ロッキンジ・ステークス

昨日の土曜日、ニューバリー競馬場でロッキンジ・ステークス(GⅠ、4歳上、1マイル)が行われました。ニューバリー競馬場については4月20日の日記で詳しく紹介しましたから、そちらをご覧下さい。今回はそのメイ・ミーティングにおける一戦。
ロッキンジ・ステークス Lockinge Stakes は1958年創設の古馬のためのマイル戦。現在のパターン・レース・システムがスタートした時はGⅡでしたが、1995年にGⅠに格上げになっています。もちろん賞金がアップしましたし、負担重量にペナルティーはありません。
そもそもパターン競走が導入された時、古馬のマイラー(1マイルを得意にする馬)が出走できるGⅠ戦は、グロリアス・グッドウッドのサセックス・ステークス、夏のドーヴィルで行われるジャック・ル・マロワ賞、9月最終週のロンシャンが舞台のムーラン・ド・ロンシャン賞の3レースしかありませんでした。
マイラーというジャンルは種牡馬として人気になりますから、3歳シーズンを終えると引退してしまう馬が多いのですね。それでは古馬が手薄になり、競馬全体が盛り上がりません。
そこで4歳以降も現役に留まるマイラーを増やすため、いくつかのレースを格上げし、現在の古馬マイラー路線を拡充したわけ。この結果、ロイヤル・アスコットのクィーン・アン・ステークスや秋シーズンのクィーン・エリザベスⅡ世ステークスがGⅠに格上げされたのでした。
ロッキンジもその一つで、この路線に敷かれたシーズン最初のGⅠマイル戦です。
前置きは以上。
昨日のロッキンジ、ゴドルフィン軍団の期待、クラカドール Creachadoir が勝ちました。騎手はデットーリ、いつものようにフライング・ディスマウント(鞍から飛び降りる)を披露したみたいですね。
調教師は軍団の馬を一手に引き受ける Saeed bin Suroor さん。読み方がよく判りませんが、サイード・ビン・スロール、としておきますか。
2着は4分の3馬身差でアブダッラー殿下のフェニックス・タワー Phoenix Tower 、セシル師の調教馬ですね。3着が首差でタリク Tariq という結果です。
今日はクラカドールの血統に少し詳しく触れましょうか。日本にも関係が深いですからね。
クラカドールの父はキングズ・ベスト King’s Best 、母はサディマ Sadima です。ということは、去年の凱旋門賞2着ユームザイン Youmzain (父・シンダー)の半弟に当たります。
この血統から判断すれば、クラカドールは1マイル半でも充分に通用する血統と言えるでしょう。
更にこの牝系を遡りましょうか。サディマの母はアニマ Anima といい、未勝利馬ですが、兄弟にピルサドスキ Pilsudski がいます。ピルサドスキと言えば日本でも名が知れてますね。そう、ジャパン・カップに勝った馬ですし、彼もまた凱旋門賞2着なんですねぇ。
余談ですが、Pilsudski はポーランドの大統領や首相を務めた政治家から取った名前。であれば、一般的には「ピウスーツキ」と表記するのが正しいのじゃないか、なぁんて私は思うんですが、まぁ良いでしょ。日本じゃ「ピルサドスキ」で通っているようですから、今更意義を唱えてもね。
閑話休題。
もっと上まで行きましょうか。アニマのお母さん、つまりクラカドールから見れば3代目の母はココット Cocotte と言います。
ここで“おっ!”と声を上げた人は相当な競馬通です。ココットが1999年にアイルランドで産んだ娘は日本で競走馬になり、ファインモーションと命名されました。父はデーンヒル Danehill 。
ここまで書けば判るでしょ。そう、ファインモーションは秋華賞とエリザベス女王杯を連勝した我が国の名牝。
去年のシーズン途中でアイルランドからゴドルフィンにトレードされたクラカドール、日本からも興味の目を以って注目されるはず。このままマイル路線を突き進むのか、兄の後を追いかけるように凱旋門賞を目指すのか・・・。

 

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