レース直前の豪雨、それでも2冠馬誕生!

昨日は注目の三冠第2弾のプリークネス・ステークスが行われましたが、ここではレース順に、他の2場のG戦も含めてレポートして行きましょう。

それでも最初はクラシックが行われるピムリコ競馬場から。クラシック当日も前日と同じくG戦は4鞍、第1弾はメリーランド・スプリント・ハンデキャップ Maryland Sprint H (GⅢ、3歳上、6ハロン)。fast の馬場に8頭が出走し、前走アローワンス戦で3着と期待を裏切りましたが、去年ベイ・ショア・ステークス(GⅢ)とアムステルダム・ステークス(GⅢ)に勝ったクー・ド・グラース Coup de Grace が9対5の1番人気。
去年の勝馬で2番人気(2対1)のハッピー・マイ・ウェイ Happy My Way が逃げましたが、2番手を追走した3番人気(4対1)のサンバー Sandbar が逃げ馬を外から捉え、最内を衝いて追い込んだ6番人気(12対1)のサーヴィス・フォー・テン Service for Ten を4分の3馬身競り落として優勝。頭差でハッピー・マイ・ウェイが3着に入り、クー・ド・グラースは2戦続けて凡走の5着に終わりました。
ジョー・シャープ厩舎、ジョエル・ロザリオ騎乗のサンバーは2歳時にデル・マーの一般ステークス(ストライク・ユア・カラーズ・ステークス)で3着したことはありましたが、これがステークスそのものも初勝利となる4歳せん馬。前走、前々走はアローワンス戦で2・3着でした。

ピムリコの二つ目はギャロレット・ハンデキャップ Gallorette H (芝GⅢ、3歳上牝、8.5ハロン)。firm の馬場に2頭が取り消して11頭立て。去年の2着馬で、前走フラワー・ボウル・ステークス(芝GⅠ)4着のワッツダチャンシズ Watsdachances が2対1の1番人気。
ブービー人気(45対1)のオスカー・パーティー Oscar Party が逃げ、向正面ではこれを6番人気(9対1)のトークン・オブ・ラヴ Token of Love が交わして直線へ。3番人気(6対1)のエモーショナル・キッテン Emotional Kitten が先に抜け出してゴールを目指す所、前半7番手で控えていた本命ワッツダチャンシズが外から襲い掛かり、1馬身差を付けて人気に応えました。1馬身4分の1差で6番人気(9対1)のシスタス・ストロール Sistas Stroll が3着。
チャド・ブラウン厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のワッツダチャンシズは、2歳時にベルモントで勝ったミス・グリロ・ステークス(芝GⅢ)以来のG戦勝利。これで16戦5勝となる5歳馬です。

続いてがディクシー・ステークス Dixie S (芝GⅡ、3歳上、8.5ハロン)。朝の時点で1番人気だったウォー・コレスポンダント War Correspondent を含む2頭が取り消し、更にゲート地点で獣医の判断でグランド・ティート Grand Tito も除外となるアクシデントもあっての13頭立て。去年のトゥワイライト・ダービー(芝GⅡ)馬で、メイカー46マイル(芝GⅠ)3着のロング・オン・ヴァリュー Long On Value が5対2の1番人気でした。
レースは17対1で一昨年の覇者スカイリング Skyring が逃げましたが、前半はインコースの後方を追走していた7対1のイロニコス Ironicus が馬場中央を一気に突き抜け、25対1の伏兵ケージ・ファイター Cage Fighter に2馬身4分の3差を付けて快勝。更に1馬身4分の1差3着には5対1でジャパン・カップに参戦したこともある一昨年のカナダの年度代表馬アップ・ウィズ・ザ・バーズ Up With the Birds が3着に入り、ロング・オン・ヴァリューは頭差で4着。
クロード・マゴーヒー厩舎、前のレースから連勝となるハヴィエル・カステラノ騎乗のイロニコスは、前走アローワンス戦が2着で、勝鞍も未勝利戦とアローワンス戦のみ。これがステークスそのものも初挑戦での初勝利となりました。兄に去年のブルックリン・ハンデを勝ったノーラムベガ Norumbega がおり、これから更なる成長が期待される芝馬です。

そして愈々プリークネス・ステークス Preakness S (GⅠ、3歳、9.5ハロン)。ケンタッキー・ダービーから中1週と厳しいローテーションもあって、登録してきたのは8頭だけ。ダービーの上位3頭が揃って出てきたのが注目です。もちろん最内1番枠スタートのダービー馬アメリカン・フェイロー American Pharoah が4対5の断然1番人気で、大外8番枠を引いたダービー2着のファイアリング・ライン Firing Line が5対2で2番人気、3着のドルトムント Dortmund は4対1の3番人となり、単勝10倍以下は3頭だけと言うダービーの結果をそのまま反映した人気になっていました。
この日は午後から雨という予報が出ていましたが、プリークネス直前になって激しい豪雨と言うドラマチックな舞台、馬場は一気に sloppy まで悪化して観衆をハラハラさせます。
泥田の1番枠とあってアメリカン・フェイローはスタートから行く構え。同じく行きたい6番人気(16対1)のミスター・ジー Mr.Z とのハナ争いを制して先頭に立ちます。4番手に控えた4番人気(12対1)ディヴァイン・ロッド Divine Rod が早目に仕掛けて本命馬にチャレンジを仕掛けましたが、未だ余裕を残すアメリカン・フェイロー、直線では後続を引き離し、後方から漸く伸びるブービー人気(25対1)のテイル・オブ・ヴァーヴ Tale of Verve に7馬身の大差を付けて圧巻の2冠達成です。1馬身差でディヴァイン・ロッドが3着に入り、4着ドルトムント以下は更に7馬身半の差が開いていました。勝時計は1分58秒45と、1956年以来の遅いタイムとなりましたが、これは馬場状態と2着以降の着差が大きく開いたためで、問題にする必要もないでしょう。
御存知ボブ・バファート厩舎、ヴィクター・エスピノザ騎乗の2冠馬は、これでGⅠ戦は5勝目。愈々6月には3冠を掛けてベルモント・ステークスと言うことになりますが、バファート師は“今は三冠のことは考えたくない。暫くは今日の美酒に酔わせてくれ”とコメント。現時点で三冠チャレンジは確定していません。ダービーからブリーネスと3週間で二つのクラシックという厳しいローテーションを歩んできた馬には、レース後何が起きるかは予断を許しません。レース後が順調なら、陣営もベルモント・ステークスを真剣に検討して行くことと思われます。

この後は他の競馬場のG戦に移ります。ベルモント競馬場のG戦はヴァグランシー・ハンデキャップ Vagrancy H (GⅢ、4歳上牝、6.5ハロン)一鞍。fast の馬場に5頭立てという寂しいメンバーとなり、前走ディスタッフ・ハンデ(GⅡ)を制して同レース2連覇を達成したラ・ヴェルダッド La Verdad が3対5の圧倒的1番人気。
スタートから先手を取ったラ・ヴェルダッド、直線で外から3番手を進んだ2番人気(7対5)のルーム・フォー・ミー Room for Me に迫られてやや外に寄れる場面もありましたが、何とか半馬身差を保って人気に応えました。7馬身半もの大差が付いた3着には最後方から追い込んだ3番人気(9対1)のマンドゥーハ Mamdooha と順当。
リンダ・ライス厩舎、ホセ・オルティス騎乗のラ・ヴェルダッドは、去年11月末にフォール・ハイウエイト・ステークス(GⅢ)で7着の後、今年4月のディスタッフまで休養。これで今季はG戦に2戦2勝と好調で、通算成績も18戦12勝、内ステークス7勝、G戦も3勝となりました。

最後にモンマス・パーク競馬場からはレッド・バンク・ステークス Red Bank S (芝GⅢ、3歳上、8ハロン)。firm の馬場に3頭が取り消して7頭立て。こちらも最終オッズは不明ですが、去年のカナダの年度代表馬でステークスを3連勝中のハート・トゥー・ハート Heart to Heart が8対5で1番人気に支持されていました。
そのハート・トゥー・ハートがハナを切りましたが、一旦31対1のメロー・フェロー Mellow Fellow にハナを譲って2番手。直線で抜け出したハート・トゥー・ハートがリードを奪って人気に応えるかと思われましたが、前半は後方2番手に待機していた5対2のウインニング・コース Winning Cause が直線で馬群割って本命馬を外から捉え、半馬身差を付ける逆転勝ち。更に半馬身差で3対1のアズテック・ブレーヴ Aztec Brave が3着。
トッド・プレッチャー厩舎、アベル・カステラノ騎乗のウイニング・コースは、去年のこのレースの2着馬。去年8月にここモンマスでクリフ・ハンガー・ステークス(芝GⅢ)を制して以来の勝鞍。最近は前走ガルフストリームのアローワンス戦7着を含めて3連敗中でした。

 

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