイのゴールデン・シャヒーンを制することで、既に遠征計画も纏まっているようです。

続いてはこの日組まれているGⅡ戦のクラシック・トライアルの第一戦、牝馬によるダヴォナ・デール・ステークス Davona Dale S (GⅡ、3歳牝、8ハロン)、オークスのポイント対象で、1着から4着までには夫々50-20-10-5ポイントが加算されます。前走フォワード・ギャル・ステークス(GⅡ)を圧勝した無敗のカスリン・ソフィア Cathryn Sophia が、1マイルの距離は初挑戦ながら1対5の圧倒的な1番人気。
レースは5番人気(10対1)のアール・ガールズ・ア・チャーマー R Girls a Charmer が逃げましたが、4番手の外で待機した大本命、第4コーナーで先行2頭を外から交わすと、後は後続をあっという間に突き放すパフォーマンスで、後方2番手から追い込むドモワゼル・ステークス(GⅡ)優勝以来で2番人気(5対1)のルイス・ベイ Lewis Bay に7馬身の大差を付けていました。更に4分の3馬身差で2番手追走の3番人気(5対1)デアレスト Dearest が3着。
ジョン・サーヴィス厩舎のカスリン・ソフィアは、主戦のジョエル・ロザリオが落馬負傷中のため今回はハヴィエル・カステラノに乗り替わり。これで無傷の4連勝となり、合計着差は何と41馬身半に。前走に続くポイント獲得で、通算60ポイントは現時点でのトップです。次走は4月2日のガルフストリーム・オークス(GⅡ)で、そこから本番ケンタッキーへというローテーションになるでしょう。

3つ目のG戦も3歳牝馬戦ですが、こちらは芝コースのヒアカムズザブライド・ステークス Herecomesthebride S (芝GⅢ、3歳牝、8.5ハロン)。去年は3月第1週、何とか雨の中でも施行されました。今年は firm の馬場に恵まれ8頭立て、去年のBCジュヴェナイル・フィリーズ・ターフ優勝馬のキャッチ・ア・グリンプス Catch a Glimpse が3歳デビューを迎え、もちろん3対5の2倍を切る1番人気。
ブービー人気(60対1)のヴェイハ・ルーナ Vieja Luna が逃げましたが、第3コーナーで早くも一杯。2番手を楽走していたキャッチ・ア・グリンプスが抜けると、3番手を追走していた2番人気(5対2)のリラ Lira に2馬身半差を付ける文句無い勝利。4番手を進んだ5番人気(15対1)のゴーン・アウェイ Gone Away が1馬身4分の3差3着で続きました。
マーク・カッセ厩舎、フロラン・ジェルー騎乗のキャッチ・ア・グリンプスは、これで5戦4勝。2戦目で勝利してからは4連勝で、ステークスも3連勝となります。上記の様にBC勝ちした馬で、BCを制した馬が今年初戦を勝ったのが彼女で5頭目の由。実力ある人気馬が順当に新シーズンを迎えるのは気持ちの良いことではあります。

続いも芝G戦ですが、こちらは古馬によるカナディアン・ターフ・ステークス Canadian Turf S (芝GⅢ、4歳上、8ハロン)。1頭が取り消して8頭立てとなり、一昨年のカナダ3歳チャンピオンで1月にもフォート・ローダーデール・ステークス(芝GⅡ)に勝ったハート・トゥー・ハート Heart to Heart が4対5と、これまた2倍を切る1番人気。
前走同様逃げ作戦のハート・トゥー・ハート、今回もせめぎ合う後続を尻目に2馬身半差を付ける堂々の逃げ切り勝ちで人気に応えました。写真判定となった2着争いは、3番手を追走した去年の勝馬で3番人気(9対2)のロング・オン・ヴァリュー Long On Value が首差で制し、更に首差で最後方から追い込んだ4番人気(5対1)のディヴィジデロ Divisidero が3着。
ブライアン・リーチ厩舎、ジュリアン・ルパルー騎乗のハート・トゥー・ハートは、これで3連勝の5歳馬。G戦は4勝目で、次走4月15日のメイカーズ・マイル(芝GⅠ)でもう一つ上の勲章を目指すことになるでしょう。

この日のG戦、最後から二番目がパーム・ビーチ・ステークス Palm Beach S (芝GⅢ、3歳、8.5ハロン)。去年は雨のため途中で中止され、翌週に延期されたという経緯がありました。今年は1頭が取り消したものの13頭立ての混戦。外枠ながら2戦1勝2着1回の新星コンヴァージ Converge が5対2の1番人気に支持されていました。この日の1番人気では最も危ない1頭という印象です。
レースは本命馬よりも更に外枠から出た最低人気(99対1)のアメリカン・ファントム American Phantom が逃げ、コンヴァージは前半は後方2番手。向正面で内ラチ沿いに潜り込んで経済コースを進んだコンヴァージ、7番手まで押し上げて直線に向くと、馬群を縫うようにしてインコースを衝いて末脚を爆発させると、2番手追走から一旦先頭に立った6番人気(9対1)のジャイアント・ラン Giant Run を4分の3馬身差し切っての優勝です。ハナ差で中団から伸びた8番人気(11対1)のウーズビー Ousby が3着。
チャド・ブラウン厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のコンヴァージは、去年ベルモントの芝1マイル戦でデビュー勝ちした馬で、続く一般ステークス(アワド・ステークス)は2着。これで3戦2勝となり、もちろんステークスもG戦も初勝利となります。芝馬なのでケンタッキー・ダービーには無関係、芝のG路線を歩むことになるでしょう。

2月最後のG戦は、ファウンテン・オブ・ユース・ステークス Fountain of Youth S (GⅡ、3歳、8.5ハロン)。6頭立ての少頭数でしたが無敗馬が3頭、中でも前走ホーリー・ブル・ステークス(GⅡ)圧勝を含めてG戦3勝、4戦無敗のモヘイメン Mohaymen が2対5の圧倒的な本命として注目を集めます。
スタートは3番人気(6対1)の無敗馬オウサム・バナー Awesome Banner が先手を取って逃げ、同じく無敗のズールー Zullu が2番手追走。クラブハウス・ターンでは後方2番だったモヘイメンも向正面では3番手に上がって何時でも抜け出す構え。最初に飛びだしたのはズールーで、第3コーナーで先頭に立ったところにモヘイメンが外から襲い掛かり、直線ではライヴァルを突き放すと、最後は抑え気味にズールーを2馬身4分の1差抑えて圧巻の勝利。4馬身差でホーリー・ブルでも3着だった5番人気(22対1)のフェローシップ Fellowship が最後方から3着に食い込んでいます。
キアラン・マクローリン厩舎、ジュニア・アルヴァラード騎乗のモヘイメンは、ダービー・ポイント50を加算して合計71ポイントでトップ。5戦5勝、G戦も4連勝で、愈々4月2日のフロリダ・ダービーで同じく無敗(6戦6勝)のナイクィスト Nyquist と対決することになります。モヘイメン対ナイクィストが今年の牡馬クラシックの構図になりますが、ケンタッキー・ダービー前に2強激突が実現してしまうのは少し勿体ない気も。いずれにしても今年のクラシックは牡・牝共に例年以上の盛り上がりになりそうです。

 

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