ベートーヴェンへの旅も終着駅?

今年のプロムスの柱の一つがピアノ協奏曲であることは何度も紹介してきましたが、23日からの3日間、その大本命と言えそうなコンサートが続きます。アンスネスとマーラー室内管によるベートーヴェン全曲シリーズ。
その第1回は以下のプログラムでした。

7月23日 ≪Prom 9≫
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第1番
ストラヴィンスキー/バレエ音楽「ミューズを司るアポロ」
     ~休憩~
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番
 マーラー室内管弦楽団
 ピアノと指揮/レイフ・オヴェ・アンスネス Leif Ove Andsnes

このベートーヴェン・ジャーニー(ベートーヴェンへの旅)と題された企画、何年も前から継続していて、世界55都市、150回の演奏会を行ってきたことは日本でも良く知られているでしょう。
東京では5月に東京オペラシティーで、確かピアノ協奏曲全5曲が2回に分けて行われたと記憶しています。演奏会と都市の数から計算すると今回のプロムスのプログラムが標準だったようで、東京はベートーヴェンのみ5曲というのはマネジメントが如何にも保守的だったと思われます。協奏曲全集はそのままCBSソニーに同じコンビで録音されていますから、既に聴かれた方も多いでしょう。
今回のプロムスは彼らの集大成と呼べそうなコンサートで、細部まで磨き尽くされたアンサンブルが楽しめます。

従って演奏の細部を一々取り上げることもありますまい。マーラー室内管の巧さは相当なもので、例えば第1番のクラリネットは勿論ですが、オーボエの巧さには思わず聴き惚れてしまいました。何というプレイヤーでしょうか?
ベートーヴェンは対抗配置、ストラヴィンスキーは順行配置で並んでいると聴きました。なお弦楽合奏によるストラヴィンスキーは、チェロ以外は全員立って演奏しているそうで、これが最近のヨーロッパの室内オケの主流なんだとか。

各曲のカデンツァは極めてオーソドックスで、第1番第1楽章カデンツァはベートーヴェン作の2番目(私が聴いたものではセルと共演したギレリス、ソロモンなどと同じ)が、また第4番第1楽章はベートーヴェン作の1番目(同じくルドルフ・ゼルキンや内田光子と同じ)が弾かれていました。それも極めて正確に。
4番の後にはアンコールもあって、パガテル作品119-8とパガテル作品33-7が立て続けに演奏されましたが、特に33-7のカッコよかったこと・・・。

 

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