ビチュコフ指揮BBC響

プロムスも最終盤になると世界的な名指揮者、海外の(もちろん英国から見て)著名団体が登場して有名曲・大作を次々と取り上げていくようになります。
28日のプロム57辺りからその傾向が見え始め、今回はホスト・オケのBBC響を首席客演指揮者のセミョーン・ビチュコフが振りました。

8月28日 ≪Prom 57≫
トーマス・ラルヒャー Thomas Larcher/交響曲第2番「セネターフ Kenotaph 」(イギリス初演)
ワーグナー/ヴェーゼンドンク歌曲集
     ~休憩~
R.シュトラウス/アルプス交響曲
 BBC交響楽団 BBC Symphony Orchestra
 指揮/セミョーン・ビチュコフ Semyon Bychkov
 メゾ・ソプラノ/エリザベート・クルマン Elisabeth Kulman

いきなり同時代の作曲が取り上げられましたが、トーマス・ラルヒャーは1963年生まれのオーストリアの作曲家。ピアニストとしても有名で、自作を含めて現代作品のCDも出しています。日本ではむしろピアニストとして知られているかも。ナクソスNMLでも作品よりピアノ演奏の方が配信数が多いくらい。
作品としては室内楽やピアノ作品が多く、今回のようなフル編成の管弦楽作品に接したのは初めてです。主にショット社から出版されていて同社のプロフィールもありますが、自身のホームページのほうが新しい情報が更新されていて便利。ホームページの works をクリックすると真っ先に第2交響曲の情報が挙がっていて、この曲についても自身の解説が読めます。↓

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ところでBBCのコメンテイターは「ラーハー」と発音しており、作品のタイトルも英語では「Cenotaph」故に「セネターフ」と発音してました。タイトルの意味は「記念碑」で、オーストリア国立銀行の創設200年を記念して委嘱されたものだからでしょう。
今年6月にビチュコフ指揮ウィーン・フィルで世界初演されたばかりの大作で、モダンな技法を用いながらも伝統的な4楽章構成。第2楽章が緩徐楽章、第3楽章はスケルツォで、両端楽章がアレグロ。響きは新しいけれど、やはりウィーンの交響曲の伝統を感ずるから不思議です。

続いて演奏されたのは、これがプロムス・デビューとなるクルマンが歌うワーグナーの歌曲集。全5曲で、最初の4曲はフェリックス・モットルがオーケストレーションした版での演奏でした。最後の第5曲はご存知のようにワーグナー自身のオーケストレーション。
リヒャルト・シュトラウスについては特に書くこともないでしょう。大曲の壮大な名演。

 

 

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