チェコからフランスへ
毎年10月中旬になると、フランスではローカル競馬のG戦が行われます。3つか4つの競馬場が年毎に持ち回りで開催するアンドレ・バボアン賞 Prix Andre Baboin (GⅢ、3歳上、2000メートル)。
去年は初めてアンジェ競馬場で行われましたが、今年は10月13日にリヨン=パイイー競馬場に戻っての開催でした。俗にプロヴァンス大賞典 Grand Prix des Provinces とも呼ばれていますね。
good to soft の馬場に7頭が出走し、G戦は初出走ながら3歳馬のアラカナ Alakhana が5対2の1番人気に支持されていました。前走サン=クルーのリステッド戦(2400メートル)に勝っての参戦ですが、ウェルザイマー兄弟の所有馬で、フレディー・ヘッド厩舎、マクシム・グィヨン騎乗というエリートという点が買われたのでしょう。
レースは6番人気(113対10)のサブウェイ・ダンス Subway Dance という馬が逃げ、アラカナは中団を追走。しかし本命馬はペースに付いて行けないような場面も見られ、漸く差を詰めるも3着が一杯でした。結局伏兵サブウェイ・ダンスが逃げ切ってしまい、3馬身半差が付いて1ハロン地点から2番手を追いかけていた3番人気(37対10)のマスターズ・スピリット Master’s Spirit が3着に入り、本命馬が短首差の3着。
7頭の中で只1頭フランスではほとんど知られていなかったサブウェイ・ダンスは、チェコで調教されている馬のようです。管理するのはズデーノ・コプリク、騎乗したのもラデク・コプリクという方で、経歴なとは全く分かりません。同じ姓ですから恐らく親子かと思われますが、現時点では何の情報も無い状態。
フランスには何度か遠征しているようで、サブウェイ・ダンスは前走、コンピエーニュ競馬場で2000メートルのリステッド戦に勝っていました。4歳のせん馬で、父は仏2冠とセント・ジェームス・パレス・ステークスを制したシャマーダル Shamardal 、母サブ・ローズ Sub Rose もフランスのロヨーモン賞(GⅢ、2400メートル)勝馬で、母の父はガリレオ Galileo 。せん馬にしたのがモッタイナイほどの血統で、恐らくチェコの馬主(共同馬主のようです)が購入して現地で調教されているのでしょう。
最近のチェコ競馬については知識が全くありませんが、競馬は古くから行われていて、もちろん5冠クラシックのシステムも整っています。確かプラハで行われるチェコ・ダービーだけが、地方のGⅢ戦として公認されていると思いました。もちろんチェコ調教馬がアンドレ・バボアン賞に勝ったのは初めてで、古のことはいざ知らず、もしかするとヨーロッパにパターン・レース・システムが導入されてからフランスのG戦にチェコ調教馬が勝ったこと自体が初めてかも・・・。
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