滅茶苦茶になった2016年のアメリカ競馬

時差の関係で未だ大晦日のアメリカ競馬、今年最後のG戦は12月31日のサンタ・アニタ競馬場になりました。前回のレポートで冬開催初日が2016年最後のGⅠ戦だと書いてしまいましたが、何と大晦日にもGⅠ戦があったんですねぇ~。
それが去年までは春に行われていたアメリカン・オークスで、今年は5月に行われないまま時が過ぎ、気が付いてみれば“未だやってないじゃん”ということになったのでしょうか。何とか駆け込み開催になったような感じ。所が天は皮肉なもので、2016年の締めくくりは大雨、結局2鞍予定されていた芝コースのG戦は一鞍がダートに変更されG戦も剥奪。GⅠのオークスは何とか距離を短縮して芝コースを死守しで面目を保ち、目出度く1年を終えることになりました。

そんなわけですから、この日のG戦で予定通り行われたのはミッドナイト・リュート・ステークス Midnight Lute S (GⅢ、3歳上、6.5ハロン)一鞍だけでした。といってもこのレース、今年は既に1月2日に行われており、これに続いて今年2回目の施行。カリフォルニア州の競馬に対する姿勢が疑われるようなプログラム改変(改悪か)じゃありませんか。馬場は sloppy 、最初から登録も5頭だけという小頭数で、前走デル・マーのアローワンス戦を6馬身半差で圧勝したセント・ジョー・ベイ St. Joe Bay がイーヴンの1番人気。
そのセント・ジョー・ベイが逃げてペースを作りゴール寸前までリードを保っていましたが、前半は大きく置かれていた4番人気(5対1)のソリッド・ウェイジャー Solid Wager が前4頭の外から猛追、本命馬と鼻面を並べた所がゴールでした。写真判定の結果、2頭が同着での優勝。1馬身4分の1差で4番手を追走していた最低人気(8対1)のタフ・サンデイ Tough Sunday が3着でした。
1・2着は共にピーター・ミラー厩舎の馬で、本命馬にはケント・デサーモ、後方一気に急襲した馬にはヴィクター・エスピノザが騎乗していました。共にせん馬で、セント・ジョー・ベイはこれがステークス初勝利となる4歳馬。一方ソリッド・ウェイジャーは5歳馬で、去年と今年デル・マーの一般ステークス(ケーリー・グラント・ステークス)を連覇しており、G戦は初勝利となります。

続いては、去年もアメリカG戦のトリを務めていたロバート・J・フランケル・ステークス Robert J. Frankel S (芝GⅢ、3歳上牝、9ハロン)が組まれていましたが、大雨のためダートに変更。G戦も剥奪されたので結果だけを簡単に紹介しておきます。当初は8頭が登録していましたが半数の4頭が取り消して4頭立て。
GⅢ勝馬で1番人気(7対5)に支持されていたケリ・ベル Keri Belle が大差のしんがり負けとなる波乱で、3番人気(5対2)のグッドイヤーフォーロージズ Goodyearforroses が逃げ切り勝ち。2・3歳時はイギリスで走っていたヨーロッパ血統の4歳馬で、今年からカナダに転戦。アローワンス戦に2勝、ウッドバインの一般ステークス(フレーミング・ペイジ・ステークス)に勝っており、アメリカでの勝利はこれが初体験です。勝利調教師はリチャード・バルタス、勝利騎手はコーリー・ナカタニでした。

最後にアメリカン・オークス American Oaks (芝GⅠ、3歳牝、9ハロン)。最初に書いたように、去年は5月30日に施行されていたもの。大晦日になってオークスは笑えますが、衰退するアメリカ競馬を象徴するよう。トランプ大統領になってアメリカ競馬はどのように変化していくのでしょうか。本来の10ハロンはスタートで滑って危険と判断され、距離を1ハロン短縮しての施行。この距離はスターティング・ゲートがダートコースに置かれているためスタートで滑る心配はなく、少し行って芝コースに入ります。馬場の発表は good 、1頭が取り消して12頭立てとなり、前走メイトリアーク・ステークス(芝GⅠ)3着のステイズ・イン・ヴェガス Stays in Vegas が5対2の1番人気に支持されていました。
レースはジョイント2番人気(4対1)のサッシー・リトル・ライラ Sassy Little Lila の逃げで始まり、ゴール寸前まで粘りましたが、前半は後方4番手に控えていた4番人気(9対2)のデックド・アウト Decked Out が直線では大外から急襲し、逃げ馬に並び掛けたところがゴール。レース内容は同着となったミッドナイト・リュートとそっくりな経過でしたが、こちらは奢侈な判定の結果、デックド・アウトがサッシー・リトル・ライラをハナ差で差し切っていました。4番手追走から内ラチ沿いを伸びた6番人気(17対1)のレディー・ヴァラー Lady Valeur が半馬身差で3着に食い込み、人気のステイズ・イン・ヴェガスは2番手追走も馬場に泣いたか、7着敗退。
キース・デサーモ厩舎、ケント・デサーモ騎乗のデックド・アウトは、4月サンタ・アニタのプロヴィデンシア・ステークス(芝GⅢ)に続くG戦2勝目でGⅠ戦初制覇。4月からは7戦連続でG戦を戦ってきており、7月のベルモント・オークス(芝GⅠ)は9着、8月にはデル・マー・オークス(芝GⅠ)で2着とステイズ・イン・ヴェガスに先着していましたが、前走ロデオ・ドライヴ・ステークス(芝GⅠ)で12着と大敗し、人気を落としていたものです。今年のG戦締め括り、そしてGⅠ戦のトリもデックド・アウトが締めることになりました。
これで2016年のアメリカ競馬も全て紹介してきましたが、どうも体調が回復しません。来年からはブログの記事を短くする予定。競馬の記事は全体的に減るかもしれませんが、悪しからず・・・。

 

 

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