サン=クルー大賞典でGⅠ戦初勝利

留守にしていた1週間の競馬を慌ただしく回顧してきましたが、漸く先週末に追い付きました。7月3日の日曜日にサン=クルー競馬場で行われたG戦2鞍のレポートです。
馬場は good 、何れも2400メートルの距離で、この距離が長過ぎる馬もあれば、短過ぎた馬もあったようです。

先ず、3歳牝馬が2400メートルに挑むマユレ賞 Prix de Malleret (GⅡ、3歳牝、2400メートル)。勝てば秋のヴェルメイユ賞を目指すことになる一戦、1頭が取り消しての7頭立て。このレースの試走となるロヨーモン賞(GⅢ)で2着したアル・ワスナ Al Wathna が9対10の1番人気。
ローカル競馬でこの距離に勝った経験のあるフェー・デュ・ハザード Fee du Hazard (89対10、4番人気)がスローに落して逃げましたが、中団の外に付けたある・ワスナが残り400メートルで先頭に立つと、後方から追い込む2番人気(39対10)のアンプレッショニスト Impressionist を短首差抑えて優勝、キッチリと人気に応えました。頭差の3着にも後方から猛追した6番人気(10対1)のド・レ・ミ・ファ・ソ Do Re Mi Fa Sol 。何という馬名でしょうか!

ジャン=クロード・ルジェ厩舎、グレゴリー・ブノア騎乗のアル・ワスナは、3歳初戦の3戦目にカーニュ=シュル=メールの2200メートル戦で初勝利。続くシャンティーの条件戦(2100メートル)にも連勝し、シャンティーのリステッド戦(2200メートル)3着、2400メートルのロヨーモン賞2着と手順を踏んで2400メートルでG戦初勝利を挙げました。秋に向けて大成が期待される1頭です。

そしてサン=クルー大賞典 Grand Prix de Saint-Cloud (GⅠ、4歳上、2400メートル)。去年はトレーヴ Treve が凱旋門賞への足慣らしとして楽勝したレースですが、今年は11頭立ての混戦。仏セントレジャーを含めて長距離戦ばかり7連勝中のヴァジラバド Vazirabad が13対10の1番人気。2400メートルを走るのは今回が初めてで、距離経験ではデビュー戦の2200メートル(6着)が最も短いという典型的なステイヤーだけに、この「短距離」で勝負になるスピードがあるかが問われる一戦でしょう。
本命馬のペースメーカーを務めるアラムジー Alamgiyr (82対1、11番人気)が、スタミナ勝負に持ち込むべく2ハロン地点からハナに立ってペースを創ります。中団に待機したヴァジラバドは徐々に進出し、最後のコーナーを2馬身差の3番手で回りましたが、そこからは反応が見られず、結局は7着と期待を大きく裏切ってしまいました。単純に距離が短過ぎたのが敗因と決め付けてしまうのは早計でしょうが、やはりこの馬は典型的なステイヤーと見た方が良さそうです。
勝負は追い込み馬の瞬発力勝負となり、中団でレースを進めた5番人気(93対10)のシルヴァーウェイヴ Silverwave がスムースに抜け出すと、後方から追い込む7番人気(16対1)のイラプト Erupt に1馬身4分の1差を付けて快勝。首差の3着にも同じく後方から追い込んだ6番人気(15対1)のシルジャンズ・サガ Siljan’s Saga が入っています。英国から参戦した2頭は、4番人気(43対5)のイーグル・トップ Eagle Top が9着、9番人気(18対1)のディラン・マウス Dylan Mouth も10着と良い所なく凡走に終わりました。

シルヴァーウェイヴを管理するパスカル・ベイリー師はこのレース初勝利、騎乗したマクシム・グィヨンは2012年のメアンドル Meandre に続く2勝目となります。シルヴァーウェイヴのG戦勝利は3歳時のラ・フォース賞(GⅢ)に続く2勝目で、GⅠ戦は初勝利。
ラ・フォース賞に勝って臨んだ仏ダービーは9着、そのあとのパリ大賞典が4着と続き、ニエル賞(GⅡ)2着を経て凱旋門賞は10着。今期はダルクール賞(GⅡ)7着から始動し、ガネー賞2着、イスパハン賞3着とGⅠ戦で入着が続き、1年振りの勝利となりました。イスパハンでシルヴァーウェイヴを10馬身以上千切ったエイシンヒカリ株、現地では再び上昇しているようです。
去年は10着に終わった凱旋門賞ですが、この勝利により現時点のオッズは33対1が出されました。

 

 

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