ロイヤル・アルバート・ホールで連荘(3)

このタイトルは今年のプロムス3回目ですね。21日も昼の部、夜の部共に今年のテーマに沿ったもので、聴き逃してしまうのはモッタイナイ。
先ず昼は、

8月21日 ≪Prom 47≫
ピアーズ・ヘラウェル Piers Hellawell/Wild Flow(BBC委嘱作品、世界初演)
ハイドン/チェロ協奏曲第1番ハ長調
     ~休憩~
チャイコフスキー/交響曲第5番
 アルスター管弦楽団 Ulster Orchestra
 指揮/ラファエル・パイアーリ Rafael Payare
 チェロ/ナレク・ハクナザルヤン Narek Hakhnazaryan

アルスター管は財政的理由で経営難だそうですが、今回がプロムスデビューの指揮者パイアーリは2014年9月から同オケの首席指揮者を務めている人で、ヴェネズエラ生まれ。夜の部・プロム48でソロを弾くチェリスト、アリサ・ワイラースタインの旦那だそうです。そういう配慮もあるんですね。これがプロフィール↓

http://www.askonasholt.co.uk/artists/conductors/rafael-payare

冒頭の新作世界初演は、1956年ベルファスト生まれの作曲家の作品。この作曲家についてはアイルランド・コンテンポラリー・ミュージック・センターのホームページにあるプロフィールが詳しいでしょう。

https://www.cmc.ie/composers/piers-hellawell

ヘラウェルには「芭蕉」というピアノ曲があって、NMLで聴くことが出来ます。新しい Wild Flow はペータースから出版されているようですが、残念ながらスコアの閲覧はできません。

2曲目はプロムスのチェロ協奏曲シリーズの一環。ソロはアルメニアのチェリストで、未だ20代後半の由。第1楽章と第2楽章のカデンツァは、市販スコアに掲載されているものとは全く異なる新しいもの。素晴らしいテクニックに圧倒されました。
チェロのアンコールはジョヴァンニ・ソリマのラメンタチオ Lamentatio 。弾きながら歌う作品で、ファースト・ナイトでのソル・ガベッタを思い出してしまいました。ソリマはシチリアの作曲家だそうですが、ハクナザルヤンが余りにも素晴らしい。未だ1か月ほど視聴期間がありますから、一度聴いてみてください。

後半は名曲中の名曲、チャイコフスキー。

この回だけでも満腹ですが、一休みして夜の部。

8月21日 ≪Prom 48≫
マティアス・ピンチャー Matthias Pintscher/Reflections on Narcissus
     ~休憩~
メンデルスゾーン/「真夏の夜の夢」序曲と付随音楽
 BBCスコティッシュ交響楽団 BBC Scottish Symphony Orchestra
 指揮/マティアス・ピンチャー Matthias Pintscher
 ソプラノ/カテリーヌ・ブロデリック Katherine Broderick
 メゾ・ソプラノ/クララ・ムーリッツ Clara Mouriz
 チェロ/アリサ・ワイラースタイン Alisa Weilerstein

前日にヴォルコフ指揮で演奏したBBCスコティッシュが、引き続き作曲家でもあるピンチャー指揮で連日の公演。自作からスタートしたピンチャーは改めて紹介するまでもないでしょうが、折角ですからホームページを。

http://www.matthiaspintscher.com/

このページから「ナルキッソスについてのリフレクション」のスコアがサンプルだけですが、見ることが出来ます。
一種のチェロ協奏曲で、34分ほど掛かる大曲。NMLでもトルルス・モルクのソロ、ピンチャー指揮のカリオス盤が配信中で、聴き比べもまた一興。

後半はもちろんシェークピア特集の演目で、プロムス全体でも最もシェークスピアらしい作品。俳優たちの語りの部分も含めて完全な全曲演奏で、こうして楽しまなければメンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」を聴いたことにはならないでしょう。

 

 

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