オーディオ・ファイル、ツァラと惑星

今日はサボっていたプロムスを取り返すべく、二日分聴いちゃいましょう。8月6日の土曜日に行われたプロム29です。
土曜日と日曜日、二日続けて英国自慢のユース・オーケストラがアルバートホールに登場しますが、この回は英国ナショナル・ユース・オケ。メンバーは13歳から19歳までに限られ、毎年秋に行われるオーディションで選ばれます。

指揮者も錚々たるマエストロが引き受けていて、今回はベルゲン・フィルのシェフを務めているガードナー。BBC響とのフレンチ・プログラムに続く今年2回目のプロムスです。
ユース・オケらしく、オーディオ・ファンにも大人気のツァラと惑星という超有名曲2曲が一度に聴けるお徳用プログラムでした。

8月6日 ≪Prom 29≫
イリス・テル・シフォルスト Iris ter Schiphorst/重力波 Gravitational Waves(BBC委嘱作品、ロンドン初演)
R.シュトラウス/ツァラトゥストラかく語りき
     ~休憩~
ホルスト/惑星(マシューズ/冥王星付き)
 英国ナショナル青年管弦楽団 National Youth Orchestra of Great Britain
 指揮/エドワード・ガードナー Edward Gardner
 合唱/シティー・オブ・バーミンガム交響楽団ユース合唱団 City of Birmingham Symphony Youth Chorus (women’s voices)

最初は、前日のプロムに続いて女性作曲の新曲初演。テル・シフォルストは1956年生まれのドイツ人で、ツァラと惑星と一緒に演奏するという条件で委嘱されたもの。宇宙の神秘と哲学をヒントにして生まれたのが「重力波」でした。
アインシュタインが理論上は存在すると仮説を立て、最近実験によって存在が証明された、あれですね。
この演奏会の二日前にスネイプ Snape で同じメンバーによって世界初演されたばかりで、プロムスは再演、ロンドン初演ということになるようです。

テル・シフォルストに付いては、彼女の出版社であるブージー&ホークス社のホームページを参照するのが良いでしょう。

http://www.boosey.com/composer/Iris+ter%20Schiphorst

また作品に付いてはこちらを。

http://www.boosey.com/cr/music/Iris-ter-Schiphorst-Gravitational-Waves/102807

ブージーのオンライン・スコア会員になれば閲覧も可能です。

写真を見ると、メンバー全員が仮面を装着して演奏してました。指揮者の左側は白、右側が黒の仮面。これが重力波とどんな関係があるのかは判りません。演奏中に発生する歪みを認識する仕掛けなんでしょうか。
スピーカーを通して女性の朗読があったり、演奏者たちが声を出す個所も。最近の作品には奇を衒ったものというか、様々に趣向を凝らしたものが増えているように感じました。個人的にはチョッと付いて行けない感想も。

残る2曲は特に書くことも無いでしょう。最後のホルストはコリン・マシューズが追加したプルート Pluto を含む演奏で、客席にはマシューズも姿を見せていました。
天王星の最後の繰り返しは、12回まで聴き取れます。ホールの最上階に陣取った女性合唱がさぞや天国的に響き渡ったのでしょう。

 

 

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