1000ギニーはフランスへ

日曜日のニューマーケット、前日の2000ギニーに続いて牝馬クラシック第一弾の1000ギニー 1000 Guineas S (GⅠ、3歳牝、1マイル)が行われました。馬場は good to firm 。
最終登録では19頭でしたが、2頭が取り消して17頭立て。レヴェルが高いと思われた2000ギニーは40対1の伏兵が制し、早くも3歳牡馬の評価は下がり気味です。一方牝馬クラシックはレース前から混戦ムードで、何が勝っても驚かないという心の準備は出来ていたのではないでしょうか。

最終的に1番人気は4対1と高いオッズで、支持されたのはチーム・オブライエンのタペストリー Tapestry 。3戦2勝、2歳終戦はモイグレア・スタッド(GⅠ)の2着でしたが、そのモイグレアを制したリジーナ Rizeena は9対2の2番人気。このオッズからしてファンに迷いがあったことが窺われましょう。

2000ギニーは内外に分かれる典型的な直線のマイル戦になりましたが、1000ギニーは最初から全馬が馬場の中央を通る一団の競馬。前日の轍を踏むまいという騎手心理が働いていたのかも知れません。
先頭でレースを引っ張ったのは、2000ギニーを制したリチャード・ハノン厩舎のマンダーレー Manderley 、100対1のオッズを活かしてあわよくばの作戦か。そのマンダーレーが意外に頑張り、残り1ハロンでも未だ先頭。ここでスパートしたのが、3番手に付けていた並んだ3番人気(7対1)のミス・フランス Miss France 。予定より早く先頭に立った感はありましたが、外(スタンドから遠い側)から迫る同じ7対1のイーティマル Ihtimal を競り落とし、更に後方からスタンド側にスイッチして末脚を爆発させる6番人気(14対1)の一角ライトニング・サンダー Lightning Thunder をも抑えての戴冠です。勝馬と2着ライトニング・サンダーとの着差は首、3着イーティマルは半馬身差でした。
以下、逃げたマンダーレーが4着と逃げ粘り、2番人気のリジーナは後方から追い込むも7着。本命に祭り上げられた感のあるタペストリーも先行グループに付けていましたが、勝負所で脚を失くし、ジョセフが馬を緩めたこともあって最下位で入線しています。

ミス・フランスは、その名の通りフランスからアンドレ・ファーブル師が送り込んできた馬。師が敢えてドーヴァー海峡を渡るには、それなりの自信があったからに違いはありません。鞍上マクシム・グィヨン騎手共々、1000ギニーは初制覇となります。
同馬は2歳の秋にもニューマーケットに遠征しており、オー・ソー・シャープ・ステークス(GⅢ)に優勝、そのときの2着が今回と同じライトニング・サンダーであったことは決して偶然ではないでしょう。今期デビュー戦のアンプルーダンス賞(GⅢ)では1番人気になりながら6着敗退、この時点でファーブル師は遠征を諦めたようです。しかしその後は馬が変わったように調教でも鋭い動きが復活し、師の自信も元に復したというのが真相です。
レース後ファーブル師は、距離が伸びても問題ないことを強調。次走は仏オークスと宣言しました。ミス・フランスの母ミス・タヒチ Miss Tahiti もファーブル師が調教しており、彼女は2400メートルでの勝鞍もあります。その血統に付いてはいずれプロフィールで詳しく取り上げましょう。

昨日は1000ギニーに先立ってダーリア・ステークス Dahlia S (GⅢ、4歳上牝、1マイル1ハロン)も行われています。1頭取り消しがあり7頭立て。昨秋アタランタ・ステークス(GⅢ)に勝ち、続くサン・チャリオット・ステークス(GⅠ)でも去年の1000ギニー馬スカイ・ランターン Sky Lantern の2着したインテグラール Integral が7対4の1番人気。

レースはカドゥーナ Quaduna がややスローに落としての逃げ、インテグラールは後方に待機します。先に抜け出したのは本命馬より前、先行していた2番人気(9対4)のエソテリク Esoterique で、同時にスパートしたインテグラールとの一騎打ちに。最後は先手の利か、エソテリクが頭差でインテグラールに競り勝っていました。3着は3馬身4分の1引き離されて3番人気(7対1)のギフテッド・ガール Gifted Girl 。
エソテリクは1000ギニーを制したミス・フランスと同じコンビ、アンドレ・ファーブル厩舎・マクシム・グィヨン騎乗で、同コンビはこの日のG戦ダブルを完成させたことになります。勝馬は去年のヴァントー賞(GⅢ)に勝ち、仏1000ギニーが2着、仏オークスは7着だった馬。これを3歳終戦として、今期は既にサン=クルーで2戦、リステッド戦とエドモン・ブラン賞(GⅢ)で何れも4着。今回が叩き3戦目での勝利です。
エソテリクの次走はイスパハン賞、インテグラールはロイヤル・アスコットに向かうことが表明されました。

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