ケンタッキー・ダービーへの道(5)
やっと土曜日のアメリカ競馬も最後の記事に辿り着きました。カリフォルニア州サンタ・アニタ競馬場からの4鞍です。
最初は、去年は5月のレースだったロイヤル・ヒロイン・ステークス Royal Heroine S (芝GⅡ、4歳上牝、8ハロン)。firm の芝コースに1頭が取り消して7頭立て。去年のデル・マー・オークス(芝GⅠ)の覇者ハーモナイズ Harmonize が6対5の1番人気。オークスの後はQE2世チャレンジ・カップ(芝GⅠ)とミセス・リヴィア・ステークス(芝GⅡ)で共に2着してシーズンを終え、これが今期初戦となります。
7番人気(10対1)のジューノ Juno が逃げ、ハーモナイズは4番手から。2番手を追走していた5番人気(7対1)のヒルハウス・ハイ Hillhouse High が逃げ馬を捉えると、後方2番手から猛追する6番人気(10対1)のモカット Mokat を半馬身抑えて優勝。逃げたジューノが首差の3着に粘り、ハーモナイズは休み明けか動きが伴わず、4着に終わっています。
1・2着は共にリチャード・バルタス厩舎の管理馬で、勝馬にはコーリー・ナカタニが騎乗していました。これがG戦初勝利となる6歳馬で、G戦挑戦3度目での正直。去年11月のゴールディコヴァ・ステークス(芝GⅡ)、今年2月のブエナ・ヴィスタ・ステークス(芝GⅢ)は共に3着で、前走一般芝ステークス(ウイッシング・ウェル・ステークス)4着からの巻き返しです。
続いてケンタッキー・オークス100ポイント対象のサンタ・アニタ・オークス Santa Anita Oaks (GⅠ、3歳牝、8.5ハロン)。fast の馬場に7頭が参戦し、2歳の終戦をスターレット・ステークス(GⅠ)勝ちで締め括ったエーベル・タスマン Abel Tasman が4対5の断然1番人気。今期初戦のサンタ・イザベル・ステークス(GⅢ)は2着でしたが、一叩きされたここでは中心です。
先手を取ったのは3番人気(8対1)のパラダイス・ウッズ Paradise Woods 、楽な手応えで直線に向きます。最後方からの末脚に賭けたエーベル・タスマンでしたが、逃げ馬の脚色は直線に入って衰えるどころか益々加速。漸く追い込んだエーベル・タスマンに何と11馬身4分の3差を付ける圧勝劇となってしまいました。2馬身4分の1差で4番手を追走した2番人気(2対1)のイット・ティズ・ウェル It Tiz Well が3着。勝馬は最後は抑える余裕の楽勝です。
リチャード・マンデラ厩舎、フラヴィアン・プラット騎乗のパラダイス・ウッズは、これが未だ3戦目の新星。今年1月のサンタ・アニタでデビューして2着でしたが、3月には未勝利戦に楽勝。ステークスもG戦も今回が初挑戦、人気も8対1と比較的薄いものでしたが、レース内容が圧巻だったこともあり、突然出現してきたオークス候補と言えそうです。
そして愈々、西海岸のダービー筆頭候補を決めるサンタ・アニタ・ダービー Santa Anita Derby (GⅠ、3歳、9ハロン)。今年は13頭が揃う混戦となり、サン・ヴィセンテ・ステークス(GⅡ)の勝馬で、前走サン・フェリペ・ステークス(GⅡ)は2着だったイリアッド Illiad が3対1の1番人気。
3番枠から出た4番人気(7対1)のバトル・オブ・ミッドウェイ Battle of Midway が逃げましたが、4番手で前3頭のハナ争いを虎視眈々と伺っていた3番人気(6対1)のゴームリー Gormley が直線では前2頭を外から捉え、逃げたバトル・オブ・ミッドウェイに半馬身差を付けて優勝。更に半馬身差で2番手を進んだ7番人気(11対1)のロイヤル・モー Royal Mo が3着に入りました。人気のイリアッドは、6番手から伸びず5着敗退に終わっています。
ジョン・シェリフス厩舎、ヴィクター・エスピノザ騎乗のゴームリーは、2歳時デビューから2連勝でフロントランナー・ステークス(GⅠ)を制した馬で、一時はカリフォルニアのエースと目されていた存在。BCジュヴェナイルで7着に敗れ、今期はシェイム・ステークス(GⅢ)に勝ったものの前走サン・フェリペでは4着敗退。しかしGⅠ戦2勝目を挙げ、やはり西海岸を代表するダービー候補であることは間違いないでしょう。ただ勝時計が遅かっただけに、万全の信頼を勝ち得るまでには至っていないようです。
土曜日の最後は、少し気分を変えて3歳牝馬の芝戦プロヴィデンシア・ステークス Providencia S (芝GⅢ、3歳牝、9ハロン)。レース前の放馬などもあって2頭が取り消し、6頭立て。ここまで無敗で4連勝中のサーカット・サリー Sircat Sally が1対5の圧倒的1番人気。
人気と実績に応えるように、スタートから先手を取ったサーカット・サリーが4番手から上がった4番人気(16対1)のユー・ミスト・イット You Missed It に2馬身4分の1差を付けて逃げ切る楽勝でした。3番手を進んだ2番人気(4対1)のエンファティカリー Emphatically がハナ差の3着。
ジェリー・ホーレンドルファー厩舎、マイク・スミス騎乗のサーカット・カリーは、これでデビューから無傷の5連勝。11月にデル・マーで新馬勝ちした後、ロス・アラミトスとサンタ・アニタで一般ステークスに3連勝し、G戦は初挑戦ながらステークス4連勝で3歳牝馬の芝部門で頂点に立ったと言えるでしょう。今回も着差こそ2馬身チョッとですが、スミス騎手はムチを使うことも無く、最後は抑える大楽勝。今後も楽しみな1頭が登場した所で、土曜のアメリカ競馬レポートを終了しましょう。
ということで、今日は一日パソコンに向かっていたので疲労困憊。日曜日のヨーロッパ・アメリカ競馬はまた明日にでも取り組むことにします。
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