コースが冠水したニューバリー競馬場

ニューマーケットのクレイヴァン開催に続き、英国では土曜日にニューバリー競馬場でG戦3鞍が行われることになっていました。ところがイングランド南部のバークシャー地方は雨が降り続いているようで、同競馬場はコースが冠水、急遽コースを変更して開催されることになったようです。
出馬登録もやり直して移管されたのは、ポリトラック・コースを設けているチェルムスフォード・シティー Chelmsford City という施設。私はこれまで知りませんでしたが、イングランド東部のエセックス州に位置しているようで、新しいエンターテインメント施設のようですね。ホームページを見るとコンサートの案内も出ていました。
本来なら芝コースで行われる筈の3鞍ですが、タペタに変更。パターン・レースの資格はそのまま維持されるようですから、結果だけでも記録しておくことにしました。

ということで、standard と発表されている馬場で行われた最初のG戦はジョン・ポーター・ステークス John Porter S (GⅢ、4歳上、1マイル5ハロン66ヤード)。本来は1マイル4ハロン5ヤードの距離ですが、コースも形状も異なるので近い距離で設定されていました。
新たに参戦を表明したのは6頭、去年の12月にリングフィールドのポリトラック・コースで3着の経験があるバタリオン Battalion が11対4の1番人気に支持されていました。

3番人気(4対1)で今年イタリアから転厩してきたサウンド・オブ・フリーダム Sound of Freedom が逃げましたが、3番手を進んだ2番人気(3対1)のダートマウス Dartmouth が抜け、後方から追い込む4番人気(5対1)のサンドロ・ボッティチェルリ Sandro Botticelli に4馬身半差を付けて優勝。更に1馬身4分の1差で同じく後方から4番人気で並んでいたレストラー Restorer が3着に入りました。バタリオンは4着まで。
勝ったダートマウスは当初の登録には名前が無かった馬で、リスケジュールされたのを機に参戦してきた4歳馬。サー・マイケル・スタウト厩舎、ライアン・ムーア騎乗でエリザベス女王の所有馬でもあります。去年夏にアスコットとグッドウッドのハンデ戦に連勝し、11月にはケンプトンのポリトラック・コースでもリステッド戦で3着していました。
スタウト師はこのレース7勝目。馬自身は芝コースの方が好きなのだそうですが、未だ成長途上、夏競馬でも女王の勝負服で走る雄姿が見られるでしょう。

続いては、本来なら1000ギニーのトライアルになるフレッド・ダーリング・ステークス Fred Darling S (GⅢ、3歳牝、7ハロン)。距離はオリジナルと同じ7ハロンで行われています。8頭が出走し、プリンセス・マーガレット(GⅢ)、ラウザー(GⅡ)と連勝しチーヴリー・パーク(GⅠ)でも3着した実力上位のべシャーラー Besharah が2対1の1番人気。
4番人気(8対1)のケイティーズ・ダイアモンド Katie’s Diamond が逃げ、べシャーラーは4番手から。しかしこのコースは前に行かないと末脚が活きないようで、2番手に付けていた2番人気(5対2)のマレンコ Marenko が残り1ハロンで先頭に立つと、同じく3番手を追走していた6番人気(16対1)のライト・アップ・アワ・ワールド Light Up Our World に1馬身4分の1差を付けて優勝。べシャーラーも懸命に追い上げましたが頭差届かず3着に終わっています。

1・2着は共にリチャード・ハノン師の管理馬で、いわゆる親子丼。勝った馬にはライアン・ムーアが騎乗しており、この日のG戦ダブル達成です。マレンコは最新の1000ギニー登録からは外れており、クラシックには向かわない模様。去年は2戦目にアスコットで初勝利を挙げ、スイート・ソレラ(GⅢ)3着、ドーヴィルのカルヴァドス賞(GⅢ)2着、メイ・ヒル(GⅡ)も2着、2歳終戦のフィリーズ・マイル(GⅠ)は8着に終わっていました。
今期は既にケンプトン競馬場のタペタ・コースで行われた条件戦に勝っており、2連勝でG戦初勝利となります。

最後は2000ギニーへのステップ・レースとなる筈だったグリーナム・ステークス Greenham S (GⅢ、3歳牡せん、7ハロン)。登録やり直して手を挙げたのは4頭でしたが、1頭が辞退して僅かに3頭立て。G戦で二度2着しているタスリート Tasleet が4対7の1番人気に支持されていました。
そのタスリートがスタートから先手を取って逃げ、最後は3番手を追走した2番人気(3対1)のナイフ・エッジ Knife Edge とのマッチレース。首の上げ下げとなる際どい勝負でしたが、短頭差で本命馬の逃げ切り勝ち。鞍上ポール・ハナガンが、ライアン・ムーアのG戦ハットトリックを必死に阻止したという印象です。3番人気(9対2)のログ・アウト・アイランド Log Out Island は12馬身離されて最下位。

ウイリアム・ハッガス厩舎のタスリートは、2歳時2戦目のチェプトウで初勝利を挙げ、続くニューバリーでも一般戦で連勝。そのあとリッチモンド(GⅡ)で2着し、ヨークの一般戦で3勝目。2歳最後のサマーヴィル・トトソル・ステークス(GⅢ)はハナ差2着でG戦タイトルを逃していました。これが今期初戦。
ハッガス師によれば2000ギニーに向かう可能性は少なく、ロイヤル・アスコットが目標になる由。一方2着惜敗のナイフ・エッジも目指しているのはドイツ2000ギニーとのことで、2週間後のクラシックには無関係のトライアルとなってしまいました。

 

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください