ニューヨーク・フィルとトスカニーニ
ブルーノ・ワルターとニューヨーク・フィルの記録が一段落しました。折角ですから、このネタでもう少し続けたいと思いましてネ・・・。
さてニューヨーク・フィルって何か。
アメリカの最も古いオーケストラです。創設は1842年、Philharmonic Society of New York として設立され、1892年まではレオポルド・ダムロッシュ Leopold Damrosch とセオドア・トーマス Theodore Thomas という人が指揮していました。
次第に首席指揮者や客演指揮者で構成される体制が整い、首席指揮者は世界で最も報酬の高い「地位」にまでのし上がります。ポストに就いた指揮者は、
1891-1898 アントン・ザイドル
1898-1902 エミール・パウアー
1902-1903 ウォルター・ダムロッシュ
1903-1906 客演指揮者として、ウッド、ワインガルトナー、リヒャルト・シュトラウス、シュタインバッハ
1906-1909 ヴァシーリイ・サフォノフ
1909-1911 グスタフ・マーラー
1911-1921 ヨゼフ・ストランスキー
1921-1929 ウィレム・メンゲルベルク
1928-1936 アルトゥーロ・トスカニーニ
1936-1942 ジョン・バルビローリ
1943-1947 アルトゥール・ロジンスキー
1947-1949 ブルーノ・ワルター
1949-1950 レオポルド・ストコフスキーとミトロプーロス
1950-1958 ディミトリ・ミトロプーロス
1958-1969 レナード・バーンスタイン
1971-1977 ピエール・ブーレーズ
1978-1991 ズービン・メータ
1991-2002 クルト・マズア
2002- ロリン・マゼール
と続きまして、確か来シーズンからアラン・ギルバートがボスになりますよね。
1969年にバーンスタインは桂冠指揮者に任命されています。
1928年には別団体だったニューヨーク・交響楽団を合併し、Philharmonic-Symphony Orchestra of New York と改名して現在に至っています。これが正式な楽団名ですが、単に「NYPO」で通っていますね。
私が参考にしたニューヨーク・フィル史には、1942年秋から1971年春までのコンサート記録が付録として付いています。
これ以前の記録、つまり最初の100年間のデータについては、先行する3冊の書物がありまして、そこに掲載されているのだそうです。
1842-1892 The Philharmonic Society of New York, A Memorial (Henry Edward Krehbiel 著)
1892-1917 The Philharmonic Society of New York and Its Seventy-Fifth Anniversary, A Retrospect (James Gibbons Huneker 著)
1917-1942 The Philharmonic-Symphony Society of New York, Its First Hundred Years (John Erskine 著)
これらは最早図書館アイテムでしょう。で、私の手元にあるのは、
Philharmonic, A History of New York’s Orchestra (Howard Shanet 著) であります。
今回は、ワルターと並んで録音が残されている巨匠、アルトゥーロ・トスカニーニのプログラムを紹介します。ただ、上記リストでお解かりのように、トスカニーニがニューヨーク・フィルとコンサートを開いたのは1920年代と1930年代が主。この記録集では僅かに4種類のプログラムが該当するだけです。この頃のトスカニーニは専らNBC交響楽団を指揮していましたから。
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1942年10月7・9・11日 カーネギーホール
ベルリオーズ/「ローマの謝肉祭」序曲
ベルリオーズ/劇的交響曲「ロメオとジュリエット」
指揮/アルトゥーロ・トスカニーニ
メゾ・ソプラノ/ジェニー・トゥーレル
テノール/ジャック・ジェラール
バス/ニコラ・モスコーナ
合唱/ウェストミンスター合唱団
1942年10月14・16・18日 カーネギーホール
ハイドン/交響曲第99番
ショスタコーヴィチ/交響曲第7番
指揮/アルトゥーロ・トスカニーニ
1942年11月30日 カーネギーホール
ワーグナー/歌劇「さまよえるオランダ人」序曲
ワーグナー/ジークフリート牧歌
ワーグナー/楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死
ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲
ワーグナー/楽劇「ジークフリート」森の囁き
ワーグナー/楽劇「神々の黄昏」夜明けとジークフリートのラインへの旅
ワーグナー/楽劇「神々の黄昏」ブリュンヒルデの自己犠牲
指揮/アルトゥーロ・トスカニーニ
ソプラノ/ヘレン・トラウベル
1944年1月13日 カーネギーホール
ウェーバー/歌劇「オイリアンテ」序曲
ハイドン/交響曲第101番「時計」
シベリウス/交響詩「トゥオネラの白鳥」
ワーグナー/楽劇「神々の黄昏」ジークフリートの死と葬送行進曲
レスピーギ/交響詩「ローマの松」
指揮/アルトゥーロ・トスカニーニ
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最後から二つ目のコンサートは、アメリカ赤十字の慈善コンサートだったようです。
1944年1月のコンサートが事実上、トスカニーニとニューヨーク・フィルのフェアウェル・コンサートです。
ワルターの時と同様、演奏曲目の順序は私の勝手な憶測ですから念のため。
なお、トスカニーニのニューヨーク時代のプログラムについては、もっと詳しいサイトがありますので、こちらで確認して下さい。
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