「デューハースト・ステークス」

競馬では専らディープインパクトの薬物問題が話題になっています。真相が明らかにされないので、まるでディック・フランシスのミステリー小説みたいになってきました。
競馬施行国のルールの違いとか、夫々の競馬慣習の差から問題が起きるのは今回が初めてではなく、実は30数年前にもあったのです。
関係者に迷惑が掛かるので詳しいことは言えませんが、その時は日本では全く報道されず、私はフランスの競馬誌で知りました。国が違えばアッと驚くようなことはいろいろあるものです。

さて先週チャンピオン・ステークスのことを書きましたが、同じ日に行われたデューハースト・ステークスにも触れておきましょう。
デューハーストは2歳馬の重要なレースです。ヨーロッパでは凱旋門賞が終われば、関心は一気に来年のクラシック戦線に移ってしまいますね。
デューハーストに勝って翌年の2000ギニーやダービーを制した馬は相当数いるはずです。

今年勝ったテオフィロ(Teofilo)もかなり強そうで、デューハーストが終了した時点で2000ギニーの1番人気に支持されているようです。
勝ちっぷりが良かったですね。相手はアイルランドとフランスで2歳馬のトップレースを制しているホーリーロマンエンペラー(Holy Roman Emperor)でした。
テオフィロが先に抜け出したところにホーリーが襲い掛かるという展開になったのですが、テオフィロが二の脚を使って差し返したのです。
「二の脚」というのがヨーロッパ馬の特徴で、本当に強い馬はこれを持っているのです。我がディープインパクトも強いのでしょうが、豪快な差し脚はあっても、二の脚はないようです。この辺が壁と言えば壁なのでしょう。
テオフィロのそれは、二流の馬相手に使った二の脚ではなく、これだけの実績があるホーリーロマンエンペラーが相手だったのですから、これは大物という予感がします。

ところで「テオフィロ」という名前は、ボクシングでオリンピック三連覇を達成したテオフィロ・スティーヴンソン(Teofilo Stevenson)から採ったのだそうです。
ボクシングはよく判りませんが、馬のテオフィロにも、その名に相応しい活躍を期待してもよさそうですね。

 

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