マロワ賞、ギニー馬敗れても3歳馬が
3日間連続でG戦が行われるドーヴィル競馬場、日曜日の二日目はマイルのGⅠ戦マロワ賞を含めて2鞍のG戦が行われました。馬場は good 。
先に行われたジャック・ル・マロワ賞 Prix Jacques le Marois (GⅠ、3歳上牡牝、1600メートル)は1マイルの直線コースで行われるGⅠ戦。今年は古馬6頭、3歳馬5頭の11頭立てで行われ、英2000ギニー馬ガリレオ・ゴールド Galileo Gold が17対10の1番人気に指示されていました。
決して古馬陣が手薄だったわけではなく、去年の仏1000ギニー、コロネーション・ステークス、ムーランとマイルのGⅠ戦を3勝しているエルヴェディア Ervedya は58対10の4番人気。去年のマロワ勝馬で同じくGⅠ戦3勝馬エソテリク Esoterique は11対1で5番人気。そして前走メッシドール賞(GⅢ)を制して絶好調のヴァダモス Vadamos も42対10の3番人気で続いていました。
先ずハナを切ったのは10番人気(57対1)のアロッド Arod でしたが、1ハロン地点からはデットーリ騎乗のガリレオ・ゴールドが先頭を奪って逃げ切る構え。しかし本命馬、中間地点で再びアロッドに先頭を奪われ、残り300メートルで巻き返しを図ったものの後続馬達に飲み込まれるように後退し、最後は8着での入線となりました。これほどの惨敗は初体験です。
レースは中団で待機した2番人気(37対10)のリブチェスター Ribchester が残り120メートルで抜け出すと、後方から追い込むヴァダモスを半馬身抑えての戴冠。更に1馬身4分の3差で、これも後方から伸びたエルヴェディアが3着に追い込んでいました。エソテリクは6着で連覇成らず。
勝ったリブチェスターは英国のリチャード・ファヘイ厩舎、ウイリアム・ビュイック騎乗。2000ギニーはガリレオ・ゴールドの3着で、ロイヤル・アスコットでは7ハロンのジャージー・ステークス(GⅡ)に優勝。前走サセックス・ステークスではザ・グルカ The Gurkha 、ガリレオ・ゴールドに続く3着で、第3の3歳マイラーとして評価されていました。このGⅠ戦初勝利でそのことを証明すると同時に、今年の3歳馬優位を更に印象付けています。
ファヘイ師、ビュイック騎手ともマロワは初制覇。ファヘイ師の口からは“これまでに私が調教した最強馬”という台詞も飛び出しました。30日間の騎乗停止が明けたビュイック騎手は、前日アーリントン・ミリオンでトライスター Tryster とコンビを組み8着からの転戦。見事なタイミングで復帰を飾っています。2歳時のミル・リーフ・ステークス(GⅡ)に加えてG戦3勝目となったリブチェスター、秋の目標はアスコットのクィーン・エリザベスⅡ世ステークスの予定。オッズはレース前の3対1から2対1に上がっています。
ところでアーリントン・ミリオンを制したモンダイアリスト Mondialiste とリブチェスターは同じファミリーと言う因縁もあります。モンダイアリストの3代母がリブチェスターの4代母と同じで、仏ダービー馬インテロ Intello の近親でもあります。
一方、初の大敗を喫したガリレオ・ゴールド陣営は、サセックス・ステークスからのレース間隔が短かったことを敗因に挙げています。ローテーションとしてはリブチェスターと同じですが、2歳時に5戦、今年も既に5戦とシーズンを通して使い詰めてきたことで、疲労が溜まっていたとも考えられます。このあとどう立て直すのか、陣営の課題が見えてきました。
もう一鞍のG戦がミネルヴァ賞 Prix Minerve (GⅢ、3歳牝、2500メートル)。3歳牝馬限定の長距離戦で、9頭が参戦。前走サン=クルーで2400メートルのリステッド戦に勝ったゴールデン・ヴァレンタイン Golden Valentine が14対5の1番人気。
7番人気(20対1)のカレージ Khaleesy が逃げましたが、後方で控えたゴールデン・ヴァレンタインが期待通りの末脚を発揮、2番手追走の3番人気(4対1)でクラシック参戦歴のあるザ・ジュリエット・ローズ The Juliet Rose に1馬身半差を付ける順当勝ち。短首差で、中団の外から伸びた5番人気(74対10)のソッタヴィル Sotteville が3着に入っています。
フレディー・ヘッド厩舎、オーレリアン・ルメートル騎乗のゴールデン・ヴァレンタインは、今期5月のシャンティーで2400メートルの条件戦に勝ち、リス賞(GⅢ)に挑戦して2着。前走リステッド戦勝と何れも2400メートルを中心にした距離を使われてきたステイヤー。今回がG戦初勝利で、恐らくヴェルメイユ賞で伏兵格の1頭になるでしょう。
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