ブロムシュテット×シフ

8月最終週のプロムス、スタートはドイツからの客演で最も歴史の長いオーレストラである名門ライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団が名匠ブロムシュテットとオール・ベートーヴェンの王道プログラムを聴かせてくれました。
ソリストはサーの称号を戴くアンドラーシュ・シフですから、名曲名演が好きなファンには堪らない会だったでしょう

8月29日 ≪Prom 59≫
ベートーヴェン/序曲「レオノーレ」第2番
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番
     ~休憩~
ベートーヴェン/交響曲第7番
 ライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 Leipzig Gewandhaus Orchestra
 指揮/ヘルベルト・ブロムシュテット Herbert Blomstedt
 ピアノ/サー・アンドラーシュ・シフ Sir András Schiff

作品については何も触れることもないので、聴いた感想をいくつか箇条書き風に。

弦楽器の配置はもちろん対抗配置でした。プロムシュテットの対抗配置には定評があって、彼がN響に初登場した時もこのスタイルだったのでビックリしたことがあります。
というのもN響は古くからアメリカ式の配置を採用していて、某高名指揮者が客演した際に対抗配置を提案したことがあったそうです。そのときN響の古参メンバーが“我が団は昔から対抗配置は採用していないので、ウチの流儀でやります”と拒否された由。
怖い楽員の一言で拒絶するほどのN響がプロムシュテットが指揮台に立った時に限って対抗配置で弾いたのですから、マエストロの権威恐るべし。以後、流石のN響も指揮者によってはこの並びを受け入れるようになりました。プロムシュテットの対抗配置はそれほど威厳があるのでしょう。

レオノーレ序曲での舞台裏トランペットの位置に吃驚。3番もそうですが、普通ここは舞台裏で陰吹きするのが常識でしょうが、この日は堂々と舞台正面で吹きました。(見たわけではありませんが、音を聴く限りではオケの真横で吹いているように聴こえます。)もちろん意味があっての処置でしょう。
このあとアダージョからコーダのブレストに移行する間のファースト・ヴァイオリンがコンマスのソロのみだったのにも二度吃驚。なるほどスコアをよく見ると solo と書いてあります。もちろん Tempo Ⅰ からはユニゾンですが・・・。

2曲目の皇帝。シフのピアノが実に室内楽的で、一音一音を大切にする弾き方には耳が洗われるよう。ピアノ・パートが明瞭に聴き取れ、特に第1楽章の最後の和音でピアノを音符一杯に響かせるのには驚嘆しました。
このあとパウゼを置かずに第2楽章に入ってしまうのも初めて体験。もちろんライヴ中継ですから、後で編集したわけじゃありません。従って長大な協奏曲を全曲アタッカで弾き切ってしまったことになります。

鳴り止まぬ拍手にアンコール。シューベルトの即興曲2番変ホ長調作品90-2がまた見事。

協奏曲の終楽章と同じリズムを第1楽章に持つ第7交響曲に繋げる選曲も説得力があります。その第7、繰り返しは全て実行するのがプロムシュテット流。完全全曲演奏、私は作品によっては付いて行けませんが(シューベルトのグレートなど)、この曲は文句ありません。
オケのアンコールはエグモント序曲。

 

 

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