ロイヤル・アルバート・ホールで連荘(1)

7月最後、31日の日曜日はマチネーと夜の公演、プロムス二本立てでした。どちらもロイヤル・アルバート・ホールで行われたもの。
今回は通常の夜公演だけ聴こうと思っていましたが、マチネーも面白そうだったので立て続けに聴いてしまいました。余り書くことも無いので、レポートはこれ一本に纏めちゃいます。
先ず、午後3時45分から行われた昼の部はこちら↓

7月31日 ≪Prom 21≫
リーム/狩られた形式 Gejagte Form (2002年改訂版)
R.シュトラウス/オーボエ協奏曲
     ~休憩~
モーツァルト/交響曲第41番「ジュピター」
 オーロラ管弦楽団 Aurora Orchestra
 指揮/ニコラス・コロン Nicholas Collon
 オーボエ/フランソワ・ルルー François Leleux
 司会/トム・サーヴィス Tom Service

マチネーはプロムス解説陣の司会進行で進められるようで、この日はトム・サーヴィス。私はこの人、チョッと早口で苦手な人でしたが、2曲目ではルルーも登場して作品の聴き所を紹介してくれました。
日本でも演奏会前にプレ・トークを行うオーケストラが増えてきましたが、演奏家本人が解説してくれるのは有難いですね。

指揮者のコロンとオーロラ管は、去年のプロムスで初体験して感心したコンビ。古楽器を中心にした団体ですが、余りアカデミックな感じがせず、古楽嫌いな私でも大いに楽しめました。指揮者のコロンも、ナマでは聴いた事はないけれど一押しですね。
初心者向けのような、玄人相手の様な紛らわしいプログラムですが、最初のリームはドイツの現代作曲家で極めて多作。作品はユニヴァーサルから出版されていて、作品解説はこちら↓

http://www.universaledition.com/composers-and-works/Wolfgang-Rihm/Gejagte-Form/composer/599/work/10840

断然面白かったのはジュピターで、プレイヤー全員が暗譜で演奏するという試みです。確か日本でも最近、同じジュピターを全員暗譜で、という試みがあったと思いますが、何か連動した企画なんでしょうか。
サーヴィス氏の話では、彼等は一昨年にモーツァルトのト短調、去年もベートーヴェンの田園にチャレンジしていて、これで3年目なのだそうです。
そう言えば去年コロンに注目した時、田園も聴こうと書いた記憶がありますが、結局は聴き逃してしまいました。思い返せば残念。

暗譜なのでメヌエットからフィナーレの入りも全員が一呼吸で入れますし、リピートも譜面を捲り戻す必要が無いので真にスムース。どんな作品でも出来るわけではないでしょうが、プレイヤーにとっても刺激になることは間違いなさそう。尤も通常のオケでは猛反対されるに決まってますけど・・・。

一旦会場を出、夕食を済ませてから再入場して聴いたのが、午後7時半からのBBC響の演奏会↓

7月31日 ≪Prom 22≫
ラヴェル/「マ・メール・ロワ」組曲
レーラ・アウェルバッハ Lera Auerbach /The Infant Minstrel and His Peculiar Menagerie (BBC委嘱作品、イギリス初演)
     ~休憩~
ドビュッシー/付随音楽「リア王」~ファンファーレ、リア王の眠り
ドビュッシー/交響詩「海」
 BBC交響楽団 BBC Symphony Orchestra
 指揮/エドワード・ガードナー Edward Gardner
 ヴァイオリン/ヴァディム・グルーズマン Vadim Gluzman
 ソプラノ/ニーナ・ビネット Nina Bennett, soprano
 ソプラノ/ヘレン・ネーヴェス Helen Neeves, soprano
 カウンターテナー/アンドリュー・ワッツ Andrew Watts, countertenor
 テノール/トム・ラスキン Tom Raskin, tenor
 バス/アンドルー・ラップ Andrew Rupp, bass
 合唱/クラウチ・エンド祝祭合唱団 Crouch End Festival Chorus

フランスのラヴェルとドビュッシーの間にロシア系アメリカ人の女流作曲家の新作が披露されるコンサートです。
冒頭のラヴェルは、作曲者自身が編んだいわゆる組曲版。

続く新作はBBCの他、ベルゲン・フィルとスイス・ロマンド管の三者共同委嘱作で、今年4月にベルゲンで世界初演されています。今回のイギリス初演に続き、スイスでも演奏されることになっているそうです。
タイトルは「子供の詩人と風変わりな動物たち」とでも訳すのでしょうか、ヴァイオリン、合唱と管弦楽のための交響曲第3番、でもあるようです。

聴いてみれば納得しますが、様々な要素がごちゃ混ぜになっている印象で、演奏は40分弱も掛かる大作です。
アウェルバッハについては自身のホームページを↓

http://mediaresources.leraauerbach.com/

また新作に付いては、彼女の出版社でもあるシコルスキのニュース・ページで紹介されています。

http://www.sikorski.de/10619/en/new_work_the_infant_minstrel_and_his_peculiar_menagerie_by_lera_auerbach_in_bergen.html

後半はドビュッシーの作品が続けて演奏されました。最初はシェークスピア作品シリーズの一つで、短い2小品から成るもの。
もちろん演奏後に拍手が入りましたが、指揮者はそのまま答礼して海へ。こちらも最新クリティカル・エディションとかではなく、金管のファンファーレもカットされている昔からのデュラン版による演奏でした。

 

 

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