混戦に拍車が掛かるダービー

5月8日は日曜日、アイルランドでは日本と同じように日曜日が競馬のメインです。昨日はレパーズタウン競馬場でクラシックのトライアルを含むG戦3鞍が行われました。

これまでずっと重馬場が続いてきたアイルランドでしたが、この日の馬場は good 、漸くスピードのある馬が如何なく実力を発揮できる季節がやってきました。
最初のアメジスト・ステークス Amethyst S (GⅢ、3歳上、1マイル)は8頭立て。3歳馬の参戦は1頭だけで、直接クラシックに繋がるレースにはなりませんでした。去年9月にブーメラン・ステークス(GⅡ)に勝ったカスタム・カット Custom Cut がペナルティーにも拘わらず7対4の1番人気。英国からの挑戦と言う意欲も人気の要因でしょう。

4番人気(8対1)のブレンダン・ブラッカン Brendan Brackan が逃げ、カスタム・カットは3番手から。2番手を進んだ7番人気(14対1)のステイプ・アマーク Steip Amach が逃げ馬を交わして先頭に立ったところに、後方6~7番手から2番人気(3対1)のクーガー・マウンテン Cougar Mountain が追い込んで一旦はハナに立ちます。しかし渋太く差し返したステイプ・アマークが、ゴール板では短頭差抜け出しての逆転勝ち。2馬身差で4番手を進んだ最低人気(16対1)のイン・マイ・ポケット In My Pocket が3着に食い込み、カスタム・カットは最下位に沈む波乱となりました。
ジム・ボルジャー厩舎、ケヴィン・マニング騎乗のステイプ・アマークはこれがシーズン4戦目の4歳牝馬で、前走アサシ・ステークス(GⅢ)は重の7ハロンで2着。馬場が良くなってきたことと、距離が1マイルに伸びたことで好結果に繋がったという評価です。勝鞍は2歳時、2014年のキラヴュラン・ステークス(GⅢ、7ハロン)以来で、愛1000ギニーは10着でした。目標は秋のマトロン・ステークス(GⅠ)制覇でしょう。

続いては愛1000ギニーのトライアルとなるデリンスタウン・スタッド・1000ギニー・トライアル・ステークス Derrinstown Stud 1000 Guineas Trial S (GⅢ、3歳牝、1マイル)。6頭が出走し、やや低レヴェルという前評判の中、先月の1000ギニー・トライアルでは2着と期待外れだったナウ・オア・ネヴァー Now Or Never が13対8の1番人気。
最低人気(8対1)のミスティー・ミリー Misty Millie が逃げ、ナウ・オア・ネヴァーは3番手追走。今回は馬場が回復したこともあり、確実に末脚を活かした本命馬が、5番手から追い込む2番人気(7対2)のラディアントリー Radiantly に1馬身4分の3差を付ける順当な結果で収まりました。3着は6馬身の大差が付いて2番手を追走していた5番人気(7対1)のエマージェント Emergent 、全体的にはレヴェルの低い一戦だったと言えそうです。

マイケル・オキャラガン厩舎、キーレン・ファロン騎乗のナウ・オア・ネヴァーは、去年2走目、ゴルウェイの7ハロン戦で初勝利して以来の2勝目。モイグレア・スタッド・ステークス(GⅠ)に挑んだものの9頭立ての最下位に終わっていました。今回の勝利で1マイルのスタミナも証明され、レース名の通り愛1000ギニーに向かうことになるでしょう。

アイルランドの最後はデリンスタウン・スタッド・ダービー・トライアル・ステークス Derrinstown Stud Derby Trial S (GⅢ、3歳、1マイル2ハロン)。8頭が出走してきましたが、オブライエン4頭対ボルジャー2頭の戦い。オブライエン厩舎の、ムーアではなくヘファーナンが騎乗したアイダホ Idaho が15対8の1番人気。前走バリーサックス・ステークス(GⅢ)は2着で、昨シーズンをクリテリウム・ド・サン=クルー(GⅠ)4着で終えていた馬です。
ボルジャー厩舎で同じゴドルフィンが所有するペースメーカーの最低人気(66対1)サーファー Saafarr がペースを作り、アイダホは後方待機。3番手を進んだボルジャー厩舎のエース格で4番人気(6対1)のムーンライト・マジック Moonlight Magic が抜け出し、4~5番手を進んでいたムーア騎乗の2番人気(10対3)ショーグン Shogun に1馬身4分の1の差を付けて優勝。更に半馬身差でアイダホは3着でした。

G戦ダブルとなったケヴィン・マニング騎乗のムーンライト・マジックは、2歳時コークの新馬戦とレパーズタウンのリステッド戦とを2連勝してシーズンを終えていた馬。今期初戦のバリーサックス・ステークス(GⅢ)では馬場に泣いて5着と凡走していましたが、馬場が回復したここでは見事に復活し、英ダービーに名乗りを上げました。オッズは20対1から14対1に上昇しています。
ボルジャー師はエプサム遠征に関し、あくまでもゴドルフィンと相談の上と語っていますが、師に判断を委ねられるなら挑戦したい、とも。1992年に師が管理し、このトライアルに勝ったセント・ジョヴァイト St. Jovite はダービーに遠征して惜しくも2着。今度こそ、という気持ちは強いでしょう。母がダービー馬シー・ザ・スターズ Sea the Stars の半妹で、ムーンライト・マジックもシー・ザ・スターズと同じケイプ・クロス Cape Cross というのも好材料。
2000ギニー馬ガリレオ・ゴールド Galileo Gold はパーマー師が早々と回避を宣言していますから、現時点ではダービーは中心馬不在の様相。この馬にも大きなチャンスが生まれてきたと見て良いでしょう。

 

 

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください