レパーズタウンのクラシック・トライアル

そろそろヨーロッパの平場シーズンも本格化を迎える時期で、4月10日はアイルランドとフランスで、また来週からは愈々イギリスでもクラシックに向けたG戦がスタートします。
そこで本稿はレパーズタウン競馬場で行われたクラシックのトライアルを3鞍。G戦は2鞍ですが、リステッド戦も一つ取り上げます。

馬場は heavy 、所により soft と相変わらず重く、レパーズタウン1000ギニー・トライアル・ステークス Leopardstown 1000 Guineas Trial S (GⅢ、3歳牝、7ハロン)は1頭が取り消して9頭が出走してきました。オブライエン厩舎とウェルド厩舎の寡占状態が続いていますが、今年は新風が起きたようです。
去年のBCジュヴェナイル・ターフに遠征して2着と健闘したオブライエン厩舎のアリス・スプリングス Alice Springs が5対4の1番人気。鞍上は今年もオブライエン厩舎の主戦を務めるライアン・ムーアです。

重馬場を意識して先頭に立ったのは2番人気(11対2)のジェット・セッティング Jet Setting 、アリス・スプリングスは後方から徐々に進出する作戦でしたが馬場が重く思うようには伸びません。そんな本命馬を尻目にジェット・セッティングの鮮やかな逃げ切り勝ち。2番手を追走した3番人気(7対1)のナウ・オア・ネヴァー Now Or Never がそのまま3馬身差で2着で流れ込み、アリス・スプリングスは脚を伸ばしたものの2馬身4分の3差で3着が精一杯でした。
ジェット・セッティングを管理するのは開業2年目のエイドリアン・キールティー師。同馬は2歳の秋まで英国のリチャード・ハノン師が調教していましたが転厩、新厩舎の元で去年秋にシャンティーのリステッド戦で3着したのがシーズン終戦でした。今期はコーク競馬場の未勝利戦で初勝利を挙げ、7戦目でのG戦初勝利となりました。騎乗していたのはシェーン・フォリ―で、フォリ―とのコンビでは2連勝となります。

陣営によれば、ジェット・セッティングは重馬場でチャンスがある馬。ギニーが行われる頃には馬場も乾くので、重馬場が期待されるドイツ1000ギニーに向かう可能性が大きいとのこと。
日本にとっても興味深いのは同馬の牝系で、ファミリー・テーブルではB3に分類。所謂イギリスの半血種を基礎に持つファミリーで、昨日の桜花賞で大本命になりながら敗れたメジャーエンブレムと同じです。2頭の8代か9代が同じ母に行き着くのですね。ロジユニヴァースも同じB3ですが、どうも安定的な強さを維持できる牝系ではないようで、ジェット・セッティングとメジャーエンブレムを重ねて見ることもできそうです。

もう一つのトライアルG戦はバリーサックス・ステークス Ballysax S (GⅢ、3歳、1マイル2ハロン)。7頭が出走し、ウェルド師がクラシック候補として期待しているハーザンド Harzand が2対1の1番人気。
スタートから先手を取ったのは6番人気(25対1)のテオドリコ Theodorico でしたが、後方に付けていた4番人気(8対1)のアイダホ Idaho が出し抜けを喰らわすようにスパートして一気に先頭に立ちます。これを同じオブライエン厩舎の2頭が追走してオブライエン独占かと思われましたが、5番手を進んだハーザンドが慌てずスパートし、アイダホを1馬身4分の1差捉えて見事人気に応えました。7馬身半差が開いて2番手を進んだ5番人気(8対1)のビーコン・ロック Beacon Rock が3着に入り、ムーア騎乗の2番人気(5対2)クック・アイランズ Cook Islands は4着。オブライエン勢は2着から4着までに終わっています。

デルモット・ウェルド厩舎、パット・スマーレン騎乗のハーザンドは、2歳時はゴウランの8ハロン戦でデビューして5着のみ。今期初戦のコーク競馬場で10ハロン戦で初勝利を挙げ、これで3戦2勝となります。スマーレン騎手のコメントでは、大柄な馬なのでエプサム向きでは無い由。ダービーを目指すならカラー競馬場で、ダービーと言うよりセントレジャー・タイプだろうということでした。
陣営の判断は未だ先ですが、それでもブックメーカーは英ダービーに20対1のオッズを提示しています。父はシー・ザ・スターズ Sea the Stars で、もしダービーに勝てば父子制覇となるのですが・・・。

以上がアイルランドのG戦ですが、その前に行われたリステッド戦のレパーズタウン2000ギニー・トライアル・ステークス Leopardstown 2000 Guineas Trial S (L、3歳牡せん、1マイル)も簡単に取り上げましょう。去年も紹介しています。当初オブライエン厩舎のGⅠ馬ヨハンネス・フェルメール Johannes Vermeer が登録していましたが取り消し、4頭立て。このレース3連覇が掛かるウェルド厩舎のトゥルー・ソリテール True Solitaire が8対11の1番人気に支持されていましたが、勝ったのは後方から追い込んだ3番人気(7対2)のブラック・シー Black Sea 。頭差で2番人気のステノグラファー Stenographer とトゥルー・ソリテールが2着同着でした。
勝ったブラック・シーはエイダン・オブライエン厩舎で、ヨハンネス・フェルメールが取り消したためライアン・ムーアが急遽乗り替わった馬。これが今期デビュー戦で、2歳の終戦はキラヴュラン・ステークス(GⅢ)の3着でした。

 

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください