今日の1枚(189)

暫く続けてきた「アルトゥーロ・トスカニーニ/エッセンシャル・コレクション」も残り2枚となりました。日本ビクター開発の独自の技術によるK2レーザーカッティングによる第19集、BVCC-9724は久し振りに純粋器楽の作品で、リヒャルト・シュトラウスのアルバム。

①リヒャルト・シュトラウス/交響詩「ドン・ファン」
②リヒャルト・シュトラウス/交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
③リヒャルト・シュトラウス/交響詩「死と変容」

アルトゥーロ・トスカニーニ Arturo Toscanini 指揮NBC交響楽団 NBC Symphony Orchestra 。

夫々の録音データは以下の通り、いずれもセッション録音のようですが、WERMによると②③は放送録音と記載があります。聴いた限りでは客席ノイズは聞き取れません。

①1951年1月10日 カーネギーホール
②1952年11月14日 カーネギーホール
③1952年3月10日 カーネギーホール

当盤のコメントはウイリアム・ヤングレンのもの。シュトラウスはトスカニーニにとって現代音楽だったことが記されています。

録音は1950年代のものだけあって、モノラル録音としては優秀録音に挙げられるでしょう。特に②③は音質も瑞々しく、ジャケットに印刷された High Fidelity Recording に恥じないもの。

いずれも初出はLPで、①はHMVの FALP 157 の品番で、カップリングはワーグナーの楽劇「神々の黄昏」からプロローグとジークフリートのラインへの旅の音楽でした。

一方②と③は1枚のLPにカップリングされたもので、ヴィクターの LM 1891 として発売されていました。この2曲のみの収録ですから、長時間録音盤としては贅沢な1枚でした。

①では練習記号Cの直前、「女性の主題Ⅰ」後半のフルートによるフレーズが一拍早く飛び出してしまっているのがご愛嬌。
また「女性の主題Ⅲ」で練習記号Mの5小節目にティンパニを加えるのは、フルトヴェングラーも行っている慣例。

③では、最初に「浄化」のモチーフが出るところ(手元のペータース版には練習記号も番号も振られていません。スコアの78ページ5小節目から79ページ1小節目)でティンパニを加えているのはトスカニーニ以外では聴いたことがありません。

参照楽譜
①ペータース Nr.4192b
②ペータース Nr.4192e
③ペータース Nr.4192d

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