一転、1000ギニーはオブライエンの1-2-3!

競馬はやって見なければ判らない、の典型のような2000ギニーに続き、5月1日の日曜日にニューマーケット競馬場で1000ギニー・ステークス 1000 Guineas S (GⅠ、3歳牝、1マイル)が行われました。
この日のG戦は2鞍でしたが、後で行われたクラシックの方を先にレポートしておきましょう。

馬場は前日よりかなり乾いたようで、発表は good 。枠順発表の16頭から取り消しは無く、前評判通りマインディング Minding が11対10の1番人気に支持されていました。前日に大本命で大凡走したエア・フォース・ブルーと同じオブライエン/ムーア・コンビでしたが、その敗戦を引き摺るようなチームじゃありません。
2番人気も予想通りリュミエール Lumiere で13対2、同じオブライエン厩舎のバリードイル Ballydoyle が15対2の3番人気で続きます。デットーリが乗るナスラ Nathra の評価がやや上がって8対1の4番人気。以下は単勝10倍以上でした。

2番人気のリュミエールが逃げてスタミナを試しますが、チーヴリー・ステークス勝馬だけあって初体験の残り2ハロンでは急速にバテ、争覇圏から早くも脱落。前を意識した本命マインディングは先行策から残り2ハロン、リュミエールに替るように先頭に立つと、後方からの競馬となったバリードイルの追い込みを余裕を持って3馬身半差抑え、前日の鬱憤を晴らすような圧勝でクラシック戴冠です。
先行から勝馬を追った6番人気(16対1)のアリス・スプリングス Alice Springs が半馬身差で3着に入り、エイダン・オブライエン厩舎の1着から3着まで独占です。もちろんオーナーは全てクールモアのグループ所有で、3頭ともガリレオ Galileo 産駒というトリプル・ワン・ツー・スリーでした。4着は10番人気(40対1)のファイアグロウ Fireglow 、5着にナスラが入り、今回は2番人気のリュミエールが最下位16着大敗に終わっています。
夫々のジョッキーは、マインディングがライアン・ムーア、バリードイルはシーマス・ヘファーナン、アリス・スプリングスがカーム・オダナヒュー、何れもクールモアを本拠とする名手たちでした。

ライアン・ムーアにとっては1000ギニーは3勝目、去年のレガティッシモ Legatissimo (クールモア所有ながらウォッチマン厩舎)に続く2連覇。ムーアの英国クラシックは7勝となりました。
またオブライエン師も1000ギニーは3勝目。今回は師にとってGⅠ戦250勝目だそうで、日本の基準から考えれば気の遠くなるような数字でしょう。

マインディングは、少なくとも2000メートルまでのスタミナには血統的にも、走破内容からも問題無し。この圧勝で「ダービーに挑戦すべきだ」というファンの声も上がっています。実際にダービーのオッズは3対1が出されましたが、陣営は牝馬がダービーに挑戦するのは美学的に抵抗がある様子。現実的にはイーヴンのオッズが出されたオークスに向かうものと思われます。愛1000ギニーでギニー・ダブルを目指すかは未定ですが・・・。
一方2着のバリードイルは愛1000ギニーが有力で、アリス・スプリングスにはフランス遠征というメニューが想定されているようです。いずれにしてもクールモア、オブライエン、ガリレオというタグは未だ未だこれからも続きそう。

さて、クラシックの前に行われたのがダリア・ステークス Dahlia S (GⅡ、4歳上牝、1マイル1ハロン)。GⅠ馬2頭を含む9頭が参戦してきましたが、5対2の1番人気に支持されたのはオークス5着、オペラ賞2着でノネット賞(GⅡ)勝馬のジャッズィ・トップ Jazzi Top 。このレースに滅法強い(9年で6勝)スタウト厩舎のクリスタル・ズヴェズダ Crystal Zvezda も9対2の2番人気に推されていました。
逃げたのは5番人気(7対1)のアラビアン・クィーン Arabian Queen 、ジャドモント・インターナショナルでダービー/凱旋門賞のゴールデン・ホーン Golden Horn を破ったあのGⅠ馬です。人気のジャッズィ・トップが2番手を追走しましたが、先団で待機した3番人気(5対1)のアシェレット Usherette が末脚を爆発させると、アラビアン・クィーンに1馬身差を付ける鮮やかな差し切り勝ちです。3番手を進んだGⅠ2勝馬で4番人気(6対1)のアメージング・マリアが、4馬身半差ながら実力の3着に入り、ジャッズィ・トップは7着、クリスタル・ズヴェズダも最下位9着に終わりました。

勝ったアシェレットは、フランスからアンドレ・ファーブル師が態々ドーヴァー海峡を渡ってきた4歳馬で、ミケール・バルザロナ騎乗。これが未だ6戦目というキャリアの浅い馬で、敗戦は3歳最終戦で挑戦したロッシルド賞(GⅠ)7着のみ。
シャンティーの1900メートルでデビュー勝ち、続くシャンティーの1600メートルを連勝してロッシルドが3戦目。今期はドーヴィルとシャンティーで何れもポリトラックの条件戦を2連勝し、今回がG戦初勝利となります。瞬発力が武器で、スローに流れがちなフランスよりペースが速い英国向き。これからも度々イギリスのGⅠ戦を賑わす存在になりそうです。

 

 

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください