8月6日のアメリカ競馬

本来なら昨日の朝アップすべき記事ですが、熱さで集中力が断絶。一日遅れ、速報性も何も無いレポートになってしまいました。ということで、先週土曜日にアメリカ4場で行われたG戦7鞍を順次取り上げて行きます。

先ずサラトガ競馬場の3鞍から。最初に行われたテスト・ステークス Test S (GⅠ、3歳牝、7ハロン)は fast の馬場に1頭が取り消して7頭立て。未だ4戦目、G戦はデビューながら前走一般ステークス(ジャージ・ガール・ステークス)の勝ちっ振り見事だった(6馬身差)カリーナ Kareena が、マザー・グース・ステークス(GⅠ)勝馬オフ・ザ・トラックス Off the Tracks を抑えて6対5の1番人気。
そのカリーナがダッシュ良くハナに立ちましたが、直ぐに2番人気(5対2)のオフ・ザ・トラックス、3番人気(4対1)のルイス・ベイ Lewis Bay が絡んで3頭の激しい先行争い。競り勝ったオフ・ザ・トラックスが先頭で直線に向きましたが、4番手で我慢していた最低人気(55対1)の伏兵パオラ・クィーン Paola Queen が3頭の外から追い込み、内を衝いた3番人気(4対1)ライトストリーム Lightstream に4分の3馬身差を付ける大番狂わせとなりました。首差でオフ・ザ・トラックスが3番手で流れ込み、カリーナは6着敗退です。
これがアメリカのGⅠ戦初勝利となるヴェネズエラ出身の調教師グスターヴォ・デルガドが管理し、ルイス・サエズが騎乗したパオラ・クィーンは、2月のガルフストリームでアローワンス戦を逃げ切っていた馬。その後も4月のガルフストリーム・パーク・オークス(GⅡ)2着、ケンタッキー・オークス9着、そして前走エイコーン・ステークス(GⅠ)5着でも全て前で競馬していました。それが今回は抑える競馬に転じ、見事結果に繋がったようです。

続いてウェイア・ステークス Waya S (芝GⅢ、3歳上牝、12ハロン)。芝コースも firm と固く、1頭が取り消して9頭立て。チリのGⅡ勝馬でチリ・オークスの2着馬グァパザ Guapaza が7対2の1番人気。
6番人気(7対1)のフォト・コール Photo Call が快調に飛ばして2回目の直線に向きましたが、前半6番手に控えていたグァパザが徐々に順位を上げ、外を通って抜け出すと、更に外から追い込む後方待機の4番人気(6対1)サフューズド Suffused の猛追を頭差凌いで人気に応えました。これも後方から追い込んだ8番人気(20対1)のアクナーハ Achnaha が1馬身半差の3着。
チャド・ブラウン厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のグァパザは、これがアメリカでのG戦初勝利。7月10日には一般ステークス(リヴァー・メモリーズ・ステークス、1マイル半)にも勝っており、ベルモントのニューヨーク・ステークス(芝GⅡ)では3着。アメリカでは通算5戦2勝2着1回3着2回となります。日本の競馬ファンにとって見逃してはならないのが、グァパザの父がニュージーランド・トロフィーに勝ってジャパン・カップ・ダートで2着したシーキングザダイアであること。今やチリのリーディング・サイアーなのです。

サラトガの最後は、この日二つ目のGⅠ戦となるホイットニー・ステークス Whitney S (GⅠ、3歳上、9ハロン)。勝馬にはBCクラシックへの優先出走権が付与されます。出走馬は僅か6頭、前走メトロポリタン・ハンデ(GⅠ)をレコードタイムで圧勝したフロステッド Frosted が1対2の断然1番人気。
スタートから主導権を奪った大本命、そのまま鞍上も持ったままの余裕で後方2番手から追い込む3番人気(7対1)のコンフォート Comfort に2馬身差を付ける逃げ切りでの楽勝でした。半馬身差で3番手を進んでいた5番人気(10対1)のアップスタート Upstart が3着。
キアラン・マクローリン厩舎、ジョエル・ロザリオ騎乗、ゴドルフィン所有のフロステッドは、前年のオナー・コード Honor Code に続く2年連続のメトロポリタン/ホイットニー連覇馬となりました。同一シーズンでメット/ホイットニー・ダブルを達成したのは史上10頭目だそうです。去年のウッド・メモリアルを加え、フロステッドのGⅠ戦は三つ目となりました。

次はマウンテニアー・カジノ競馬場のウエスト・ヴァージニア・ダービー West Virginia Derby (GⅡ、3歳、9ハロン)を紹介しましょう。こちらも馬場は fast 、有力馬を含む2頭が取り消して10頭立て。全馬のオッズは不明ですが、前走インディアナ・ダービー(GⅡ)を制したキューピット Cupid が3対2の1番人気。
1番枠発走からハナに立ったキューピッド、直線では馬場中央に進路を変更しながらも、3番手から伸びる70対1の伏兵ウワットエヴリバディーウォンツ Whateverybodywants に4馬身差を付ける堂々の逃げ切り勝ちで人気に応えました。16対1のネイム・チャージャー Name Charger が更に2馬身差で3着。
ボブ・バファート厩舎、このレース3勝目となるラファエル・ベハラノ騎乗、クールモア・グループ所有のキューピッドは、カリフォルニアを本拠としていますが、この1か月以内で2度目の遠征競馬に2連勝。3月のレベル・ステークス(GⅡ)を加え、3つ目のGⅡ戦奪取となりました。

一方、エリス・パーク競馬場で行われたグルーピー・ドール・ステークス Groupie Doll S (GⅢ、3歳上牝、8ハロン)は fast の馬場に2頭が取り消して11頭立て。2走前にピムリコでアレール・デュ・ポン・ディスタッフ(GⅢ)に勝っているアー・チョコレート Ahh Chocolate が3対2の1番人気。
レースは4番人気(6対1)のイノヴェイティヴ・アイディア Innovative Idea の逃げで始まりましたが、レース半ばで9番人気(25対1)のフィオレッティ Fioretti がハナを主張したためイノヴェイティヴ・アイディアは2番手に控えます。しかし直線で再びリードを奪ったイノヴェイティヴ・アイディア、前半8番手から追い込む9番人気(25対1)エマジェスティック Emmajestic を半馬身抑えて優勝。人気のアー・チョコレートは、更に1馬身4分の1差の3着に終わりました。2着馬のカスタノン騎手から勝馬の進路に対して異議申し立てがありましたが、審議の結果入線通りで確定しています。
エオイン・ハーティー厩舎、予定の旗手が別の馬(11着に終わったインプロフ Improv)を選んだためマーロン・サン・ジュリアンに乗り替わったイノヴェイティヴ・アイディアは、これがG戦初勝利となるゴドルフィンの4歳馬。前走プレーリー・メドウズで一般ステークス(アイオワ・ディスタッフ)に勝っており、ステークスは2連勝となりました。

土曜日の最後はデル・マー競馬場で行われたG戦2鞍です。先ず fast の馬場で行われたソレント・ステークス Sorrento S (GⅡ、2歳牝、6.5ハロン)は、1頭が取り消して5頭立て。このデル・マー夏開催の初日、7月16日のデビュー戦で1番人気ながら2着に終わったシャンペン・ルーム Champagne Room が6対5の1番人気。未勝利馬ながら本命に推されたのは、陣営が調子の良さから予定を変えてここに駒を進めて来たからでしょう。
ダッシュ良く飛び出したのは3番人気(3対1)のアントジェン Auntjenn でしたが、直ぐに2番人気(3対2)のミス・サザン・ミス Miss Southern Miss が外から交わしての逃げ。これを3番手でマークしていたシャンペン・ルームが直線で外から並び掛けると、2頭の叩き合いを制した本命馬がミス・サザン・ミスを1馬身4分の1差捻じ伏せるようにして優勝。更に4馬身半差でアントジェンが3着に粘っていました。
ピーター・ユートロン厩舎、マリオ・グティエレス騎乗のシャンペン・ルームは、これで2戦1勝2着1回。新馬勝ちやアローワンス戦の勝利などを経ず、いきなりのG戦勝馬となりました。

デル・マーのもう一鞍はラ・ホヤ・ハンデキャップ La Jolla H (芝GⅢ、3歳、8.5ハロン)。芝コースは firm 、予定通り10頭が参戦し、デル・マー初日に行われた一般ステークス(オーシャンサイド・ステークス)に勝ったモンスター・ビー Monster Bea が2対1の1番人気。この時のメンバーが出走馬の半数を占めていたことも人気に反映していたのでしょう。
1番枠から出たブービー人気(25対1)のフリー・ローズ Free Rose が逃げ、モンスター・ビーは4番手追走。直線入口で逃げ馬のリードは首差まで詰まりましたが、そこから二の脚を発揮して再び伸びたフリー・ローズ、前半6番手から内を衝いて伸びる4番人気(7対1)のラッキー・ブライアン Lucky Bryan に半馬身差を付ける逃げ切り勝ちの波乱となりました。更に半馬身差で3番手を追走していた2番人気(7対2)のムーンライト・ドライヴ Moonlight Drive が3着に食い込み、人気のモンスター・ビーは更に半馬身差で4着に終わりました。
リチャード・バルタス厩舎、ジョセフ・タラモ騎乗のフリー・ローズは、4月にキーンランドの芝アローワンス戦を55対1で制して以来の又もやとなる大穴。バルタス厩舎に転じてからは2戦目で、前走は7月23日デル・マーの古馬相手の芝アローワンス戦での3着でした。

 

 

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