7月2日のアメリカ競馬

先週末の土曜日、アメリカ競馬はG戦が合計8鞍と、追いかける身としては結構厳しいものがあります。レポートの順番はいい加減ですが、頑張って紹介して行きましょう。

最初はベルモント・パーク競馬場のマザー・グース・ステークス Mother Goose S (GⅠ、3歳牝、8.5ハロン)から。fast の馬場に7頭が出走し、3頭出しのプレッチャー厩舎からスピナウェイ・ステークス(GⅠ)勝馬でBCジュヴェナイル・フィリーズの2着馬レーチェルズ・ヴァレンティーナ Rachel’s Valentina が9対5の1番人気。
逃げたのは同じプレッチャー厩舎の3番人気(3対1)オフ・ザ・トラックス Off the Tracks で、レーチェルズ・ヴァレンティーナは4番手追走。しかしこの日は本命馬の機嫌が悪かったのか精彩を欠き、そのままオフ・ザ・トラックスが3番手から伸びるケンタッキー・オークス3着馬で2番人気(2対1)のルイス・ベイ Lewis Bay に3馬身半差を付ける鮮やかな逃げ切り勝ちでした。1馬身差で前半は最後方に下げていた4番人気(4対1)のライトストリーム Lightstream が3着。
トッド・プレッチャー厩舎、ホセ・オルティス騎乗のオフ・ザ・トラックスは、前走エイコーン・ステークス(GⅠ)の2着馬。2歳時にはロドリゲス厩舎所属でスカイラーヴィル・ステークス(GⅡ)に勝っており、G戦は2勝目でGⅠ戦は初制覇となります。4月にはガルフストリーム・パーク・オークス(GⅢ)でも3着しており、通算成績は6戦4勝2着1回3着1回と掲示板を外したことはありません。

チャーチル・ダウンズ競馬場では2歳のG戦、バシュフォード・マナー・ステークス Bashford Manor S (GⅢ、2歳、6ハロン)。9頭の若馬が集い、5月の新馬勝ちが目覚ましかったリクルーティング・レディー Recruiting Ready が1対2のやや被った1番人気。
そのリクルーティング・レディーがスピードに任せてスタートから飛ばしましたが、スタートは後方2番手も押し上げて3番手まで進出していた9対2のクラシック・エンパイア Classic Empire がゴール直前で本命馬を外から一気に捉え、4分の3馬身差を付けて快勝。3着には2番手を追走していた同じ9対2のティップ・タップ・タピザー Tip Tap Tapizar が食い込みましたが、2着とは9馬身の大差。1・2着馬の力が抜けていたといえばそれまでですが、本命馬は飛ばし過ぎて最後は一杯になった印象。次回は期待できるでしょう。
マーク・カッセ厩舎、ジュリアン・ルパルー騎乗のクラシック・エンパイアは、5月4日にチャーチル・ダウンズで4.5ハロンの新馬戦に勝っており、これで2戦2勝と無傷。今年の2歳馬では先ず一歩リードした存在でしょう。

次にフロリダ州のガルフストリーム・パーク競馬場から3鞍のG戦を。短距離の祭典と呼んでも良さそうな開催ですが、馬場は fast 。最初のキャリー・バック・ステークス Carry Back S (GⅢ、3歳、7ハロン)は去年まで3歳牝馬限定だったものが、今年は牡馬にも開放されました。牡馬とせん馬ばかり7頭が揃い、この競馬場でスウェイル・ステークス(GⅡ)とハッチェソン・ステークス(GⅢ)に勝っているオウサム・バナー Awesome Banner が2対5の断然1番人気。
そのオウサム・バナーがスタートから飛ばしてそのまま逃げ切るかと思われましたが、前半は後方3番手を追走していた2番人気(5対2)のレイティッド・アール・スーパースター Rated R Superstar が直線では大外一気の差し足を爆発させ、大本命に4分の3馬身差を付けて優勝。3着にも最後方から5番人気(30対1)のバレット・ゴーン・アストレー Bullet Gone Astray が食い込みましたが、2着とは6馬身差が付いていました。
ケネス・マクピーク厩舎、コーネリオ・ヴェラスケス騎乗のレイティッド・アール・スーパースターは、5月末にチャーチル・ダウンズのアローワンス戦に勝って2連勝。8月サラトガのキングズ・ビショップ・ステークスでGⅠ制覇を狙います。ここまで11戦3勝、2歳時にはイロコイ・ステークス(GⅢ)2着、ブリーダーズ・フューチュリティー(GⅠ)3着の実績もあります。

スプリントの祭典第2弾はスマイル・スプリント・ハンデキャップ Smile Sprint H (GⅡ、3歳上、6ハロン)。勝馬にはBCスプリントへの優先出走権が付与される一戦。7頭が出走し、去年のキングズ・ビショップの2着馬リムジン・リベラル Limousine Liberal が7対5の1番人気。
2番人気(3対2)のデルタ・ブルースマン Delta Bluesman が逃げ、これを直線で2番手を追走していた3番人気(3対1)のチーフ・ライオン Chief Lion が捉えましたが、再びデルタ・ブルースマンが差し返して先頭を奪い返すと、3番手から伸びて来た本命リムジン・リベラルに3馬身4分の3差を付ける変則的な逃げ切り勝ち。一旦先頭に立ったチーフ・ライオンは首差の3着に終わりました。
ホルヘ・ナヴァロ厩舎、エミサエル・ジャラミロ騎乗のデルタ・ブルースマンは、43戦9勝となる6歳の芦毛せん馬。4連勝(但し5月のデカサロン・ステークスは1着入線も降着)でステークスは初勝利となります。

最後にプリンセス・ルーニー・ハンデキャップ Princess Rooney H (GⅡ、3歳上牝、7ハロン)。これもBCフィリーズ・アンド・メア・スプリントの対象レースで、去年は6ハロンで行われていました。暫くGⅠ戦として親しまれてきましたが、去年からGⅡに降格それています。8頭が出走し、去年のラ・ブレア・ステークス(GⅠ)、ガルフストリーム・パーク・オークス(GⅡ)などを制したバードアットザワイア Birdatthewire がイーヴンの1番人気。
6番人気(19対1)のマイ・ミス・ヴェネズエラ My Miss Venezuela が逃げましたが、4番手から3番手へと徐々に順位を上げてきた2番人気(3対1)のスペリング・アゲイン Spelling Again が抜け出し、4番手から伸びる3番人気(4対1)のカリ・スター Cali Star との一騎打ち。最後はスペリング・アゲインがカリ・スターに首差先着し、最後方から鋭く追い込んだバードアットザワイアは2馬身半及ばず3着に敗れています。
ブラッド・コックス厩舎、ルイス・サエズ騎乗のスペリング・アゲインは、去年4歳時にチャーチル・ダウンズのチルッキ・ステークス(GⅡ、8ハロン)に勝って以来二つ目のG戦制覇。マイル戦でも行ける5歳馬ですが、ここは権利を得た牝馬スプリント部門のチャンピオンを目指したいところでしょう。

さてモンマス・パーク競馬場ではサルヴァトーレ・マイル・ステークス Salvator Mile S (GⅢ、3歳上、8ハロン)。fast の馬場ながら2頭が取り消して僅か4頭立ての寂しいレース。去年のモンマスでペガサス・ステークス(GⅢ)に勝っているミスター・ジョーダン Mr. Jordan が4対5の1番人気。
外枠からスタートした4番人気(8対1、つまり最も人気の無い馬)のレス・ジュディカータ Res Judicata が逃げ、あれよあれよの逃げ切り勝ち。これを2番手で追った2番人気(3対2)のアライド・エア・レイド Allied Air Raid が3馬身4分の3差で2着に入り、更に2馬身差で3番手追走のミスター・ジョーダンは3着に終わり、荒れる少頭数の典型的な事例になってしまいました。
ジョン・サーヴィス厩舎、ニック・フアレス騎乗のレス・ジュディカータは、6歳にしてこれがG戦初勝利となるせん馬。2歳と3歳の時に夫々一つづつ一般ステークスに勝ったことはありました。

木曜日から3日間連続でG戦が行われてきたプレーリー・メドウズ競馬場からは、このコース最大の呼び物でもあるプレーリー・メドウズ・コーンハスカー・ハンデキャップ Prairie Meadows Cornhusker H (GⅢ、3歳上、9ハロン)。fast の馬場に9頭が参戦し、今年のニュー・オーリーンズ・ハンデ(GⅡ)の覇者スマーヴェラス S’maverlous が2対1の1番人気。
激しいハナ争いを制して先頭に立ったのは5対2のショットガン・カウボーイ Shotgun Kowboy でしたが、5番手から伸びた16対1の伏兵スマック・スマック Smack Smack と後方から追い込む14対1のペイン・アンド・ミゼリー Pain and Misery の3頭が横一線。写真判定の結果、中を通ったスマック・スマックが最内のショットガン・カウボーイを首差抑え、外のペイン・アンド・ミゼリーは頭差及ばず3着と言う結果になりました。人気のスマーヴェラスも2番手追走から優勝争いに加わりましたが、1馬身及ばず4着。なお第1コーナーに殺到する場面でイートン・リッジ Eaton Ridge に大きな不利があって審議となりましたが、最終的には入線通りで確定しています。
ドン・フォン・ヘメル厩舎、シェーン・ラヴィオレット騎乗のスマック・スマックは、7連敗に終止符を打った5歳せん馬。2歳時にはプレーリー・メドウズで一般ステークスに2勝している他、ステークスはこれで7勝目。去年のこのレースは6着で、G戦は初勝利となります。

7月2日の最後はサンタ・アニタ競馬場のアファームド・ステークス Affirmed S (GⅢ、3歳、8.5ハロン)。去年は6月7日に行われていましたが、今年は1ヶ月遅れての施行。fast の馬場に5頭立てとなり、サン・フェリペ・ステークス(GⅡ)勝馬でケンタッキー・ダービーで逃げを演じたダンジング・キャンディー Danzing Candy が1対5の圧倒的1番人気。
最低人気(30対1)のボーマルシェ Beaumarchaise が捨て身の逃げに出ましたが、4番手から3番手へと徐々に進出した2番人気(7対2)のダルモア Dalmore が先行2頭を外から馬なりで交わすと、3番手追走から内ラチ沿いに迫るダンジング・キャンディーに半馬身差で優勝。8馬身半の大差が開いた3着には、後方2番手から追い込んだ4番人気(13対1)のプリンス・オブ・アラビア Prince of Arabia が入りました。
キース・デサーモ厩舎、ケント・デサーモ騎乗の兄弟コンビのダルモアは、5月29日のサンタ・アニタで2戦目に初勝利を挙げた馬。その後も勝星を加え、これで11戦3勝2着3回でG戦もステークスも初勝利となります。

 

 

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