又してもオブライエンのワン・ツー

こんなタイトルばかりですが仕方ありません。今期ニューマーケット競馬場最後のG戦開催となるセザレウィッチ開催はG戦3鞍。全てエイダン・オブライエン厩舎、ライアン・ムーアが騎乗する馬が本命に推されましたが、勝ったのは1頭だけ。しかしそれがGⅠ戦というところが如何にもオブライエンの管理馬たちで、連日のワン・ツー・フィニッシュとなっています。

この日の馬場は good 、所により good to firm という状態。レース順に取り上げていくと、先ず第3レースに組まれていたオータム・ステークス Autumn S (GⅢ、2歳、1マイル)は10頭立て。11対4の1番人気に支持されていたオブライエン厩舎の馬はザ・アンヴィル The Anvil で、未だ3戦未勝利ながら前走ロイヤル・ロッジ・ステークス(GⅡ)でベスト・オブ・デイズ Best of Days の首差2着していました。しかしこの時は最低人気、後方から追い込んで僅かに届かずという競馬でした。
ロイヤル・ロッジでも逃げた4番人気(8対1)のモンタテール Montataire が今回もスタンド側を逃げ、ザ・アンヴィルも前走同様後方から。しかし2番手に付けた6番人気(12対1)のベスト・ソリューション Best Solution が1ハロン地点から先頭に立つと、後方から追い込む8番人気(16対1)のザインホム Zainhom に2馬身差を付けて優勝。ザ・アンヴィルも追い上げましたが、今回は更に2馬身差の3着に終わりました。

ベスト・ソリューションはベスト・オブ・デイズと同じゴドルフィンの所有馬で、こちらはサイード・ビン・スロール厩舎、ウイリアム・カーソン騎乗。ウインザーの6ハロンでデビューして3着し、2走目のグッドウッド6ハロンで初勝利。そのあとトルコのGⅢ戦(6ハロン)に遠征して3着という変わった経歴の持ち主で、続く前走2週前のニューマーケットで行われたトトソルズ・ステークス(GⅢ)では4着に終わっていました。
このあとレーシング・ポスト・トロフィーに追加登録してGⅠレヴェルに初挑戦し、来年のクラシックを目指す予定。2000ギニーに33対1のオッズが出されました。

第4レースに組まれていたのが2歳馬GⅠ戦のデューハースト・ステークス Dewhurst S (GⅠ、2歳牡牝、7ハロン)。ここは7頭が参戦し、既にナショナル・ステークスでGⅠホースとなっているオブライエン/ムーアのチャーチル Churchill が8対11の断然1番人気。ここは勝てるかというより、どんな勝ち方をするかが見所でしょうか。
ナショナル・ステークスでもチャーチルのペースメーカーを務めた最低人気(66対1)のランカスター・ボンバー Lancaster Bomber が今回もペースメーカー、スタンド側を予定通り逃げます。4番手に付けたチャーチルが追い出しにかかり、いつもながら追ってズブい面も見せながら、最後はエンジンが掛かると格の違いを見せ付けて2着に1馬身4分の1差を付けて連勝記録を「5」に伸ばしました。
その2着争い、後方から4番人気(8対1)のブルー・ポイント Blue Point 、6番人気(16対1)のサンダー・スノー Thunder Snow 等がチャーチルに挑みましたが、何とペースメーカー役のローカスト・ボンバーが差し返す渋太さを見せ2着。凱旋門賞・フスリーズ・マイルに続いてGⅠ戦3連続でオブライエン師のワン・ツー・フィニッシュとなってしまいました。但しチャーチルはガリレオ Galileo 産駒なれど、今回の2着馬の父はウォー・フロント War Front です。半馬身差で最後はスタミナ切れとなったブルー・ポイントが3着。

オブライエン師はこれで今シーズンのGⅠ戦20勝目、デューハーストも5勝目となります。繰り返すまでもなくチャーチルは7月にタイロス(GⅢ)、8月フューチュリティー(GⅡ)、9月ナショナル(GⅠ)と勝ち続け、これでGⅠ戦2勝目。前走で5対2に上がった2000ギニーのオッズは、これで6対4へと更に上昇、来年最初のクラシックの本命としての地位を更に確固なものとしました。去年と同じ道を歩んだエア・フォース・ブルー Air Force Blue の前例があって予断は許しませんが、来年の牡馬クラシックはチャーチルを中心に展開することは間違いないでしょう。
一方、一時はチャーチルの牙城を崩すかに見えたゴドルフィンのブルー・ポイントでしたが、明らかに最後の1ハロンはスタミナの限界を感じさせる走り。こちらは躊躇うことなくコモンウェルス・カップを目指すことになります。

ニューマーケット最後のG戦は、最終第7レースとして行われたダーレー・ステークス Darley S (GⅢ、3歳上、1マイル1ハロン)。ここでも5対2の本命は、ほぼ1年振り、3歳としての初戦を迎えるヨハンネス・フェルメール Johannes Vermeer 。2歳終戦のクリテリウム・インターナショナル(GⅠ)を制して冬場はオブライエン厩舎のクラシック候補の1頭でしたが、調整に問題があったのか、ここまで休養していました。
ダッシュ良く4番人気(8対1)のマフリーハ Muffri’Ha が飛び出しましたが、直ぐに5番人気(9対2)のカスタム・カット Custom Cut がスタンド側に切れ込んでの逃げ。一旦3番手に控えたマフリーハが再び脚を伸ばし、2番手を追走していた2番人気(3対1)のキャリー・オン・デリック Carry On Deryck に1馬身半差を付ける小波乱となりました。後方2番手から追い上げたヨハンネス・フェルメールは更に1馬身半差の3着で、久々の実戦としては先に期待が持てる好走だったと言えるでしょう。

ウイリアム・ハッガス厩舎、パット・コスグレイヴ騎乗のマフリーハは、これがG戦初勝利となる4歳牝馬。ここまでG戦は3歳時にドンカスター競馬場で挑戦したセプター・ステークス(GⅢ)での20頭立て7着のみでしたが、二度目の挑戦での金星。先週のニューマーケットで1マイルのハンデ戦に勝ったのに続く2連勝となりました。

 

 

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